隣恋Ⅲ~湯にのぼせて~ 89話


※ 隣恋Ⅲ~湯にのぼせて~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 残したい形。

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 ~ 湯にのぼせて 89 ~

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 照れくさそうに、嬉しそうに、目を細める愛羽さんを上からまじまじと見下ろす。
 確かに、私は心の中で彼女への愛というか、大切にしたいけど求めたいという欲求との葛藤を叫んでいたんだけれども、それがいつの間にか伝心したらしい。

「分かるもんですか…?」
「分かるもんです」

 口調を真似て、自信満々に言い切って、にこりと笑顔をみせる彼女。
 やばい。やばすぎる。
 可愛いすぎる。

 こっちのほうが赤面してしまって、隠れるように彼女の胸へと顔を寄せる。
 頭上で「あ、逃げた」と笑いながら言われたけれど、聞こえないフリをして、尖りを口に含んだ。

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「んっ」

 ピク、と跳ねる身体に押されて、咥えたよりもさらに深く胸が入ってきた。そのせいで、私の前歯に尖りが触れ、愛羽さんから先程よりも大きな声があがった。
 甘くて、鼓膜を震わせるその声は、彼女が受け取っている快感を私に伝えるもので、なんだかこちらまで気持ち良くなってしまいそうな気さえしてくる。

「は、ぁっ…ん、ンッ」

 熱く息を吐き、身体に走る快感を堪えるように布団のシーツを掴む愛羽さんの手は、白むほどの力がこめられているんじゃないかと予想する。
 実際は、電気を完全に消して真っ暗な部屋なため見ることは叶わないけれど。

「ぁっ、やん…っ」

 口に含んだ尖りを吸うと、また可愛い声。それと同時に私の肩に愛羽さんが手をかけた。その手は縋るように私の浴衣をぎゅうと握って、その必死さに胸が熱くなる。

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 可愛い。
 かわいい。
 超可愛い。

 呪文みたいに心の中で繰り返しながら、それと同じ数だけ舌を動かす。

「やっ、ぁ、だめ…っ」

 身体を捩らせ、逃げようとする愛羽さんの腰の下に腕を回して、逃げられない程度にぎゅっと抱き締めた。自由を奪ってしまえばこちらのものと言わんばかりに、先程よりも固くなった乳首に舌を絡ませる。

「だっ……め、ぇ…ッ」

 上擦る声に調子付けられるよう、舌で彼女の尖りを弾く。
 駄目と彼女が言うのは、舐めることなのか、自由を奪うことなのか。多分、両者だろうと結論付けて、肩にくいこむ爪の痛みに耐える。
 いや、耐えるという言葉は語弊があるかもしれない。私はこの痛みを歓迎しているのだから。

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 乳首を舐め続けるのも、やはり限界がくる。
 呼吸も苦しくなるし、舌も疲れてくれば、つりそうになる。

 胸から口を離した私の息はあがっている。だけど、それよりも苦しそうに荒い呼吸を繰り返しているのは、愛羽さんだった。
 腰を抱いていた腕を外して、自分の口元の唾液を拭い、彼女を見下ろす。肩にかかっていた手が、力を入れるのも難しそうに、ぱたりと落ちた。

「大丈夫ですか?」

 私の問いかけに、閉じていた瞼が薄く開いて、その奥の瞳に捉えられた。
 だがまだ、呼吸が整っていない彼女の口からは何も言葉が発せられない。
 ちょっとやり過ぎたかもしれない。窺うように暗闇の中目を凝らしてじっと見下ろしていると、ふいに視界が真っ暗になった。

 愛羽さんの手が、私の顔面を覆っている。

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「恥ずかしいからそんなに見ないの」

 私の視界を塞ぎたかったらしい。でも……。

「何がそんなに恥ずかしいんですか?」

 ただ、呼吸を整えている顔を見ていただけなのに。
 私の問いかけに、顔を覆った手がピクと跳ねたのを感じる。なにか、ヘンな質問をしてしまったのだろうか。

「……感じた後の顔とか絶対だらしないもん」

 ぼそりと告げた愛羽さんの表情もさぞ、可愛いだろうに、手で視界を奪われているせいでそれを拝めなかった。残念すぎる。

「そんな事ないですよ。いつも見てますけど可愛いですよ」
「なんでいつも見てるのよっ」

 ぎっ、と顔に爪を立てられて、さすがに痛くて、凶器である彼女の手を引きはがす。普段は柔らかくて小さくて可愛い手なのに、こういうときは鋭くてしかたない。

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「だって、どんな時にどんな表情してるのかとか、見逃したくないじゃないですか」
「なんでよ、恥ずかしい」

 笑って言う私にムッとした顔をみせてくれる愛羽さんも可愛い。
 うーん、なんで、と言われても……。

「愛羽さんが好きだからですかね」

 好きとカオを見たいってのは同じなの? みたいな表情をする愛羽さんに頷く。

「だって、好きな人の色んな表情、見ていたくなりませんか? 私はなんなら愛羽さんを連射で撮影したいくらいです」

 虚を突かれたように目を見開いた彼女は、しばらくして、目元を緩めた。それから先程自分が爪を立てた部分を指の腹で撫でるように触っていく。くすぐったい。

「わたしは貴女がくれる言葉を全部、ファイリングしたいくらいよ」
「え、それは恥ずかしいです」

 自分が言った言葉なんて、振り返るものでもないし、記念にとっておくものでもない。そんな価値はないはずだ。首を横に振った私に、愛羽さんは優しく笑うのだ。

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