隣恋Ⅲ~湯にのぼせて~ 63話


※ 隣恋Ⅲ~湯にのぼせて~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 ようやく入ったスイッチ。

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 ~ 湯にのぼせて 63 ~

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 わたしのねだる言葉を聞いた雀ちゃんが、ふっと軽く笑みを零した。耳に直接かかった吐息でそれを想像するけど、彼女が今、意地悪な顔なのか、優しい顔なのかは、分からなかった。

「遅いよ」

 彼女の表情も見えないわたしには、その言葉の意味も、解らなかった。

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 彼女が耳元で喋ったそれだけで、わたしは軽くだけど達した。
 そんなの、今まで体験したこともなかったし、まさかそんな事象が起きるだなんて想像もしなかった。

 でも現実にそうなってしまったのだから仕方ない。
 もう、この身体は、雀ちゃんに気持ちよくしてほしくて仕方がないのだ。

「スイッチ入るの、遅い」

 ほんとは嫌がってるのかと思った。と、すこし不貞腐れたような声音でそれだけ言った雀ちゃんは、気を取り直すように鼻から息を吸った。

「いいよ。気持ち良くしたげる。だから愛羽さんも、どこがいいのか教えて。いっぱい喘いで」

 耳へ直接息を吹きかけながら、わたしに囁く雀ちゃんの声が、一段、低くなった。

「貴女の声で、こっちは色々分かることもあるんだから。あと、私がすごく興奮するってのもある」

 だから。と続けて雀ちゃんは色気のある声で言う。

「もっとそこで喘いで」

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 多分、雀ちゃんの言うスイッチが入った状態だからだと思う。
 素直に、彼女の言葉に「うん」と首を振ったのは。

「いい子」

 低い声がわたしの鼓膜を撫でて、脳を犯す。
 肩に掴まる手が無意識にしがみ付くように彼女の肌を服越しに引っ掻く。けれど、雀ちゃんは気にした様子もなく、そのままわたしのナカの指を動かし始めた。

「奥の、どこ?」

 もう何度目かもわからないその問い。
 ナカの指はわたしの言葉を待つようにゆらゆらしている。

「お腹のほう」
「こっち?」

 ――ぁ、あ……。

 耳に囁く甘い声が、麻薬みたいに理性を奪っていく。
 それに加えて、ナカではわたしの誘導に従って、指を軽く曲げて腹部側の壁を雀ちゃんが擦る。

「ひ、ぁ……っん」

 痺れるような快感がそこから、腰や背中、項、後頭部、脳に広がる。
 自然と口から零れる声を、今は、我慢しようとは思わない。

「そう。いい子。もっと可愛い声聞かせて」

 わたしとは対照的に凛々しい声が、甘く甘く、わたしを蕩けさせていく。

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 腹部側の壁を押すように愛撫する指は、まだ、あのポイントに辿り着かない。
 ナカを蠢く指に気持ち良さは感じるものの、背中が反るような快感は得られない。

「あっ、ん……もっと上」
「こっち?」

 言葉と共に指が奥へと埋まり、ほんの一瞬、ポイントを掠めた。

 ビクン、と背が反り、息が詰まる。
 あまりの快感に、短く、浅く、息を繰り返す。

「愛羽さん? 気持ちいトコあった?」
「ふ……っ、ぁ、…あった……ッ」

 コクコクと小さく頷くわたしに、雀ちゃんは嬉しそうにする。
 ナカを動く指が、先程の軌道を再現するように、今度はスローペースに動いていく。

「どこ? 教えて?」
「ぅ、んっ」

 もどかしいような動きに震えながら、また頷くしかできない。
 熱く、燻るような快感が絶えずわたしの身体を痺れさせて、うまく言葉が紡げなかった。

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「あぁっ、ん、やっ」
「ん? ここ?」
「ちがっ、ゆっく…り、すぎ…て、気持ち、…ぁん…いい…ッ」

 わたしの喘ぎ声で分かる事もある、と言っていた雀ちゃんだけに、かなり、喘ぎ声の違いに敏感だと思う。
 例えば、普通に気持ちいい、ちょっと気持ちいい、どうしようもないくらい気持ちいい、の3段階に喘ぎ声を分類したとき、雀ちゃんはそれぞれに対応が違ったりする。

 普通に気持ちいい時の喘ぎ声にはそこまで反応せず、好きにさせてくれる。
 ちょっと気持ちいい時の喘ぎ声には、煽るような言葉を投げてくる。
 どうしようもないくらい気持ちいい時の喘ぎ声には、その声をあげたポイントをどこか尋ねながら、さらに指も慎重にわたしを探るのだ。

 その探る指が、気持ち良すぎるのが難点なのだけれど。

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「ゆっくり動かされるの、好きだもんね」
「やっ、ァ……ッ」

 揶揄うような声に、甘く身体が痺れている時、あのポイントに指が触れた。

「アッ、そこっ、ヤ…ぁっ」

 ナカが締まる。きゅううと彼女の指を締め付けて、身体がそこがポイントだと訴える。
 たまらず、しがみ付くように彼女に縋るようにした時には、雀ちゃんが笑みの吐息を吐いた。

「あぁ……ココ、なんだ」

 低く掠れた、でもしっかり芯のある甘い声が……耳に飛び込み、鼓膜を揺らした。

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