隣恋Ⅲ~湯にのぼせて~ 8話


※ 隣恋Ⅲ~湯にのぼせて~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 もっと、焦れて……? 

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 ~ 湯にのぼせて 8 ~

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 短く、浅くなってゆく彼女の呼吸。その合間を縫うようにして漏れる声は、子犬のようにか細くて、その幼さに相反する妖艶。
 たっぷりと堪能させてもらった耳朶からやっと口を離すと、くたりとこちらに凭れるように体を寄せてくる。
 その脱力に満ちた雰囲気はどうやらかなりのダメージを与えられたようだ。ここで言うダメージとは”どれだけ快感を与えたか”ということだが。

「大丈夫ですか? 愛羽さん」

 私の胸元に顔を伏せている彼女の髪をさらりと梳きながら問うと、彼女は途切れ途切れに言うのだ。

「だ、いじょうぶに、見える……?」

 ひとの弱点ばっかり攻めて、と私を責める響きのある台詞だ。垣間見えた反抗心に、私はにぃと唇の端を吊り上げた。

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「とっても大丈夫そうに見えますよ」

 耳という敏感な性感帯を執拗に攻められて大分乱れた息を整える彼女は、まったく大丈夫ではなさそうだが、わざとそう告げて彼女の両肩へと手をかけた。
 その手で私に寄りかかる体を私から、座椅子の背へ寄り掛からせるようにする。

 愛羽さんの肌蹴た浴衣姿を見下ろすと、ずっとその光景を目に焼き付けていたいと思う気持ちと、今すぐにその浴衣を剥ぎ取ってしまいたいという気持ちの葛藤が胸に湧く。

「ど、こが大丈夫そう」

 に見えるの、と言いたかったのだろうか。
 私が唇で遮った愛羽さんの言葉を想像しながら、口付けた唇をぺろりと舐めた。
 先程と違い、すぐに口付けを解いて、彼女の頤へと唇をあて、そのまま下へと辿ってゆく。

「ン、く」

 唇の間から僅かに伸ばした舌先で、喉をじわじわと撫でてゆく。
 男性ならば喉仏がある位置は、女性の体でもなにかぼこぼことしている。その凹凸を丁寧に舐めれば、愛羽さんは感じたのか逃げるように座椅子の背もたれに体重をかけた。

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 静かな部屋に、ギ……と座椅子が軋む音。
 彼女の両横に手を着いて、囲い込むようにしながら、愛羽さんの首元へと熱く息を吐く。私のそれは唾液で濡れた肌をぬるりと撫でて、宙へと消える。彼女にひとつの快感を与えるという使命を全うして。

「……ぁ、……ン」

 愛羽さんの唇は僅かに開いたままで、微かに声を漏らす。
 小さなその声をもっと聞きたくて、私はけしかけるよう、更に舌をずらしてゆく。ゆっくりと下った先は、鎖骨の間の窪み。

 確か、剣道ではここを突くんだっけ。やっちゃいけないらしいけど。
 人の急所であるそこの窪みをくるりと舐めて、曲がり角を直角に曲がる。肌蹴けてはいるけれど、彼女の肩にかかっている浴衣を鼻で押しやりながら、じりじりと鎖骨を舌が辿ってゆく。

「ん、っン」

 喘ぎ声がいつもより小さい。という事は多分、下唇を噛んで堪えているんだろう。
 目を遣れない状況で想像しながら、ひとつも彼女の可愛い声を聞きもらさないように耳をそばだてた。

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 鎖骨の端まで舐めて顔を離すと、鎖骨を覆い隠すようするりと元に戻った浴衣。まだ腰紐は解かれていないし、合わせが緩んでいるだけだから当然と言えば当然なのだが、愛羽さんの白い肌を見たくて私は浴衣を噛む。そのまま彼女の肩を抜くように浴衣を引き下げる。

「……っ」

 思惑通り、愛羽さんは浴衣を片側だけ脱ぐように大きく肌蹴た。もちろん、胸の膨らみは肌蹴た側が見える。まだ、触ってもいないのに僅かに勃ちあがった桃色のそれが可愛い。

 肌蹴た浴衣から口を離して彼女を見上げると、なんともいえないカオをしている。
 羞恥と、期待とをかき回したようなその表情がたまらない。

 私の行動を逐一目を逸らさずに追っているのは、次に何をされるのか期待しているからだろうか。
 もの欲しそうなその瞳の色を上目遣いで射貫いて、その期待に副うように私は次の目標地点へと舌を伸ばす。

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 彼女の肩の位置から、斜めに下がった先にある桃色のそれ。ゆっくりと肩から斜め下にずれてゆく私の舌の動きで、察したのだろう。愛羽さんの手が、きゅっと握られた。
 反応の可愛さに胸を掴まれながら、じりじりと目的地へと進んでゆく。

 焦れた彼女から強めの吐息が漏れて、私の髪を揺らす。

 私の舌が触れたのは尖りの周りを色づけているそこ。肌とは若干舌に触れる感触が違っているそこを舐められる感覚はどんなものなんだろう。
 想像するに、すぐにでも尖りに触れて欲しいのに、ぐるぐると円を描くよう、伸ばした舌で周りばかりされる状況は、快感を伴う苦行なのではないだろうか。

 あぁ、ほら。
 愛羽さんの手が、持ち上がった。

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 私の頭を引き寄せるように後頭部に添えられた手。
 髪へ指を差し込まれる感覚は嫌いじゃない。

 少し力を込めて引き寄せるその仕草に、やはり胸を掴まれながらも、その力に抵抗した。

「すずめちゃ……なんで……」

 焦がれて、焦れて、欲しくてたまらないその声。
 ジンと頭が痺れるような感覚に襲われて、私の口から吐息が漏れた。熱い息がかかってぴくんと体を跳ねさせた愛羽さんが可愛いくて、更に苛めたくなってしまうのは悪い癖だが……これが止められない。

 私を見下ろす彼女を見ぬまま、告げた。

「舐めて欲しいなら、ちゃんと言ってください」
「っ」

 息を飲むように詰まらせた気配に、にやと口元が緩む。

「言わなきゃ……舐めてあげませんよ?」

 そうして私は、また、尖りの周りをくるくると舐めるのだ。
 彼女を、催促するように。

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