※ 隣恋Ⅲ~湯にのぼせて~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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動悸。
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~ 湯にのぼせて 6 ~
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重ねた唇は濡れ、それを拭うように舌で舐めればほころぶように薄く開く唇。その間へと舌を差し込めば、迎えるように彼女の舌が触れた。
……熱い。
そう感じた彼女の舌は柔らかく、私が自身の舌を押し付ければくにゅりと形を変えるように弾力を味わわせてくれる。
さらにその舌の下へと挿し込んだ舌でゆっくりと舐めあげると、ふるりと体を震わせた愛羽さんが、たまらなくなったように体を引いた。
解けたキスに、私は薄く目を開けて、彼女へ視線をあてた。
「ま、……って」
キスの合間にかかった彼女の制止の声。
どうして? と、至近距離で見つめて視線だけで問いかけながら、彼女の頬を包み込む手の指で肌を撫でた。
潤んだ瞳が一瞬揺れて、こんな些細な愛撫とも言えぬ行動で彼女は反応をくれるのかと気を良くする。
「ヘン、だから……」
ヘン。……変? なにがだろう?
彼女の発言に首を傾げると、愛羽さんは戸惑ったように自分の胸に手を置く。そうすると、肌蹴た浴衣から覗く二つの膨らみがその手よって軽く形を変えた。ふにり、と柔らかそうに形を変えるそれを自分も触りたいと欲求が頭を擡げる。
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「いつもより……ドキドキする」
そんなにも鼓動が速いのか、と彼女の頬から首筋へと手をずらして、頸動脈へ近付ける為にすこしだけ指を食い込ませた。
「ん」
流石に、脈をとられるとは考えていなかったのだろう。驚いたように彼女が声を漏らしてピクンと体を揺らした。
確かに、脈は速いと言われればそうかもしれない。
お酒で動悸が激しくなるケースもあるけれど、普段から私のバイト先を幾度となく訪れる彼女に限って妙な発作だなんだは無いと思う。
まぁ……考えられる事といえば、夕食時のアルコール摂取、温泉で体温上昇。そこに更なるアルコール摂取で血管が拡張した体の血圧を上げるために心臓が頑張り過ぎている、といった所だ。
あとは、この後のことに期待して動悸が激しくなっているが、主原因だろうな。
指に触れる脈拍すらも愛おしくなって、こちらを戸惑いと不安が入り混じった瞳で見上げる愛羽さんを抱き寄せた。
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「心配しなくても大丈夫です」
「ほんとに?」
「本当に。お酒とお風呂で温まり過ぎたせいで、ちょっと心臓が速いだけです」
「……なんでそんな詳しいの?」
大学は医療系じゃないのに。と腕の中で呟く彼女のこめかみにキスを落とす。
ゆっくりと彼女の背中を撫でてあげながら、赤みの灯る耳朶へと囁いた。
「これでもバーテンやってますから、店長にその辺の緊急対処は仕込まれてるんです」
研修期間中に教えた事をきちんと覚えて来なかったら、研修明けにクビにされたチャラ男君を私は知っている。
ああ見えて店長は、仕事に対しては真面目な人だからその精神に付いていけない人は即刻、解雇されるのだ。
そしてそのバックには、医療従事者である遥さんが控えているのだ。
人にアルコールを摂取させる店に立つ者として、ある程度の知識は、叩き込まれる。
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まぁ、でも。
「心配なら、今夜はもう休みますか?」
このメチャクチャいい雰囲気の中、彼女を寝かせてあげるというのはかなりの苦行ではあるけど、体が一番だし。
そう思って、抱き締めて、背中を撫でてあげながら提案すると、いきなり、がぶりと肩口に彼女が噛みついた。
「いっ……!?」
突然すぎる痛みに、一瞬何が起きたか分からなかった。
「据え膳食わぬは男の恥」
そう言いつつ睨みあげてくる愛羽さんがさらに私の太ももを抓る。
「いだだだ、ちょ、男じゃないし」
「るさい。下半身で生きてる男の方が今の状況だったらマシに思えるわよ」
「だって愛羽さんが何回もドキドキするとか言うから不安なのかと思って!」
ちょ、さっきまでしおらしく心臓をおさえていた可愛い愛羽さんはどこへ……。
目の前の恋人は私の太ももを抓る手を放して、ムッとした表情を隠しもせずに「ばか」とか言ってくる。
「夕食前から焦らされてるこっちの身にもなりなさい」
「え」
彼女の発言に、ハッとした。
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確かに、夕食の前、仲居さんがいい雰囲気の中突撃してくる前にちょっと仕掛けたけれど……、まさか、そこからずっと……欲しがってた、と?
「寝れないわよ、ばか」
罵倒されているけれど、内心、私は喜んでいた。
この愛羽さんが、夕食中も、お風呂のときも、焦れていただなんて。2時間弱ずっと、その体が私を欲していて、彼女の頭の隅では私に抱かれる事を期待していただなんて。
……やばい。嬉しい。
こっちの心臓が、なんだかドキドキしてきた。
高揚感からなのか、脈が速くなって、耳元に心臓があるみたいにうるさい。
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愛羽さんからしてみれば、待ちに待ったその時がきたというのに、相手は寝るかと勧めてくるだなんて、ふざけるなバカタレといった所だろう。この顔と、投げて寄越した悪い口でそれは察する。
しかし私からすると、その悪口も睨む目も不機嫌な表情も、裏を返せば「早く抱いて」ということだ。
ジリジリと後ろ頭が焦げるようだ。腹の底からせりあがってくるのは、狂暴という言葉が似つかわしい程の渇求。
こちらとて、好きで貴女を寝かせてあげようとしていた訳ではないのだ。
依然、不機嫌な色を湛えている瞳を見つめながら、迷うことなく顔を寄せる。
小さく「ぇ」と彼女の唇から驚きの声が漏れたけれど、それ以上何も言わせないように私は、その唇を塞いだ。
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