隣恋Ⅲ~湯にのぼせて~ 88話


※ 隣恋Ⅲ~湯にのぼせて~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 愛の気配は見えるもの。

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 ~ 湯にのぼせて 88 ~

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 ゆっくり。
 頭の中でそう呟きながら、私は彼女の両脇にそれぞれ左右の手を着いて自身の体を支えながら、愛羽さんの胸へと顔を近付けた。

 ふっと息を吹きかければ、ピクンと反応する身体が可愛い。跳ねる身体に目元を和らげながら、胸の頂きのすぐ横をぺろりと舐める。

「ぁっ」

 跳ねる身体と似たように、短く声をあげる愛羽さんの顔へチラリと視線を送ってみる。すると、彼女は、寝転がったままの体勢では自分の胸元は見辛いだろうに、それにも関わらず、私が舐めるその光景を見つめていた。

 期待の瞳がこちらを見つめていたのだ。

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 知らないうちに、私の唇には笑みが浮かんでしまっていた。
 だって、愛羽さんが、胸を舐められる事に喜び、もっと舐めて欲しいと快感を期待しているのだ。

 それを私が喜ばない訳がない。
 そして、期待に応えない訳にはいかない。

 昂る心が背中に鳥肌を立たせるけれど、気にもかけず、私はもう一度彼女の胸の頂きを舐めて、さらにそのまま、乳首の外周をぐるぅりと舐めた。
 頭の中で、”ゆっくり”と唱えていただけあって、舌の動きは緩慢な程だったと思う。
 たっぷり時間をかけて、ねっとりと舌で回すように舐めたそこは、掠ってもいないのに突起として自身を大きくしている。

 この尖りに触れると、どんな感じなのだろうか。
 固いのか、柔らかいのか。
 それとも芯はあるが柔らかい感触?

 その答えを得る為に、私は尖りの周りを回った舌を中心へと移動させた。

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「アッ、あっ」

 舌が触れると一声。下から上へ舐め上げるともう一声と鳴いた彼女の顔は、いつの間にか天井を向いている。
 てっきりこっちを見つめたままだと思ったから、時間をかけて焦らすようにねっとり舐めてみせたのに。残念だ。

 だって、愛羽さんは自分がされている所を眺めることで、余計興奮を覚える人だから。

「あっ、ひン…ッ」

 もう一度尖りをじっくりと下から上へと舐めてみると、なんだか一度目のときよりも舌触りが固い気がする。気になって、確かめるようにもう一度。さらに、もう一度舐めてみる。

「んんんっ」

 私の頭上で、堪えるようにくぐもった声がして、顔をあげてみると下唇を噛んでいる姿がある。嘆息とも吐息ともとれるような小さな息を吐いて、目尻をさげた私は体を起こして彼女の唇にキスをした。

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 軽く啄んだキスを終えて、閉じていた瞼をあげる。

「噛んだら駄目です」
「……だって」
「あと、声我慢するのも駄目」
「……」

 追加された禁止事項に、何か言いたそうにこちらを見る目に力がこもる。

「そんな顔しても駄目なものはダメ。今夜は正直に気持ちいいって声も聞かせてくれるんでしょう?」

 愛羽さん自身の言葉を人質に言ってみせると、小さく「そうだけど……」とモソモソ反論しようとする。

「けど、何ですか?」

 駄々っ子にも近い反論を企てようとする愛羽さんが可愛くて仕方ない。言葉の尻を繰り返して先を促すと、伏目がちに私を見上げた愛羽さんはこういった。

「……恥ずかしい、もん」

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 何をいまさら。
 なんて考えは少しも浮かばなかった訳ではない。

 けれど、それ以上に、口をへの字にも近く曲げて、窺うようにちらちらと私を見上げてくる愛羽さんのその表情に、心臓を撃ち抜かれた。
 だから一応、忠告をしておく。

「あんま、煽らないでください」
「あおってなッ、ン、ぅ……」

 煽ってない、と言おうとした彼女の口を強引に塞ぐ。
 貴女が煽っていないつもりでも、私は十分に煽られた。こうして、戸惑う舌を強引に絡めとるくらいには、十分。

 どうしてそんなにも可愛いのか。
 
 その理由や原因なんていくつもあるけれど、今は、それについて一々考えているのも時間が惜しい。

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「愛羽さん」

 口付けを解き、間近で見下ろす。
 蕩けた瞳は、ぼんやりと私を映す。その瞳が、強引に求められたキスでも気持ち良かったというようにとろんとしているせいで、私はまた、勘違いしてしまいそうになる。

「嫌なことはいやと言って欲しいです。でも、気持ちいい事は……声で。出来れば、言葉で教えてほしいです」

 どう言えば伝わるんだろう。
 貴女が嫌がる事はしたくないんだけど、私は理性がとぶと自分が何をしでかすのか分からない。でも、貴女が嫌でないのなら、強引に求めたり、優しく愛撫したり、私の知り得る限りの快感伝達方法を貴女に贈りたい。
 でもそれが、貴女にとって嫌なものならば、すぐにやめるつもりではある。けれどそれは試してみないと分からないし、更に言えば、貴女が”嫌”という感情を隠してしまえば、私は察知できない。
 本人に聞くことでしか、貴女のココロを知る術がないのは歯がゆい限りだが、今の私ではこれが限界。

 そんな事をつらつらと言えたらいいのだけど、そんな場面でもない上に、長すぎる。
 だから言葉を詰まらせていると、私の下に居る愛羽さんがじっと目を見たあとに頷いてくれて、心底、ほっとした。

「なんか…今」
「え?」

 照れくさそうに愛羽さんが目をきょろきょろさせる。

「すごく大事にされてる気配がした……」

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