※ 隣恋Ⅲ~湯にのぼせて~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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甘い雰囲気と突然の声。
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~ 湯にのぼせて 70 ~
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「……愛羽さん…」
緩く、甘く、優しいキスを繰り返していたはずが、いつの間にか、舐めるから絡まるに変化していた。
雀ちゃんも、わたしも、軽く息があがってきている。
呼びかけに開けた瞼の向こうに見えた表情は、抑えきれない昂りと欲求をぶつける先を探している。
でも。駄目。いつ仲居さんが来るか分からない。
「…我慢して」
「だって」
「駄目」
欲しくてたまらない。
そう告げる瞳を見つめたまま、非情にもピシャリと彼女の台詞を遮った。
それでも彼女はいつのまに触れさせていたのか、わたしの胸にあてた手でやわやわと膨らみを揉む。
浴衣の下にはブラジャーをつけていないから、ダイレクトにその刺激が伝わって、不覚にも、気持ちいいと思ってしまう。
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そんなわたしの表情の細かな変化を、彼女が見逃すはずもなくて、雀ちゃんはクシャリと指を曲げて胸の尖りを爪でひっかく。
「ぁっ」
数時間前、この身体は散々興奮させられて、完全に余韻が抜けきったとは言い切れない。
わたしの口から早くも上擦る声が漏れたのはそのせいだ。
言い訳を思い浮かべながら、雀ちゃんの肩に手をあてて突っ張る。
「もうご飯きちゃうから」
「でも愛羽さんの乳首たってます」
わたしは、ストレートに言う雀ちゃんの肩に拳を軽くぶつける。
そんな事言わなくていいし、そうなったのは雀ちゃんが爪をひっかけるからだ。
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「ね、ちょっとだけですから」
安いナンパを仕掛けてくる男のような台詞をいいながら、さらにわたしの胸の尖りに爪をひっかけて弾いてくる雀ちゃん。
駄目だ、止めなければ。と頭では分かっているのに、身体は正直すぎるものだ。
ピクと跳ねる腰、口から零れる喘ぎ声。我慢しようとしても、行為に馴染んだ身体が言うことをきかない。
「ほら、こんなに硬くなってきた」
「ちょっ…!」
浴衣の上から尖りをキュウと摘み上げられて、込み上げた嬌声を喉の奥でなんとか押し殺す。
「こんなに欲しがってるのに、我慢しちゃだめですよ」
カラダは正直じゃないか、なんて安いセリフを使わなかった事は賛辞に値するけれど、やってる行動は少しもいただけない。
どうにかして、興奮している雀ちゃんを正気に戻さなければ、と思うもののその手立てが思い浮かばない。
このままだと食事を仲居さんがもってきてくれたときにわたしがあられもない姿で…なんてことになりかねないと想像したとき。
「失礼してもよろしいでしょうか?」
扉をノックした仲居さんの声が、わたしたちの耳に飛び込んできた。
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焚火が燻るような色を灯していた雀ちゃんの瞳が、水を被せられたように瞬時に大人しくなった。
まぁそれはそうだろう。
自分が彼女にナニを仕掛けようとした所に、イキナリの声。
わたしは待ち望んでいて助かった思いだけれど、雀ちゃんからしたら、驚きとバツの悪さで妙な冷や汗ものだ。
「ほら! もう…ばかっ」
外に聞こえないように雀ちゃんを叱りながら彼女の腕を解かせて、雀ちゃんが座る座椅子の正面の席へと移動しながら、仲居さんに「どうぞ」と入室を促した。
雀ちゃんの様子を窺うと、居心地悪そうに項に手をやって擦っている。
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わたしが席につくと同時に襖が滑るように開いて、あの仲居さんが姿を見せた。
「大変お待たせして、申し訳ございません。お食事をお持ちしました」
襖を開けた場所で、本当に申し訳なさそうに深々と頭を下げる仲居さん。
彼女は顔をあげるとわたしたちの顔を交互にみる。
「お夕食の時間を変更していただいた事、誠に、申し訳ございませんでした」
「構いませんよ。丁度いいお腹の空き具合になってきた頃ですし、ね? 雀ちゃん」
あまりにも申し訳なさそうに眉をハの字にする仲居さんに首をふって、雀ちゃんにも話を振ってみると、さっきまでの様子はどこへやら、にこにこしながら頷いて、「大丈夫ですよ」だなんて言っている。
その何事もなかったかのような変化に、ムッとしてしまうのはいけない事だろうか。
だって、わたしとあんなえっちな雰囲気にまでなって、手を出してこようとしたくせに、それがまったく何もなかったみたいな……。
もうちょっと、急に話を振られて狼狽えて困るとかしてもいいんじゃないの、と思う。
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そんなわたしの心境なんて露知らず、雀ちゃんは仲居さんにお風呂で出会った外国人さんの話を振っている。
「その後は大丈夫でしたか?」
「ええ、特に問題もなく、温泉を満喫していただけました」
とてもお喜びになられていましたよ。と笑顔を浮かべて仲居さんはお盆にのせていた湯呑をふたつ、テーブルに置いた。
「そのこともあって、すこしご相談があるのですが…よろしいですか?」
少し声を潜めるようにして話を切り出した仲居さん。
わたしと雀ちゃんは顔を見合わせてから、彼女の話を耳を傾けるべく、テーブルに身を乗り出した。
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