※ 隣恋Ⅲ~湯冷めた頃に~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ 湯冷めた頃に 8 ~
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「あ、の」
にっこり。満面の笑みを向けられた。
「自分からこっちを向いたんだよね?」
――……ハメられた。
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歯ぎしりしたくなる程、綺麗に華麗に、ハメられた。
普段はわたしが主導権を握って、雀ちゃんを揶揄っているのに、こういう時にはめっぽう強くなるわたしの彼女は二重人格なんじゃないかと疑いたくなる。
口をヘの字にして彼女をにらむと、やっぱり楽しそうに笑う。自分の策に見事にかかった獲物を見下ろすその目は、愉悦と意地悪と期待に満ち満ちている。
「じゃあ自分でまた向こう向くから」
無駄と分かっていても、抵抗したくなる。
そんな聞き分けのないわたしに、無駄だよ、と分からせる為に雀ちゃんが取った行動は、強引なもの。
「駄、目」
音を区切って甘く甘く叱りつけてくる。浴室でかかる独特のエコーが、どうにもエロさを増幅させている。
わたしの肩を両手で押さえて、雀ちゃんはこともあろうか、冷たい冷たいタイル壁に押し付けたのだ。
「冷、た…っ」
「悪い子にはお仕置きしないと」
ね? と眼前で微笑まれて、こんな、冷たくて恥ずかしい状況なのに、心臓がドキリと熱くなるわたしは、随分と雀ちゃんに惚れているらしい。
そんな再認識をしていると、顔と顔の距離がどんどん縮まって、ついに唇が重なった。
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柔らかい唇の感触に、冷たいタイル壁に向いていた意識が呼び戻される。
重なり、啄まれ、離れて、間近で囁かれる声に、タイルの冷たさとは別種類のゾクリとしたものがわたしをくすぐる。
「舌出して」
抵抗する暇もなく、雀ちゃんが薄く口を開いて、舌を差し出してくるもんだから、羞恥も忘れて、こちらからも舌を伸ばす。
口腔外で触れ合った肉は、どちらも熱く、濡れて、いやらしい。
――腰……、熱……。
とびあがる程冷たかったタイルを、わたしの体温が中和している。そこへ体重を預けて、さらに彼女の首へ腕を回そうとして、気が付く。いつもの流れを妨げたボディタオルの存在に。
そういえば、体を自分で洗っている最中だったんだ。
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雀ちゃんの舌がわたしの舌の下を掬うように舐めてくる。普段、食べ物もそこまで触れる場所ではないその部分は少し敏感で、くすぐったいような、気持ちいいような、間の感覚を生む。
「……んぅ……」
鼻から抜けるような声を甘く吐き出しながら、そろりと手を動かす。
ボディタオルを身体の中心へと運んで、泡を擦り付けていく。この後絶対、ココは触られるし、なんだったら舐められるかもしれない。
隅々まで綺麗にしておかないと。
意地悪な目をしていた雀ちゃん。「お仕置きだ」なんて言って冷たいタイルに体を押し付けてきたけど、その実は、こうしてキスして見ていない間に洗う時間を確保してくれたんだろうと思う。
えっち中、意地悪でもこうして気遣いと優しさを見せてくれる彼女に、胸の中心が熱くなる。
やっぱり、好きだなぁ、なんて思ってしまう。そんな時に。
「もっと舌だして」
なんて、息も乱れがちに言われると、羞恥なんて湧きもせず、彼女の言葉に従ってしまう。
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伸ばしていた舌を、さらに限界に近付かせるように突き出す。傍から見れば、その姿は多分目もあてられないんだろうけれど、ここにはわたしの恋人しかいないし、その恋人だって顔を突き合わせて、わたしの伸ばした舌をいやらしく舐め上げている。
ここに外聞なんて存在しないのだから、獣のように、相手を本能のままに求め合う事に問題なんて何一つとしてない。
まぁ、あるとすれば、キスに夢中になってわたしの手が止まりかける事だろうか。
それでも何とか手を動かして、ソコを綺麗にしていく。自分のソコが汚くて汚くて仕方ないとは思わないけれど、一日働いてきた体だし、もちろんトイレにだって行ったし、これから触られるし見られるし、もしかしたら舐められる予定のソコは念入りに綺麗にしたいという乙女心である。
「ふ、ぁっ」
「可愛い過ぎる」
ちゅうっと舌先をきつく吸われて思わず声をあげると、舌を解放した雀ちゃんに笑われた。
「そんなに可愛いともう待てないよ?」
流し見るような目で言われて、ボディタオルを手からすり取られた。
「あとは、洗ってあげる」
片膝を床に付いて、まるでファンタジー世界の騎士のようにわたしの前にかしづく雀ちゃんが持つボディタオルがわたしの脚にあてられた。
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