隣人に恋をしました

◇◇◇◇　◇◇◇◇　◇◇◇◇　翌朝、朝日を瞼の向こう側に感じて、私は目を覚ました。　うっすらと明るい部屋の天井。いつもの風景だ。　でも、ひとつだけ違う事がある。　横に視線をずらすと、すぅすぅと寝息を立てて眠るお姫様がいる。　姫は言いすぎ？　...

◇◇◇◇　◇◇◇◇　◇◇◇◇　時間は深夜。　多くの人が寝静まった頃、私はシャーペンの先で何度も机を叩いていた。　――時間がないってのに、こんな日にまで……！　私が心の中でイラつきを吐き出す声にまで被せるように、外部の音は耳に入ってくる。いや...

◇◇◇◇　◇◇◇◇　◇◇◇◇　イライラする。　黒くてサラサラヘアで、エロ目な男の訪問、これで何度目だ……！？　つーか、どうやって１階のセキュリティドアを抜けてきてんだこの男はっ。　私の後ろをついてきたみたいにして、また潜りこんだのか？「なぁ...

◇◇◇◇　◇◇◇◇　◇◇◇◇　まじか。　まーさん！　まーさんまーさんまーさんまーさんまーさんまーさんまーさんまーさんまーさんまーさんまーさんまーさんまーさんッ！！　来た！　なんか黒くてサラサラヘアで、エロ目？　っていうの？　細い目の男が、１...

◇◇◇◇　◇◇◇◇　◇◇◇◇　駄目だ……。　なんかあの二人に任せてたら大変なことになる気がする。　その夜、自宅のベッドを背もたれにフローリングへ座り込んで、私は頭を抱えた。　自分でなんとかするしか……ないのか。　いやでも自分でって言っても、...

◇◇◇◇　◇◇◇◇　◇◇◇◇「避けられてる？」　声のトーンを跳ね上げた店長に、私は渋い顔で頷いた。「すーちゃん、なんかやったんじゃないの？　ベランダであの穴から下着ドロしたとか凝視したとか」「しませんよ！　そんなこと！」　店長じゃあるまいし...

◇◇◇◇　◇◇◇◇　◇◇◇◇　翌日、講義を受けているとポケットに入れていたケータイが震えた。　なんとなく誰からの連絡かはアテがついていたし、授業中なのでそのままにしておく。ほどなくして着信パターンのバイブは大人しくなった。　休憩になってから...

◇◇◇◇　◇◇◇◇　◇◇◇◇　改めて考えてみると、秘めて見守る恋、というのはちょっと……いや相当、辛い。　あまり深く彼女を知ってしまうと、やっぱり私の恋心は燃え上がる。それは絶対にダメ。これ以上仲良くなったり、惚れたりしたら駄目だ。　けれど...

◇◇◇◇　◇◇◇◇　◇◇◇◇　翌日、店長の家に居候の荷物を取りに行くと、遥さんに悲しまれた。　一緒にゲームをやったり、料理を教えてもらったり色々したのは楽しかったけど、そこまで悲しまれるとちょっと帰り辛いよってくらいに。「いっちゃうの？」「...

◇◇◇◇　◇◇◇◇　◇◇◇◇　カウンターの向こうに、ウキウキした表情で次のお酒を待っているまーさんと、それを面白くなさそうに頬杖をついて眺めながらスコッチキルトを傾ける金本さん。　――あー……スーツ姿でバーで飲む女性っていいなぁ……。　向こ...