※ 隣恋Ⅲ~湯にのぼせて~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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宣言通りに。
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~ 湯にのぼせて 86 ~
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まるで生理の時に、体内からどろっと血が流れ出した時のような感覚。
頭の隅でそんな感想を抱きながら、私は耳にプチッという何かの音を聞いた。あとから気付いてみると、その何かが引きちぎれるような音は、堪忍袋ならぬ、理性の緒が切れた音だったと思う。
それが切れたのだから、私の頭に我慢、という文字は無かった。
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「愛羽さん」
名を呼ぶ声も一段と低い。
それに気付いたのか、名を呼ばれたからなのか。愛羽さんがこちらを見上げる瞳に、少しだけ理性の光が差した。
その瞬間を見逃さずに指を引き抜く。じゅぱっ、と音が立つけれど、それを聞いても怯まない私がいる。
自分自身のいつもの行動を顧みると、ここで私は怯んで動きが鈍る。イヤラシイ音を恥ずかしく思って、「ぅ」とか喉奥で唸るみたいな声を漏らして、ぎこちなくなるのだ。
でも、今の私は、いつもの私とはちょっと違う。
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右膝で圧迫していた下腹部をとりあえず解放して、愛羽さんの太腿を跨ぐようにして体の両脇に膝をつき、自分の体を起こす。ちょうど、彼女の太ももに座るような体勢だが、軽く尻を浮かせてあまり体重はかけていない。
自分の脚の筋肉に力を入れながら、少しだけ前傾姿勢。そして手を伸ばす。片手は腰紐。片手は浴衣の合わせに。
流石右手左手。長年連れ添ってきただけにチームワークばっちり。腰紐を解いた瞬間に浴衣の合わせを引き開き、愛羽さんの胸元を開けさせた。
それに驚いていたのは、愛羽さんだ。
数分、いや1分前には自分がこの場の主導権を握っていたのに、指を口から失い、たったの20秒もかからずに、裸の胸を晒す事態になっている。
目を丸くして、瞬かせるのも分からなくない。
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驚きの表情に構わずに、私は愛羽さんがぬるぬるに濡らしてくれた指を胸へと伸ばした。だって、せっかく濡らしてくれたのだ。有意義に使わないと。
ここに鏡はないけれど、私は随分と薄い笑みを浮かべていると分かる。
「そんなカオ、しないでください」
突然の事に驚いた色はまだ褪せていないけれど、自分の身にこの後起きるであろう快感を期待して、そんな自分を恥じるようなカオを。
「余計、興奮しちゃいますから」
吐息と共にそう吐き出すと、自分の瞳が潤むのを感じた。僅かに滲んだ視界に、それほど身体が昂っているのかと自覚が増す。
愛羽さんの頬に、さらに林檎色が加わると、どこからか満足感が込み上げる。けれど、満足感を貯めておくバケツの底には穴が開いているらしい。2秒後には、もっと彼女が欲しいと心が騒ぎだして、背中を押されるように、私は濡れた指を彼女の胸の頂きに触れさせた。
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正しく言うならば、指に付着した彼女の唾液を、本人の胸の尖りに返却した、という言い回しだろう。
潤滑油のような唾液を乳首に擦り付けているうちに、愛羽さんが短く息を吐いた。まるで、そんなふうに呼吸をしたかった訳ではないのに、つい、息が漏れたというように。
「しっかり舐めてもらったんで、お礼代わりに」
薄かった笑みは、意地悪な笑みにいつの間にかすり替わっていたと思う。
見下ろしながらそう告げた私の口は濃い笑みになっていた。
「は、なしが…ちが……ん、……っぅ……!」
荒くなりそうな呼吸をなんとか鎮めようとしながら、愛羽さんが強気にも言い返してくる。
ナカに入れるから舐めて、みたいな理由で舐めさせたんだったっけ、と思い返しながら、私は三本の指の唾液をあらかた胸の頂きへと移し終えた。
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「んっ、ぅ……ッ」
殺しきれない声がその口から漏れ出る様は、どうしようもない程の色香を醸し出す。
やばい、かわいい。なんて、言いたくなるけれど、ぐっと堪えて、愛羽さんの唾液が渇いてしまう前に、と、随分とたちあがっているそこを指で挟む。
「ひんっ」
短い声。
それはそうだ。私が乳首を摘まんだ後すぐに手を放したんだから。
「どうしました?」
なんて意地悪で極悪にも問いかけてみる。
理由も、答えも、分かっているのに、そんな言葉を吐く自分の意地の悪さとそうさせる愛羽さんの可愛さと魅力に後ろめたさと興奮を覚えながら。
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その目は、”どうしましたじゃないわよ”なんてセリフを今にも吐きそうなくらいだ。でも、目は口ほどに物を言うとは言え、その目に唇がある訳でもないから、そんなセリフは聞こえてこない。
愛羽さんの言いたい事は分かっているのに、聞こえてくるのは乱れた呼吸音だけ。
どうも不思議な感覚だ。
「ココ」
「んぁッ」
また、その頂きを摘まむ。放す。
「触られると、何かあるんですか?」
私の度重なる意地悪に、こちらを見上げる目が鋭くなる。でも、予想外な事が次の瞬間、起きた。
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荒い息を止めるように、口呼吸を止めて、一度瞼を伏せる。鋭くなっていた瞳が隠れて、もう一度姿を現したとき、そこには、私の意地悪に向けられていた敵意のようなものは消え失せていて、代わりに、どこか恥ずかしそうな色が浮かんでいた。
「……ったもん」
「え?」
声が小さすぎて聞き取れず、とっさに聞き返した。
「言ったもの。わたし」
倒置法を使って、愛羽さんは何を強調したがっているのか。謎が解けなくて首を傾げる。
「素直になるのよ、今夜は」
……確かに、それは先程聞いた話だ。
でもどうしてここでそれを? と問い掛けようとした私よりも先に彼女が口を開いた。
自分の胸から離れた手を握り、引き戻しながら。
「……気持ちいいから、もっと…して」
頬、耳、首、鎖骨まわり。全てに林檎色を差し込んで、愛羽さんは要求した。
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