※ 隣恋Ⅲ~湯にのぼせて~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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素直。
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~ 湯にのぼせて 81 ~
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部屋の天井の電気を消すと、真っ暗だ。
生憎とこの部屋にはスタンド類の光源がなくて、ある灯りと言えば風流なもので月明りくらいなものだ。
しかし最初は真っ暗でなにも見えない。こんな状態で出来るのか? なんて思っていた所、人間の目の機能は素晴らしいもので、目が暗闇に慣れてくると大体のものは見えてきた。
「意外と目って慣れるもんですね」
「え、まだ全然見えないんだけ――」
ど。
の言葉を奪い取った私の口付けに驚くように目を見開いた彼女に間近で笑ってみせる。
「このくらいの距離なら、見えますか?」
「ぅ…な、なんとか」
たじろぐような口調なのは、まだ目が慣れていないからなのか、それともキスをされた事の動揺なのか。
どちらにしても構わない。
私は早く、貴女が欲しいのだ。
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数分前。
電気を消して、という言葉にきゅんときたのはいいけれど、この部屋の天井の電気は壁のスイッチか天井からぶらさがる本体の紐を引っ張るしか、消灯方法が無い。
だからつまりは、一旦、立ち上がるしかない。
せっかくいい雰囲気を作り出せたのに、と不平を抱かない訳でもないけれど、あの言葉を言った愛羽さんの可愛さに免じて、彼女の頬にひとつキスを落として私は彼女から離れて立ち上がる。
本体からぶら下がる紐を引っ張って、消した。
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愛羽さんの身体に覆いかぶさるようにして元の体勢に戻った私は当然のように、しれっと彼女の脚を膝で割った。
多分、明るければ浴衣の裾がはだけて扇情的に光景になっているのを見れたと思う。
まぁそんなことを残念がっても致し方ない。
暗闇は、暗闇なりの楽しみ方というものも存在するのだから、今日はそれを楽しもう。と気持ちを切り替えて、私は彼女の唇を奪ったのだ。
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当たり前のように深いキスをして、彼女の舌の柔らかさと熱を堪能してから口付けを解く。とろりとした甘い表情を見せる愛羽さんに微笑んで頭を撫でてあげると、さらに彼女の目元が緩む。
「きもちいぃ…」
蕩けた声音で、甘えるように伝えてくる愛羽さんにわざと、首を傾げてみせる。
「キスが? それとも撫でてるのが?」
悪戯な質問だけれど、愛羽さんは気を悪くするどころか上機嫌に唇と目に弧を描く。
「どっちも」
甘えた声でいいながら、私の後頭部に手を回してくるあたりをみると、キスに天秤は傾いていそうだった。
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愛羽さんの脚の間についた膝をすこし身体の中心に近付けてあげると、自然と、愛羽さんは足を開く。
もうそれは癖のような、条件反射のような行為になっていて、広げられた足の間をついと進んだ私の膝はぴたりと彼女の下腹部にくっついた。
丁度、布団に膝を着いて、膝上が愛羽さんの下着のクロッチにくっつくような形で密着した足を、愛羽さんの柔らかな内太腿が挟む。
それだけでこちらは気持ちいいのだけれど、愛羽さんからしてみればそういう訳ではない。下着に触れられて気持ちがいいなんて事はなくて、下腹部を押し付けて初めて、彼女は快感を得るのだ。
「腰、ちょっと動いてますよ?」
意地悪にもそう告げるのは、彼女の羞恥心を煽るため。
狙い通りに、恥ずかしそうに視線を横に逸らした愛羽さんは小さな声でぽそりと言った。
「だって…。気持ちいいもん」
小さい声だったけど、流石にこの至近距離だ。聞こえる。
私の耳に届いたそのセリフに、自分の耳がどうかしてしまったのかと耳を疑った。
だってこういう時、返ってくる愛羽さんの言葉は決まって、「るさい」だ。もしくは、「うるさいばか」だ。
なのに彼女は何と言った?
「愛羽…さん……?」
まさかとは思うけれど、聞き間違えたか幻聴か。
私は思わず、怪訝な視線を送ってしまった。
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「…なに……」
「あ、いや…その」
明らかに照れた顔で睨んでくる愛羽さんは、いつもの愛羽さんだ。
でもその目に、ちょっとした恥じらいが含まれている……ということはつまり、さっきのセリフは嘘でも幻聴でも空耳でもないのだ。
「さっきのって……」
い、一応確認しておこうとしながら、問いかける私の顔まで赤くなってくるのは何故だろうか。
そんな私に負けず劣らず、赤い顔で恥じらう視線を彷徨わせながら愛羽さんは言った。
「最後の夜くらい……素直になろうと思っただけだもん」
あぁ……やばい……。
息が詰まってしまいそうなくらい、可愛すぎる。
たまらず私は愛羽さんの唇を奪った。
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