※ 隣恋Ⅲ~湯冷めた頃に~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ 湯冷めた頃に 5 ~
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「だから……そういう顔するから」
すぃ、と視線をわたしから逸らした雀ちゃんの目元が少し赤らんだ気がした。
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「オフロ、お風呂。いこう、はやく」
何故片言なのか。
さっきまでソファから動こうとしなかった雀ちゃんがどうしてお風呂へ行く気になったのかは謎だけど、こちらとしてはありがたい限りだった。
手を引かれて立ち上がる拍子に、下腹部に僅かな異変を感じ取る。
――濡れてる……。
もう、どうして。たったあれだけ。キスして、キスマークつけられて。たったそれだけなのに。
以前よりも濡れ易い体質に変わってしまったのか、それとも雀ちゃんが上手過ぎるのか。
多分、後者のせいで、前者になったのよね、と胸中で嘆息を零した。
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脱衣場へ連れられていくと、雀ちゃんは意外にもあっさりとわたしの手を離した。てっきり、ここに来たら待ってましたと言わんばかりにわたしの服を脱がしにかかるかと思ったのに、自分の服をぽいぽいと脱いで浴室の方へ入っていった。
「早く」
扉を開けたまま振り向く雀ちゃんの肢体が、灯りに照らされている。
身長が高くてすらっとしていて、おまけにバスケ部だったその体にはしなやかな筋肉がついていて、綺麗。
背の低いわたしとは大違い。
思わず彼女の言葉を無視して、羨む視線をその体に送っていると、苦笑が返ってきた。
「はやく」
叱るように言った雀ちゃんが浴室の戸をゆっくりと閉め始め、わたしは慌てて、外し残されていたシャツのボタンに手をかけた。
わたしが行動開始すると、彼女は戸から手を退けてシャワーノズルを手にとった。ざっと浴槽に水を流してから栓をして湯を溜めるようコックを捻った。
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その隙に、と手早く脱いで、視線を外した下着にあてれば染みがある。濡れていた事実をそこに認めて、若干顔に熱が集まった。
その下着を今どうこうしていたら雀ちゃんに気付かれてしまうから隠すように自分の脱いだシャツをかぶせておいた。
「おまたせ」
浴室の戸を後ろ手に閉めたわたしを振り返って、雀ちゃんは目尻を下げて両手を広げた。
ハグの合図に素直に従って、彼女の腕の中におさまる。素肌同士で触れ合うのは気持ちいい。快感というのとはまた違って、心地良さと表現したほうがしっくりくる。
「じゃあ、頭洗おうか」
目を閉じて、心地良さに浸っていたわたしの耳に雀ちゃんの声が届く。お風呂場特融のエコーがかかっていて、いつもよりいい声に聞こえる。
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小さなイスに腰掛けさせられて、シャワーのお湯がゆっくりと髪を濡らしてゆく。
そういえば、洗って欲しいってわたしがお願いしたんだっけ、と思い出して、大人しく目を閉じた。
ホンプを押す音が聞こえ、頭のてっぺんに手が置かれるとヒヤリとした液体が頭皮に感じられた。それから雀ちゃんの指が優しく添えられて、くしくしくしと泡をたてる。
美容院でもそうなんだけど、シャンプーって人にしてもらうとどうしてこんなにも気持ちいいんだろう。
いつも自分でするシャンプーを気持ちいいとは思わないのに、人の手がわたしの髪を洗うと、とろけるみたいに気持ち良さに包まれる。
時間をかけて髪全体に泡が行き届くように洗ってくれた雀ちゃんは、「かゆい所はないですか」と美容師さんのように尋ねた。
「ありません」
わたしもそれに合わせた口調で返すと、後ろから小さく笑う気配。
「流すよ」
彼女がどんな優しい表情をしているのか気になったけれど、わたしは素直に目を閉じた。
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