隣恋Ⅲ~湯にのぼせて~ 9話


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 煽る言葉の色気。 

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 ~ 湯にのぼせて 9 ~

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 俯いた愛羽さんの熱い吐息が私に降り注いでくる。

「ん、ン」

 あぁ……そういう声出されると、ぞくぞくする。
 なんていうか、堪え切れなくて漏れた声。欲しくて、堪らなさそうな声。

 現に、彼女の手が私の後頭部に回されていて、縋るように髪を握っているその感触から、欲しがっているのは判る。
 それでも彼女の口からどこをどうして欲しいか言わなければ、私はずっとこのまま、胸の核に触れない愛撫を続けるだろう。

「すず、め……ちゃん」

 切なそうな声を出すくらいなら、早く、ねだって欲しい。私だって、貴女が欲しくてたまらないのに。

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 腹の底からじりりとした何かが沸いて、思考が攻撃的になりそうだった。でも、それを留めたのは、愛羽さんのか細い声。

「じら、さないで……」

 吐息と共に吐き出された声に鼓膜を震わされ、首の後ろから後頭部が熱くなる。その熱が脳を支配してしまえば、私は、彼女へじれったさを与えた後の快感を増幅させようだなんて段階をすっ飛ばして、大好きなひとの身体を思うままに食べ散らかしてしまうだろう。

「なら……」

 私は柔らかく白い肌から舌先を離して、彼女を見上げた。

「ココ、どうして欲しいか言って」

 見上げた先には、焦れた色の瞳が私を迎えたけれど、桃色に色づく胸の頂きを指でくるりと撫でてやりながら告げたその言葉に、彼女の目が笑った。

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 ……笑っ……た……?

 え、と思った時には、やっぱり愛羽さんの唇の両端が上がった。

 な、なんでいきなり、笑うんだ、愛羽さんは。
 自分が何かヘンな事でもしただろうかとたじろぐ私を、愛羽さんの手が、撫でた。さっきまでその手は、私の髪をきゅうと握っていたはずなのに。

「焦らしてるくせに、焦れてる」

 奥の方にはまだ蕩けた色を残しているものの、それを覆い隠すほどの悪戯っぽい光を湛えた目が、私を見下ろしてくる。

「夕食前あんな途切れ方して、おあずけ状態で雀ちゃんの事欲しかったけど……わたしと同じくらい、雀ちゃんも欲しかったのね」

 ドクンと心臓が跳ねて、口から出るんじゃないかと思うくらい、驚いた。
 どこで、どうして、その事実がバレたのか。
 ちゃ、ちゃんと彼女が欲しいと口にするまでは我慢しようと焦らしていたのに、どうしてバレた?

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 あまりの衝撃に心臓が落ち着かない。
 だって、バレるだなんて、あまりにも格好悪い。
 焦らしてたけど、こっちの方が欲しくて欲しくて「待て」が出来ませんでした。みたいなの、格好悪くて仕方ない。

 多分私は目を白黒させていたと思う。
 それを見下ろし、愛羽さんはおかしそうにくすくす笑ったあと、私の手を取った。

「ねぇ?」

 悪戯な響きは消えた彼女のそれ。
 甘く、甘く、蕩けた声で。

「今夜は、1回じゃ終わらせないって、約束してくれる?」

 するりと私の手を、指を、撫でるその仕草だけで、私の心臓はさっきと違う意味でさらに速くなりそうだ。なのにそれに加えて、そのセリフ。
 攻める側だったはずなのに、いつの間にか主導権が移っているこの雰囲気に気圧されながら、私は数回コクコクと頷いた。

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 仕草での返答に愛羽さんは嬉しそうな顔をして、ゆっくりと私の手を持ち上げていく。

「だったら、ね?」

 固唾を飲んで愛羽さんの動向を見守る私の手を口元へ運んだ彼女は、指先へとキスを落としていく。
 小さなキスを落としながらも、彼女の瞳が私を捕らえたまま離さない。

「お互い欲しくてたまらないんだから……」

 視線が絡まったまま、解けない。
 でも、彼女が私の手を何処へもっていくかは、把握できる。

「もう、入れて?」

 浴衣の中へ引き込まれた私の指先に触れたのは、ショーツ。
 湿り気を帯びたそこは熱気も孕んでいて、彼女の誘う言葉と色気とも重なり合って、私の血流をこれでもかという程に速く、熱くする。

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 耳も、顔も、首も、項も、後頭部も、熱い。
 なんなら鼻血が出てしまいそうなくらいに、昂っている。

 なのに、愛羽さんは。

「ね、ココ……入れて?」

 とダメ押しのように、誘った私の手を放して、自らのショーツへと手を移し、それを横へ引く。

 これは……やばい……。

 頭がクラクラするほどの色気に、今すぐ彼女の口を塞いで、それ以上の色香を放出させないようにしなければ。
 そう考えてしまうくらいに、愛羽さんはこれでもかという程に私を煽る。

 そして、トドメの一撃が。

「雀ちゃんの指で、気持ちよくして……?」

 と。

 
 痛いくらいに心臓が早鐘のように打ち、私は彼女のナカへ深々と、挿し込んだ。

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