※ 隣恋Ⅲ~湯にのぼせて~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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舐めてください。
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~ 湯にのぼせて 84 ~
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私の言葉は完全に聞こえたであろうに、その舌は依然、動きを止めたまま。
愛羽さんを見下ろして、動かぬ舌に指を軽く押し付けて、私は再び言う。
「舐めてください」
ピクリと動いた彼女の眉。
そんなに指を舐めることに抵抗があるのだろうか。それとも、羞恥心かなにかが愛羽さんの動きを鈍らせているのか。
動かぬ彼女にしびれを切らした私は膝を左右に揺らす。
「あっ、ぁ……っ」
「ずっとこのままでいいんですか? 愛羽さんが指をしっかり濡らしてくれたらこの指はあるべきところに入っていくんですけど」
あるべきところ、なんて恰好つけた言い方だけど、要は今私が膝で押しているソコである。
それは当然、愛羽さんも理解できたようで、少し頬を赤らめて視線を逸らす。けれど、口に指が入っているせいで、顔を背けることは叶わない。
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まだ、口撃が足りないか…?
と、更なる言葉を用意しかけたとき、人差し指に触れている舌が、動いた。
うねるようにその表面は指の腹をさらりと撫でてから、一度奥へと引っ込む。直後、ごくりとたまった唾を飲み込んだのか、喉が上下して舌が戻ってきた。
初めて、ひとが嚥下運動をするときに舌を触っていたけれど、舌が喉の方へ引っ込むみたいにして山なりになるらしい。
「……ふ…ん……」
鼻から抜けるような声で色気を醸し出しながら、愛羽さんの舌が私の指へと絡みついてくる。
第一関節の窪みを探り当てた舌先が横にさらりと関節をなで、更に進んで、第二関節の窪みを探している。
いったりきたりした舌が第二関節を探し当てると、指の腹側にぴったりと舌が添うような形になった。
そのまま、関節の窪みを左右にチロチロと舐めた舌先が、そこから抉るように指の腹側をねっとりと舐めながら奥へと引っ込む。
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一度奥へいった舌が嚥下運動を終えて帰ってくると、今度は舌の下側に指が潜り込むような形で密着された。と思えば、そのまま指を中心に右向きでクルリクルリと巻き付くように外周をなぞられた。
そうしながら、時折鼻から抜ける声をあげる愛羽さんの表情は、どこか悩ましげだ。
指を深くまで咥え込むのは苦しいのか、眉を寄せているものの、瞳が蕩けていて、完全に嫌な訳でもなさそうだ。
左回りに指を舐め始めた舌も気持ちいいけれど、私は名残惜しく思いながらゆっくりと指を引き抜いた。
が、これで終わらせるつもりは無い。
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指を口から抜かれた愛羽さんも、終わりだと思ったのか、眉が和らぐ。
けれどそんな表情の彼女を他所に、私は中指を人差し指の代わりに差し出し、唇を割って、舌の上に乗せた。
「んん……!」
何と言ったのかは分からないが、愛羽さんが不満そうな顔で私を見上げた。
「中に入れる指が1本で良ければ、舐めなくてもいいですけど?」
しれっと言い放った私の言葉に、彼女の眼光が揺れた。
すかさず、ゆるい動きで揺らし続けていた膝にもう少し力を加えて蕾を押し潰すと、身体を捩らせて、快感に耐える愛羽さん。
「ほら、身体はこんなに欲しがってるんだから。正直にならなきゃ……ね?」
わざと煽るように彼女の言葉を引き合いにだして、にっこり笑ってみせる。その直後に、先程揺らいだ眼光に、チラと違う光が混ざったのは気のせいだろうか。
僅かばかりの不審さを感じた私の感性は正しかったのだと気が付いたのは、その数分後のことだった。
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私の手の指の中で一番長い中指を完全に口の中に押し込むと、多分、おえってなる。
自分でやったこともないけれど、想像するのは容易だ。だからと思って、第二関節までしか挿し込まなかった指を、更に口の中に押し込んだのは他でもない、愛羽さん自身だった。
最初は、口に入ってきた私の指を抜こうと握ってきた手首。それをしっかりと持ち直して、彼女は自ら、深々と指を咥え込んだのだ。
焦ったのはこちらだ。
別に痛めつけたい訳でも、嘔吐させたい訳でもない。
慌てて、深く入った指を引き抜こうとしたら、手首は抑えられるし、上下の前歯がカチリと指の根元をホールドして動けなかった。
「ちょ、…っと愛羽さん」
大丈夫ですか? と、何する気ですか? が一緒になった声が彼女の名前を呼ぶけれど、それに応えてくれたのは、何か意味有り気ににんまりする瞳だった。
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とりあえず、手首をおさえられ、歯で挟まれては、引き抜くことはまず無理だ。抵抗する力を緩めると、それを察知した愛羽さんの歯が、私を捕まえる力を緩めた。
少しばかり痛みを感じていたそれが緩んだのは嬉しいけれど、まだ、彼女が何をしようとしているのかは謎だ。
だからこそ、食い入るように彼女の口元を見つめていた。
もし、全力で噛みつこうとしてきたら、すぐさま指を引き抜かなきゃいけないし。
警戒心を込めた視線でもって、彼女の動向を監視していると、愛羽さんはゆっくりと唇を閉じて、指と唇を密着させた。そして口内では、指の腹側にぴたりと舌がくっつけられて、さらに、舌をU字に丸まらせている。
言うなれば、私の指はソーセージで、愛羽さんの舌がパン。ホットドックの出来上がりだ。
なんて妙な例えを考えている間にも、愛羽さんはゆっくりと頭を動かし始めた。
手首を掴まれている私はその光景を上から見下ろすしかなかったけれど、みるみるうちに、自分の顔に熱が集まって、赤くなっていっているのが分かる。
だって、目の前で、卑猥な音をたてて、自分の恋人が、指をしゃぶっているのだ。
挑発的に、私の目をまっすぐに見上げながら。
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