※ 隣恋Ⅲ~湯にのぼせて~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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声が聞きたい。
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~ 湯にのぼせて 82 ~
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最後の夜くらいは、と素直な言葉を聞かせてくれるだなんて、どんなサプライズだ。
可愛い過ぎて、くらくらしてくる。
「…んっ、ぅ……ん」
卑猥な音がたつのも構わず私は愛羽さんの舌を吸い上げる。そのせいで、愛羽さんがくぐもった声をあげて私の鼓膜を震わせる。
少しだけ上擦った愛羽さんのその声は私の心をくすぐって、欲望をかきたてる。
口付けを解いて、彼女を真下に見下ろしながら私は囁いた。
「もっと、愛羽さんの声聞かせてください」
自分の心臓の音が相手に聞こえてしまうんじゃないかと心配になるくらい、ドクドクとうるさい。
それを掻き消すくらいに、貴女の声で、私を満たして欲しい。
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口付ける寸前に、「好きです」と告げて、愛羽さんが何か言う暇も与えずにまたキスをする。それと同時に、愛羽さんの下腹部に押し付けている脚で、そこに負荷をかけていく。
「ァッ」
舌を絡めているから、声が出易い状態のはずだったのだけど、彼女はどうやら声を我慢したらしく、短いそれしか聞かせてもらえなかった。
でも、短いながらも咄嗟に出てしまった声は快感の色が濃い。
切羽詰まったような、上擦った声が下腹部の快感を訴えていた。
ゆっくりと舌を舐めるようにして彼女の口内から自分の舌を引き抜く。
瞳を潤ませて揺らす愛羽さんの顔を覗き込む。
「声、がまんしないで?」
「だって…」
恥ずかしいのだとその目が訴えてくる。それは百も承知で、私は言うのだ。
「愛羽さんの声、聞きたいです」
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閉じた唇が何か言いたげにもぐ…と動くけれど結局それは開かれなかった。
多分、彼女の中でも葛藤があるんだと思う。
素直になろうとしているけれど、素直になったからと言って羞恥心が無くなる訳ではないのだ。
「愛羽さんが可愛いっていうのは知ってるんですけど」
柔らかな頬にキスをしてそのまま耳の方へ唇を滑らせてゆく。
「もっとたくさん、貴女の可愛い所をみせてください」
耳の穴へ声を落とし込むように囁きながら、反対の耳を指先でなぞる。
くすぐったいのか、感じるのか、耳をなぞる手から逃れるように身を捩らせる愛羽さんが可愛かった。
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今日は前日、前々日と違って、部屋の灯りは消してある。
だからそこまで何もかもが見えている訳ではないから、色々と都合が良いはずだ。
例えば、色んな所を見られるのが恥ずかしい点も、この暗さではさすがにハッキリと見えない。愛羽さんにとってそんなメリットを生み出す暗闇の空間で、私は彼女の耳朶に舌を這わせて、吐息を吹きかけた。
「…んっ」
濡れた肌は空気を敏感に感じ取りやすく、快感を生み出しやすい。
そして更に言えば、耳は愛羽さんの感じやすい所ランキングでも上位に食い込む場所だ。
弱点と知っているからこそ私は、ゆっくり、じっとり、ねっとり、耳裏の髪の生え際を舐め上げた。
「…ぁ、あ……ひ、んっ……ぁ」
小さい声だけれど、さっきと比べれば格段に増えた口数。
それに気を良くした私が舌の先端を固くして、今度は耳裏を上から下へとじりじりと舐め下ろした。
「ひ、ぁっ…く……」
逃げるように愛羽さんが身体を捩ろうとするけれど、私が覆いかぶさった身体で押さえつけてそうはさせない。彼女には、快感を堪能してもらわなければ。
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いつの間にか、愛羽さんの手が布団のシーツを掴んでいる。
皺が刻まれそうな程に縋られているそれは、彼女の快感指数を示しているようで、こちらの目元は緩むばかり。
愛羽さんの耳たぶをぱくりと咥え、吸いながら引っ張る。
よく、耳たぶと白玉団子は同じ柔らかさだと言うけれど、愛羽さんの耳たぶは白玉団子よりも柔らかいと思う。
いつまでも吸っていたくなるけれど、自分の快感を優先させたセックスほど相手にとって気持ち良くないものはない。そう信じている私は、ちゅるりと耳たぶから唇を離して、愛羽さんの耳の中心。穴に向かって息を吹きかけた。
「ンッ、ぅ」
下唇を噛みしめて声を出さないようにしている愛羽さんから漏れ出た声は、堪らない程の色気を纏っている。
短くとも、小さくとも、感じ取れる彼女の快感にほくそ笑み、私は舌を唇から覗かせて耳へと近付いていった。
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「ね、ぇ…っ」
切羽詰まった声が私の行為を遮った。
「なんです?」
動きを止めて、彼女の声に応えてみるけれど、愛羽さんは乱れた息を吐くばかりで、二の句を続けられないでいる。
呼吸が整うのを待つ私の視界で、ゆっくりとシーツを掴む手が弛緩してゆく。
「なんで、そんなにゆっくりなの…?」
「え?」
質問の意味が分からずに問い返す。眉を軽く上げた私を潤んだ目が見上げてきて、その瞳になんだか飲まれそうになった。
「いつもより……」
言葉を探すように、きょろ、と左右に瞳が揺れて、探し当てた言葉を形のいい唇が紡いだ。
「……じれったい……」
それはそれは恥ずかしそうに告げるその姿、仕草。
私を欲情させるには十分すぎる可愛さを帯びているそれらに、背中がゾクゾクする。
悪寒なのか快感なのか分からないそのゾクゾクに、私は身を震わせた。
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