※ 隣恋Ⅲ~湯にのぼせて~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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下着。
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~ 湯にのぼせて 57 ~
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ギクリと動きを止めたわたしを捉えた瞳が、にんまりと細まった。
「ふぅん? そうなんだ」
どこか確信を持った声音で言いながら、うんうん、と何度も頷く雀ちゃん。
でもわたしは、真実を隠蔽するべく慌てて首を横に振る。
「ちっ、違うってば、元々もってたやつで」
「旅行だから、新調したわけか」
聞いてくれさえもしない。
わたしの言い訳を遮るように言って、まるで、背後に隠した下着を透かし見るような目つきでわたしの陰からチラリと覗いている下着の紐を眺めた。
そして先程、下着を奪ったほうの手に視線をやって、指先を擦り合わせた雀ちゃんは、やっぱり、彼女らしからぬ冷たい目を揶揄うように細めるのだ。
「ヤル気満々で、下着買ったの?」
ぬるぬるだね。
濡れた下着から指に付着したのであろう愛液をこちらに見せびらかすよう手をひらと振り、雀ちゃんは先程と同じく、木製の大きなローテーブルに背中を預けた。
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「ち、ちがう」
「ふぅん? ほんとに?」
真実とは裏腹に、否定の言葉ばかり吐くわたしを、にやついた目が責めるように見上げてくる。
た、確かに、旅行に行くと決まって、夜にそういう事をするのは予想していたけど……それを目的だけに下着を買った訳じゃない。
「そんな下着買って。……私のコト、誘うつもりは欠片も無かった、と?」
「…っ」
言葉に詰まったわたしを見上げる彼女が、嗤う。
図星を指されたのが丸分かりな反応をしてしまったことを悔いるけれど、今更、どうしようもない。
余計な墓穴を掘るような事だけは避けようと、口を引き結ぶ。そんなわたしを見た雀ちゃんは、また、鼻で笑った。
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「確かに、そういうイヤラシイ下着履いてる所をみたら興奮するけど……」
言葉を区切りながら、彼女は膝立ちのわたしの脚に触れた。
スカートの中に忍び込んだその手が、膝上から内太腿へ、ツゥ…と撫であげてくる。その愛撫とも言えないような刺激だけで、わたしの腰は震え、引き結んだはずの口からは吐息が零れた。
「こうするだけで反応してる愛羽さんが居るだけで、私は満足するんだけどなぁ?」
「ぁっ」
肌には触れられていない。ただ、濡れそぼった茂みに彼女の指が触れ、絡んだだけ。
それだけで、口から短く声がでる。
「そう。そんなふうにやらしい声聞かせて?」
わたしの顔を覗き込むようにして見上げてくる雀ちゃんの視線に、羞恥心が込み上げる。しかも、いやらしい声だなんて指摘されると、恥ずかしくて、わたしは背後に下着を隠したその手で口元を覆った。
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軽いタッチで茂みを撫でる雀ちゃんの右手に、彼女の言ういやらしい声が出てしまいそうになる。
なんとか堪えようと下唇を噛んで、その口を手で押さえた。
「ふ、ぅ……んっ」
それでも、微かに漏れてしまう声は止められずに、彼女の瞳をにんまりとさせてしまう。
「我慢しないで、声聞かせて欲しいのに」
手持無沙汰そうだった彼女の左手が、動いた。
手があがってきた瞬間は、わたしが口を覆う手を外させようとしたのかと思ったけれど、どうやら違うみたいで、雀ちゃんの手は上半身裸の胸へとあてがわれた。
「見慣れないブラジャーだなとは思ったんだよね、さっき」
「んっ、く…」
上下揃った下着を購入したから、初お披露目だったそれを、雀ちゃんが見た事ないと感じるのもおかしくはない。けど……。
「まさかわたしの下着の種類とか覚えてるの!?」
喘いでいることも一瞬忘れて、わたしは思い当たったその考えを、驚きと共に口に出した。
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突然叫んだわたしに、軽く目を見開いた雀ちゃんは、手を止めたまま、さらりと言う。
「そりゃ何度も見てれば覚えるよ」
「え゛」
まさか、覚えられているだなんて思わなかった。
「じゃなきゃ、新しい下着だとか気付けないでしょ」
た、確かに。確かにそうよね。
え、でもでも、そういうことならつまりは、「あ、前回えっちした時に履いてた下着と同じ奴履いてる。うわ、萎える」とかそういう事態が密かに起きていたかもしれないってこと!?
家がお隣さん同士で半同棲状態だと、いつの間にかえっちに突入しているだなんて事はざらで、デートのコーディネートを下着から考えるなんて事は極端に減った。むしろ、最近は無かった。
だからこそ、今回の旅行は着替えを下着から全部コーディネートして新調したものもあったんだけど……。
まさか、彼女がわたしの下着を記憶しているとは……。
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「ねぇ、愛羽さん。さっきも言ったんだけど」
「へ?」
今まで密かに失態を犯していたかもしれないと冷や汗をかいていると、呆れた声で雀ちゃんがわたしの思考を断ち切った。
「下着に欲情してるんじゃなくて、愛羽さんがつけてる下着だから欲情するんだよ」
今更こんなことを教えなきゃいけないだなんて。とぼそぼそ口の中で文句を垂らす雀ちゃん。
「重要なのは愛羽さんであって、そのオプションが良ければ嬉しいっちゃ嬉しいくらいなんだから、そこまで気にしなくていいってば」
諭すように告げた後に雀ちゃんは、ていうか。と、不機嫌そうな声と顔で続けた。
「今はコッチに、集中して」
彼女の指が、蕾をピンと弾いた。
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