隣恋Ⅲ~湯にのぼせて~ 52話


※ 隣恋Ⅲ~湯にのぼせて~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 制御できない気持ち。

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 ~ 湯にのぼせて 52 ~

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 重なった唇は柔らかくて、数度啄むと離れていってしまったそれを、もっと欲しいと思ってしまう。
 雀ちゃんの唇を追いかけて、再び自ら重ねる行為に、彼女が笑った気がした。

「そんなに、欲しかったんですか?」

 触れるか触れないかのタッチで背中を指先が撫でてゆく。ぴくりと早くも反応してしまう身体の敏感さに下唇を噛む思いだけど、だって、どうしようもない。
 わたしの身体を知り尽くしているんだもの。

 だから。

「……ん、…言わなくても分かるでしょ……」

 反抗的に、言葉を返して、また、口付けるのだ。

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 啄むだけだった口付けはもういいとばかりに、わたしが彼女の口内へと舌を伸ばすと待っていたように舌が絡みついてくる。
 熱いとさえ感じるその肉がわたしの舌をヌルリと撫でれば、腰が熱をもつ。快感を蓄えるわたしの身体は正直で、背中の窪んだラインを彼女の指が辿れば、ピクンと揺れる。

「……ん、ふ……ぁ」

 まるでさっきのお返しだと言わんばかりに、雀ちゃんがわたしの舌を咥えて、扱くように吸い上げる。そうしながら、舌先でこちらのそれをくすぐってくるのだから堪らない。
 どうしてそんなに器用なのかと聞きたくなる。

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 じゅぷ、といやらしい音を繰り返したてた雀ちゃんが、やっとわたしの舌を解放してくれた頃には、息は上がりきっていた。
 腰に集まった熱は無意識に、脚を閉じようとするほど、わたしの身体を徐々に支配している。

「ねぇ、そのやらしい顔は、誘ってるんですよね」

 わたしの濡れた唇を指で拭った雀ちゃんは、胸元へと手を伸ばして、ブラウスのボタンを上から外していく。
 一つ一つを解放してゆく光景をもどかしくさえ思ってしまった自身の欲情の強さに、若干焦る。

 けれど、内なる自分が、「快感を欲しがって何が悪いの」と悪びれた様子もなくわたしに訴えかけてくる。「わたしの恋人が、身体を欲しがってくれているんだからそれに応えるのは当然だし、欲しがって何がオカシイのか」と。

 確かに、それはそうなのかもしれない。
 唆されたようだけれど、そうではないのかもしれない。
 わたしは元々、いやらしくキスをして、彼女を欲していた。

 それはつまり……。

「雀ちゃん……」

 ブラウスのボタンを外し終えた彼女にそれを脱がされながら、わたしは恋人を見下ろす。

「わたし……今、すごいえっちな気分かも……」

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 驚いたように目を開いて、雀ちゃんがわたしを見上げる。
 でも、すぐにその表情は、蕩けたような笑みに変わって、彼女の指がわたしの肩にひっかかっていたブラジャーの紐を引いた。
 ホックを外されたブラジャーはするりと前へと落ちて、肩紐が腕にぶら下がる。

 彼女の首に掴まっている手を片方ずつ外してブラジャーを取り去ると、雀ちゃんが膝に落ちたそれを畳へと置いた。

「じゃあ、恥ずかしがらずにいっぱい、気持ち良くなりましょうね」

 ニコリとする雀ちゃんの言葉に、素直に頷いてしまうあたり、随分と頭が麻痺しているんだと思う。
 でも、そのくらい、身体が彼女を欲しいと訴えているのだ。

 そんなわたしを見上げた彼女は、「じゃあ……手始めに」と呟くように言って、自分の背後にある木製の大きなローテーブルに背中を預けた。
 そしてわたしを見上げて言うのだ。

「机に手を着いてください」

 言われるままに、彼女の背後にあるローテーブルに手をつく。

「膝立ちになって」

 また言われるままに、畳に膝をつく。
 すると先程までは自由が利く体勢にはなったものの、彼女の脚を跨ぎ、両手を肩幅以上に開いてテーブルに着くと妙に拘束感はある。

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 若干の動き辛さを感じているわたしに、雀ちゃんは言う。

「胸、舐められるように、こっちに近付けてください」

 と。
 それどころか。

「ああ、わたしの肩に手をついた方がやりやすいですかね」

 なんて事まで言う。
 自分は背中をテーブルに預けて、まるで社長がゆったり椅子に座っているような恰好で、口元に笑みを浮かべて、わたしに命令する。

「いっぱい舐められて、気持ち良くなりたいでしょう?」

 舐められて、という言葉に、ジワリとあそこが疼いたのを見逃さなかったようで、彼女は膝立ちのわたしの脚へと手を伸ばして、撫で上げた。

「んっ」
「ほら。こんなに身体は欲しがってるんだから。はやくコッチに来てください」

 言葉も、声も、丁寧で柔らかいはずなのに、逆らえないような強制力のある命令に聞こえてしまうのは何故なのだろうか。

 そんなことをぼんやり考えながら、わたしはゆっくりと彼女の肩に手を置いた。

「そう。いい子ですね」

 カクテルのように甘い甘いセリフに酔いながら、上半身を傾けた。

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