隣恋Ⅲ~湯にのぼせて~ 87話


※ 隣恋Ⅲ~湯にのぼせて~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 どうして欲しいのか。

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 ~ 湯にのぼせて 87 ~

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 羞恥心を圧して告げられた要求を聞いて3秒間、恥ずかしながら私はピクリとも動けないでいた。
 だって、このシチュエーションは、初めてと言ってもいいと思うほどに経験がなかった。
 聞いてもいないのに愛羽さん自らが、”気持ちいい”と言ってくれて、さらに、”もっとして”と強請ってくる。そして更にさらに、真っ赤になりながらも、ちゃんと私の目を見て言ってくれたこのシチュエーション。

 このシチュエーションを、仮に、男の私が居たとしたならば、言おう。

 ―― ギンギンだ。

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 だが生憎私には、そんなふうにギンギンになるものがない。
 あればもっと愛羽さんを悦ばせてあげられるのかも、という観点では欲しいとは思うけれど、男になりたい訳ではない。
 そのあたりが難しい。なんてこの場に似つかわしくない真面目な考えに思いを馳せてしまいそうになって、慌てて打ち消す。

 今はこの目の前の、可愛くて可愛くて可愛いひとをしっかりと可愛がる事が最優先事項なのだ。

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「な、なにか言ってよっ」

 そろそろ私が行動を起こそうとした一拍前に、無言の空間に耐えられなくなった愛羽さんが握っていた私の手をパタと振った。
 確かに、自分が愛羽さんの立場だったとして、かなり頑張ってああ言った後無言の空間が出来上がってしまったら、焦る。というか、泣く。
 私は早速彼女の要求通りに、その胸の頂きに指をあてがった。それだけでピクンと跳ねる身体が愛おしく可愛い。

「愛羽さんがあまりにも可愛いんで、ちょっとトリップしてました」

 安心させるようににっこりと笑顔を浮かべる間は、ゆるく、やさしく、固さをましてきた乳首を撫でる。

「お願いだからおいてかないで」
「すみません」

 素直に心細さを伝えてくる愛羽さんに目尻が下がる。ほんと、どうしようもなく可愛いなこのひとは。そんな可愛いひとには愛と快感を伝えなくては。
 私はキュッとそこを摘まんだ。

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「ひァっ」

 ああ、どうしよう、可愛い。
 短く上がる声が、素直宣言をしたせいか、甘さを増している気がする。

 猫が甘えるみたいな声音で短く快感を叫ぶ彼女の喉に噛みつきたくなる衝動を抑えて、また胸の尖りをくるりと優しく撫でる。

「ココが、気持ちいいんですもんね」
「ん…ぁ……」

 こく、と、小さく顎を引くようにして頷く。

 ――だめだ……愛羽さんが可愛いければ可愛い程、いじめたくなる。

「ちゃんと、教えてください。この口で」

 肩の横辺りに手をついて、腰を浮かせて、乳首を撫でていた指で愛羽さんの唇をそっとなぞる。もうすでに、唾液は乾いていて、パリッと何かが引っかかるような感触が残っているけれど、少し力を込めれば指を曲げる事は可能だ。

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 愛羽さんは何かを言いたげにこちらを羞恥の瞳で見上げるけれど、促すように私が首を傾げたら彼女は観念した様子で軽く息を吸った。
 それに合わせて、唇に触れていた手を引く。

「きもち、いい……です」

 なぜ敬語になるのか、なんて質問は意地悪すぎるか。
 ちゃんと私の要求に応えてくれた愛羽さんの胸へと再び手を伸ばすけれど、今度は、反対の頂きだ。片方ばかり弄っていたら、反対側が拗ねてしまう。

「こっちはどうですか?」

 乳首に拗ねるもなにもないだろうと自分の考えに心の中でツッコミを入れながら、先程とは逆のそれをやんわりと撫でてみせる。また跳ねた愛羽さんの身体を可愛く思いながら、デコピンの要領でピンと弾いた。
 もちろん、罰ゲーム並みの強さではせず、軽く、だ。

「ひんっ」

 それでも少々強すぎたらしい。
 若干腰を引くように、背中を布団に押し付けた愛羽さんの反応に軽く目を開く。自分でやった事とはいえ、酷くしすぎた。

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「すみません」

 痛かったですか? と心配しながら弾いた胸の尖りをそっと指の腹で撫でる。
 確かに、弾くときに一番に触れるのは爪という固い部分な訳だから痛くない訳がない。反省の色濃く彼女を窺っていると、愛羽さんはきゅっと閉じていた瞼を押し開き、詰めていた息を解放した。
 はぁっ、と吐き出された呼吸がうっすらと頬をなでて過ぎ去ってゆく。

「……いたくは、なか…ったけど」
「けど……?」

 嫌だった、とかかなと予想を立てて早くも自己嫌悪に陥りそうになる。

「も、ちょっと……ゆっくりがいい……かな」

 ゆっくり……?
 頭の中で彼女の言葉を反芻しながら、私は先程よりもぷっくりと存在感を増している尖りを見つめた。

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「あ、あんまり見ちゃだめ」

 両手で胸を隠すように腕をクロスさせる愛羽さんの顔へと視線を移して、ゆっくり、の意味を考える。
 デコピンをゆっくり? いやそんな訳ないよな。
 そうじゃなくて、瞬間的な刺激じゃなくて、じっくりやってほしいってこと……?

「……だったら……こう、ですか?」

 私は静かに身を屈めた。

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