※ 隣恋Ⅲ~湯冷めた頃に~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ 湯冷めた頃に 15 ~
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その手の皺が意味する過去と現在と未来。
すべてを撫でるように、愛おしむように。
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若い割に、手に刻む皺が多い彼女の人生はどんなものなのだろう。
えっちの最中に考えるような事ではないと思うけれど、手相を撫でているとそんな考えも湧いてきてしまうものだ。
生命線を舐めて、そのままなんとなく、親指を根元までかぷりと口に含む。他の指よりも太さのあるそれに舌を巻きつけるようにして首を前後に動かすと、舌の上で指がくっと曲げられる。
その行動がまるで逃げるみたいに思えて、わたしは痛くない程度に歯を立てる。
雀ちゃんにわたしの意図が伝わったのか、彼女の親指が大人しくなったので、改めて、親指を何度も撫でた。
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そんなに気持ち良いのだろうか。と首を傾げたくなるくらい、雀ちゃんの息の乱れが大きくなってきている。
ほんと、可愛い。
たぶんもうじき、次の行為に移るのだろうなと予想できる。
だからこそ、確認したいような、したくないような……迷う気持ちが沸々とわたしの胸中で湧きあがる。
彼女の手相のひとつを……結婚線を。
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わたしとしては、この子とずっと一緒に居たいと思っているんだけど、その気持ちが雀ちゃんにあるのかどうか、それを面と向かって真面目に尋ねたことはない。
付き合うことに関して、真面目に話し合ったことなんて、1度しかない。
わたしの元カレを撃退してくれた次の日の朝。
キラキラした朝日の中で、雀ちゃんがわたしに確認するように言ってくれた言葉、一言一句違えず覚えている。
大学生のひとりの女の子が、ここまで、ただの隣の住人だったわたしの事を想って、考えてくれたのかと思うと、あの台詞を今思い出しても胸が熱くなる。
でも、それも随分と前の話だ。
この雀ちゃんがそんな奴とは思わないけれど、世の中「落とした女に興味はない」とか言う人種もいるくらいだ。
お付き合いを始めた時点から気持ちの変化が良い意味でも、悪い意味でも、あって不自然なことはない。
わたしは口腔内から、ゆっくりと親指を解放した。
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結婚線は、小指の付け根、手の側面にある。
見てみたいけど……見たくない。
見て、線が沢山あったら、わたしは何かある度にそれを思い出してしまうかもしれない。手相なんて占いだ、と言われるかもしれない。
信じる、信じない、自分の自由だけれど、わたしはどちらかと言えばもともと占いを信じる質だ。
見てしまって、悪い結果がずっと頭の端に重く残り続けるよりは、見ないほうがマシかもしれない。
たとえそこに、結婚線があっても、なくても。
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わたしがそんな考えに一瞬気をとられて、彼女の手から口を離す時間が長かったせいか、それとももう、我慢の限界にきたのか。多分、両者だと思うけれど、唾液にまみれた雀ちゃんの手が眼前からすっと遠のいた。
手首を掴んでいた手もその拍子に外れて、わたしははっとしたように、雀ちゃんの顔へと視線をやった。
「……」
バチリと合い、絡む視線。その熱っぽい瞳に出会って、今日の中で一番、心臓が飛び跳ねた。
まず思ったのが、「逃げられない」ということ。
その異様なまでの目力で、わたしの方から視線を外せないのだ。目を逸らすなとも言われてないのに、それが出来ない。
爛々とこちらを見つめる瞳に、囚われてしまった。
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視線が絡んだまま、ゆらりと雀ちゃんが動いた。
体がこちらへ傾き顔が近付けられてくる。確かに、顔の位置は動いているのに、やはり彼女との視線を外す事ができないでいる。
魅入られるというのはこのことなのかもしれない。そんな考えをぼんやりと持ったとき、わたしは雀ちゃんに唇を奪われた。
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重なった唇は熱いだろうと予測していたけれど、意外にも、冷たかった。驚くけれど、その事実を裏付けるように、わたしの思考が「だって雀ちゃんは腰までしかお湯に浸かっていなかったのだもの」と言う。
対してわたしは、胸までお湯に浸かっていてぽかぽかを通り越して暑いくらいだ。
重ねた唇から熱が伝わって、雀ちゃんの体を温めてくれたらいいのにと、重ねた唇をこちらから押し返した。
それをどういう意図にとったのかは分からないけれど、雀ちゃんの唇が開いて、奥からぬるりと舌が現れた。
その柔らかくて熱い肉は、わたしの唇を舐めると迷う事無くこちらの口内へと侵入して、わたしの舌を求めた。
もちろん、拒むなんて意思もなくて、こちらからも絡めるように舌を差し出すと、くちゅくちゅと音を立てて擽られたあとには、どういう手法で誘い出されたのか謎なくらいスマートに、雀ちゃんの口内にわたしの舌は引き込まれた。
わたしが彼女の親指にしたように、ぐっちゅぐっちゅと、唇を窄めてピストン運動をされると、間近に聞こえる音と、舌から与えられた感触にうなじは粟立ち、ジンと腰が痺れた。
それに合わせて、ジワ、と自分の中から愛液が漏れ出る感覚を下に感じて思わず、「んっ」と声をあげた。
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