隣恋Ⅲ~湯にのぼせて~ 90話


※ 隣恋Ⅲ~湯にのぼせて~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 いちばん。

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 ~ 湯にのぼせて 90 ~

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 ファイリングして残しておきたい程、色んなことを言ってたっけなどと記憶や自覚のない自分の行動に、焦り始める私を見上げて、愛羽さんは笑う。

「雀ちゃんはわたしの恋愛遍歴の中で一番、言葉を使うのが上手なの」
「ほんとですか?」

 愛羽さんが付き合ってきた人の中で”一番”という言葉が嬉しくて聞き返すと、彼女はすこしだけ悪戯に目を細めた。

「嬉しい?」
「そりゃあやっぱり」

 私の頷きに、くすぐったそうな笑顔を見せる愛羽さん。でもどうして、私がこんな順位付けを喜んでいるのを、愛羽さんが喜んでいるのか。謎だ。
 そんな思いが目か、顔に出ていたのか、愛羽さんは私の項に手を回して、キスを促した。

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 がむしゃらに求めるキスとは真逆のキスをしながら、体重を支える腕とは逆の手で、愛羽さんの身体のラインを撫でる。
 腰骨から始まり、くびれを辿り、わずかに触れる肋骨を経て、戻ってきた胸。相手を気持ち良くしてあげたいと思う反面、柔らかなその胸を揉みしだきたいという己の欲望もある。

 結果、その両者の間をとって、手のひらで乳房を包み込むようにして揉みながら、その中心で桃色のそこを指先で弄るのだ。
 そこまでに至って、ふと気が付けばいつの間にか、いやらしく舌を絡めるキスになっていた。

 だってそれは仕方ない。
 そんなふうに頭の隅にいるもう一人の自分が囁いた。

 こんな状況、状態、体勢で、やらしいキスにならない方がオカシイよ。と。

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 確かに好きな人が目の前でこんなあられもない姿でいて、そうならない訳がない。
 愛羽さんに舌を吸われながら、胸の頂きを指で転がす。くにくにといじったり、乳房の中へ押し込むみたいにしてみたり、小刻みに優しく弾くみたいにしてみたり。

 そのどれもに愛羽さんが鼻から抜くような甘い声を聞かせてくれるもんだから、やっぱり私は調子にのる。
 徐々に私の舌を吸うこともままならなくなってきた愛羽さんが、口を開いて、喘ぎ始める。
 その口に入ったままだった舌の角度を変えて、彼女の上顎を目指す。生憎と私の舌は愛羽さんほど長くないから彼女がするように真似はできないけれど、前歯の裏あたりを舐めて唾液をぐちゅぐちゅと鳴らしてみせる。

「は…ぁ、んっ」

 こういう音にもちゃんと反応してくれる愛羽さんは、なんというか喘がせ甲斐があるのだ。
 こちらがした愛撫に反応が返ってくるのは嬉しい。そして、その喘ぎ声がまた可愛いのだ。

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 彼女の口から舌を引き抜いて、見下ろす。甘く乱れた顔で荒く息をする。上下する胸に手をあてているせいで、余計にその呼吸が浅く速いことを知る。

 でも、もっと、だ。

 先程とは反対の胸の尖りへと顔をよせると、愛羽さんが身構える雰囲気をかもしだした。
 小さく笑って、私は胸に舌を当てることなく停止する。

 すると、来ると思っていた感覚がないことを不審に思ったように、愛羽さんが頭をうかせてこちらを窺ってきた。
 その目をしっかりと合わせて、尋ねる。

「なにを、期待してたんです?」
「なっ」

 輪郭や表情くらいはかろうじて分かるけれど、肌の色までは分からない暗闇がにくい。たぶん、今、愛羽さんは真っ赤だろうに。

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 言葉を詰まらせた彼女に少し意地悪な笑みを残して、顔を伏せて、愛羽さんが待ちに待っていた快感を与える。
 ぷくりとたちあがった胸の頂きは少し固くて、グミでもなく白玉団子でもない不思議な感触だ。癖になる感触と言ってもいいだろう。
 口に含んで、吸いながら唾液をしっかりと絡めて舐める。
 舌の先を固くして転がすのもいいし、舌の中程でねっとりと舐めるのもいい。

「んっ、ぅ、あっ……んンッ」

 頭上から聞こえてくるのは、やはり可愛い声で、それがもっと聞きたくて、反対の乳首よりも長時間舐めまわしてしまった。

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 ふと気づけば、私の肩を押し返すように愛羽さんの手がかかっていて、快感に耐える爪をたてる力も弱い。
 いつもよりも弱いそれを不審に思い、胸を解放して顔をあげてみると、それこそ、息も絶え絶え、という表現がしっくりくるくらいの彼女がそこに居た。

「あ、っと……だ、大丈夫…ですか?」

 瞬間的にやり過ぎたなと反省が沸き上がる。
 そんな私に視線を送れないくらいぐったりとした愛羽さんが、震える息を何度も何度も繰り返して、やっと呼吸を整えていく。

 横を向いて、枕に散った長い髪が色気を増幅させる。
 開けているけれど、完全に脱いだわけじゃない浴衣も色気アップ効果ありだ。

 喘ぎ過ぎて、喉が渇くのか、唾を飲み込んで上下する喉も、浮き出た鎖骨も、今の私にはなんだか誘っているように見えてくる。

 せめて、彼女の息が整うまでは、と僅かに残っていた理性が私を阻もうとするけれど、そんなの無理だ。

 だって、愛羽さんが好きすぎるんだもの。

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