隣恋Ⅲ~湯冷めた頃に~ 22話


※ 隣恋Ⅲ~湯冷めた頃に~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 ~ 湯冷めた頃に 22 ~

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「ねぇっ、まって、それ、だめ…っ」

 達したばかりの身体に、それは随分と強すぎる。

 雀ちゃんの右手の動きを押さえる為に彼女の手に上から掴む。

 けれど彼女は、どこか余裕のある表情でこちらを見上げるだけだった。

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 こうして上から押さえて、雀ちゃんの動きを制御している間にちょっとだけでも身体を休めて……と考えていると、目の前の彼女がふっと笑う気配がした。

「ねぇ。それで、押さえてるつもり?」
「え?」

 雀ちゃんの言葉の意味が分からずに、彼女をキョトンと見上げる。すると、愉しそうな目。上がった口角は意地悪を含んでいる。

 ……いやな、予感がする。

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「あんまりぐちゅぐちゅしないって言ったでしょ」

 まったくもう、人の話を聞いてないなぁ。と言外に含むような口調で告げた雀ちゃんが、笑みを濃くした。
 次の瞬間、わたしの身体に快感が走る。

 どうして。
 手は、わたしが押さえてて動いてないはずなのに。

「手が動かなくても、指さえ動けばイカせられるよ」

 また、わたしの心を読んだみたいに言って、愉しそうに雀ちゃんは笑った。

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「ひっ、あっ」
「ほら。ね? 手は愛羽さんが押さえてるのに」

 気持ちいいでしょ? を首を傾げられても、反応できない。こっちは、快感に翻弄されている真っ最中で、そんな暇ない。

 いやいやするように首を振って、強制的に与えられている快感を逃がす。けれど、そんなものでは追いつかない。
 身体の中を快感が占めていく割合が大きくなる。

 少しだけでいいから止めて欲しい。

「まって、ぇ……ッん、やっ」

 身体が、頭が、溶けてしまう。
 浴槽のお湯は最初のときよりは随分冷めたかもしれないけれど、お湯はお湯。その中に浸かって温かいのに、快感で身体を火照らせたら、もう、わたしの全てが溶けてしまいそうだった。

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 知らず知らずのうちに力がこもって、雀ちゃんの手に爪を立ててしまっている。
 それに気付いたけれど、続く快感に力を抜くことも出来ずに、まるで猫みたいに爪を立て続ける。

「待って…はぁっ……ン、んんっ」
「待てないよ。可愛い過ぎるし」

 可愛くないから待って! と言いたいけれど、言えない。
 わたしの口からは嬌声が零れ続けて、意味のある言葉を挟む隙がない。

 雀ちゃんの手はわたしがしっかりと押さえて……というよりはもう、しがみ付いて縋って、と表現した方が正しいくらいに、爪をたてている。だって、縋るものがないと、自分を保っていられない。

 絶え間なく、内壁のイイトコロを指で押すように刺激され続けている身体は、もう、早くも絶頂を迎えてしまいそうなのだ。

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 以前、どこかで仕入れた情報に、女性の感じる場所の名称にGだのPだのスポットがあるのだと知った。
 何かの単語の頭文字なのか、それとも他の意味から取ったのか、まったくもって分からないけれど、今、わたしが刺激されている場所が、Gスポットだということはわかる。

 雀ちゃんよりもはるかに少ないけれど、えっちする側をやったことがある。その時に見つけられたざらつく上壁。それがGスポットだ。

 それを今、雀ちゃんの指が突き上げている。

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 突き上げる、というとなんだか指が抽送運動を繰り返しているように聞こえるけれど、そうではない。
 雀ちゃんが言う通りで、わたしが上から押さえつけた手はそのままの位置で、ナカで、指だけが蠢いているのだ。

 入っているのは、2本の指で、それが、交互に壁を刺激する。

「だ、め…ぇ……ッ」

 肺が苦しいくらいに呼吸が荒くなって、腰はどうしようもなく熱が集まる。その熱は解放の時が来るのを、今か今かと待ち侘びている。

「愛羽、さん…っ」

 もう、目も開けていられなかったわたしを雀ちゃんが呼んだ。

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 指の動きが少しだけ緩んで、なんとか、目を開く。彼女を見上げると、目が合って、やっぱりずっとわたしの顔を見ていたのかと分かると、体温がまた上がった。

 喘ぐ姿をこんなに明るい場所で、間近に見られる経験が少ないし、それは経験豊富になったとしても、やっぱり恥ずかしい事だと思う。

「指、増やすよ」

 呼吸が荒いわたしの口を塞ぐことを避けてか、額に口付けを落とした雀ちゃんの指がナカからずるりと抜かれた。

「っ、う……」
「ちょっとだけ我慢して」

 たぶん、大丈夫とは思うけど。と付け加えたあとに、下腹部に異物感と圧迫感がもどってくる。
 3本になって戻ってきたせいで、異物感も圧迫感も増していて、背中をビリビリとしたものが走った。

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「痛い?」

 わたしが眉をぎゅっと寄せてその新しい感覚に耐えていたせいか、心配そうに雀ちゃんが顔を覗き込む。

「…たくは、ない、よ……?」

 まだ、浅い息しかできなくて、途切れながら答えると、ほっとしたように彼女の顔から心配の色が抜けて、代わりに安堵が追加された。
 ベッドでしても、お風呂でしても、こういう所はちゃんと気を遣ってくれる彼女に、胸が熱くなる。

 大事にされてるなぁと思うし、安心する。
 痛みがあると、どうしても快感に集中しきれなくて、絶頂を迎えにくくなったりするから、わざとイッたふりをしたり……過去の男性経験ではそういうシーンもあった。

「まだちょっとキツイとは思うけど……気持ちいい?」

 額に、頬に、耳にと軽いキスを落としながらわたしに尋ねる彼女に、手を伸ばす。
 汗で額と頬に張り付いた髪をかき上げ、撫で付けて、小さく頷いた。

「気持ち良くて、逃げたくなるくらい」

 慣れるまで指の動きも止めていてくれる雀ちゃんのおかげで、余裕を少し取り戻したわたしがおどけて言ってみせる。
 破顔した彼女はわたしと額同士をくっつけた。

「逃がさないよ」

 優しい声で、こわいことを柔らかく言う雀ちゃんが、大好きで、胸がきゅうと締まった。

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