※ 隣恋Ⅲ~湯にのぼせて~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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答えを要求するその声が、低く、鼓膜を揺さぶる。
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~ 湯にのぼせて 14 ~
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立ち上がった雀ちゃんが、わたしに手を差し出してくれる。
紳士的なその手に掴まって、若干の快感の痺れを残す身体をなんとか立ち上がらせると、やっぱりよろめく。
「大丈夫ですか?」
抱き寄せるようにして両腕で、よろめいたわたしを支えてくれた雀ちゃんに照れつつお礼を言った。
部屋の中央にふたつ並べられた布団。まるで時代劇のワンシーンみたいに並ぶ布団だけど、それは赤色でもなければ、ムーディな行燈もここにはない。
雀ちゃんの腕から抜け出したわたしは、しゅ、と畳みを鳴らしながら、その布団へ近づいていく。
一歩、二歩、三歩。うん、やっぱり三歩で辿り着いた布団の上。
そこでわたしは、捕まった。
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え? と思った瞬間に、後ろから腰に回された腕で引き留めるように抱かれる。その腕の主は当然雀ちゃんだと判るけれど、その意図が解らない。
「雀ちゃん? な、ぁっ、ン」
何? と聞こうと思ったのに。
途中でわたしの言葉を遮ったのは、雀ちゃんの舌。
器用に鼻先で下した髪をかき分けて、項を一舐めされたのだ。
いきなりの愛撫でも、先程の余韻を残した身体が喘ぐのには十分すぎる。
後ろから抱き締めてくる雀ちゃんの体にちょっとお尻がぶつかるくらいは、体が跳ねた。
思わず、腰に巻き付いた腕に手を掛けて、彼女を睨んでやろうと項を舐める行為を振り払うと同時に首を巡らせて、わたしはぴたりと動きを止めた。
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唇の端だけで笑うその顔。
どうしたの、と言いたいくらい、ドSなその顔に、嫌な予感がする。
「こういうのは、嫌いですか?」
なに、その、最初の断り、みたいな台詞は。
これから、すごいことしますけど、大丈夫ですか? みたいな含みのある台詞。嫌な予感しかしないんだけど。
落ち着いていた心臓がどくどくと音を立て始めるけれど、腰を抱く腕と、ピタリと寄り添った雀ちゃん自身の体で、あまり身動きがとれない。
一体何が始まるのか予想がつかなくて焦っていると、胸元に違和感。
緩んだ浴衣の合わせから手が侵入して、胸の膨らみを揉んでいる。
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まさか。
立ったまま?
直観的にそう感じて、いくらなんでもこれはハードルが高すぎると、わたしの腰を抱く雀ちゃんの左腕をぱしぱしと叩く。
「ちょ、待って待って、掴まるとこもないこんな場所じゃ無理っ」
「あ、察しがいいですね」
にこにこしたような声が後ろから聞こえるけれど、胸を揉む手はその勢いを緩めるどころか、人差し指で胸の尖りをカリカリとひっかいてくる。
じん、と痺れるような快感が、腰にくる。
この、感じやすい体質をどうにかしたい。
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声を漏らせば、雀ちゃんのことだ。調子にのって、「そんな事言って、気持ちよさそうですけど?」とか言ってくる。
我慢しなきゃ。
よく手も使わず、髪を鼻先のみでよけて項を舐めれるものだとある意味感心するほど器用な彼女。その舌がねろりと肌を撫でれば撫でるほどに、そこに鳥肌がたつ。
意図している訳ではないその粟立つ肌に、彼女が笑った。濡れた肌に感じる吐息は凶悪だ。余計、鳥肌がたつ。
後ろは項。前は胸。
両サイドからの攻め立てに、わたしの口からは嬌声がもれそうになるけれど、手を口にあてて、なんとか、堪える。
それでも、徐々に荒くなってゆく呼吸はどうしようもなくて、静かな部屋にそれが響く。
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髪は濡れた肌に張り付きやすく、それを巻き込んでまで、項への愛撫を止めない雀ちゃん。ザラついたその感触が、敏感になった身体にはより強い快感を与えることになるのを、彼女は知っているんだろうか。
救いなのは、合わせも緩んでいるが、浴衣を着ていることで、肩や背中が露わになっていないこと。多分、この状態で裸なら、確実に背中をやられる。弱い、背中を。
雀ちゃんとのえっちを体験してから思うのは、わたしに弱くない身体の部分なんてないんじゃないか、ということ。
だって、何されても気持ちいいし、”そこまでこの部位は感じないな”と思っていた場所でも、いつの間にかその部分で気持ちよくなっている。
あ、でも、さすがにお腹は感じないかな。
なんて頭の隅で考えていると、痛みが項と、胸に走った。
「いっ」
快感の声は堪えられても、痛みの声はむりだった。
何事かと思えば、親指と人差し指で胸の尖りが摘ままれ、項には雀ちゃんが噛みついていた。
「考え事は、よくないですよ?」
なんで、バレるのか。
顔も見ていないのに。
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「ちゃんと、気持ちいいことに集中してください?」
言った直後、ふわりと身体が解放されて、浴衣の腰紐がシュルリと引き解かれた。
「あっ」
腰紐で縛っていない浴衣なんて、ただの布みたいなものだ。
ストン、と肩から床に落ちたそれに気をとられた隙に、また、腰を抱かれて身体を密着させられた。
それこそ、「あっ」という間に、だ。
しかし。
――……これは……まずい……。
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突然外気に晒されたわたしの身体は全身に鳥肌がたった。それを宥めるように撫でてくれるのは嬉しいんだけど、その手つきがイヤラシイったらない。
どうやったらそんないやらしく動かせるのかといつも思う。
「寒いですか? でも、すぐ熱くなりますから」
その”熱い”は”暑い”ではないのだろうか。いや、”暑い”でも間違ってないとは思うけれど、あえて、雀ちゃんが”熱い”を使ったのには、やはりそういう意味があるんだと思う。
だって、手が。
わたしの鳥肌を撫でていてくれた手が下ってゆき、ショーツの上からさわさわと撫でてくる。
……そのショーツを脱ぐ間も惜しんで……さっき一回えっちしちゃったんだっけ……。なんて思い出すと、恥ずかしくて、時折蕾に触れる指先にも感じて、身体がもじもじする。
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「ねぇ。愛羽さん?」
「な、に?」
言葉が途切れたのは、指が蕾の上を通過したから。
耳朶に低く囁いてくる彼女の腕に、無意識に手をかけて縋ってしまう。
「立ったまま、イったこと、ありますか?」
な。
……な、な、にを、いったい聞いてるの、この子は……っ。
彼女の言葉を理解した途端、顔から火が噴きそうになる。
ないと言えば、「じゃあ今日が初体験ですね」とか言われそうだし。
あると言えば、「どんなふうにされたのか教えてください」とか言われそうだし。
19歳にしてはなまじ頭が回る方だから、雀ちゃんはたまにスゴイ事をこうして言ってくる。わたしに逃げ道を無くすような、言い回しで。
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「ねぇ」
答えを急かすように言って、彼女はわたしの耳朶を舐める。
普段と違った方向からの愛撫に、ぞわ、と快感が腰に溜まって小さく息が零れた。
「どうなんですか?」
カリ、と耳を噛まれた。
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