隣恋Ⅲ~湯にのぼせて~ 13話


※ 隣恋Ⅲ~湯にのぼせて~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 明らかに、わたしの愛液の多さにニヤついた雀ちゃんの頬をつまんだり、軽く叩いたあと、まだ緩みのある彼女の唇が余計な事を言わないうちに、キスで塞いでやった。

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 ~ 湯にのぼせて 13 ~

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 まだ痺れるような感覚の残る身体。
 主に腰がジンジンと痺れて、ともすれば、鳥肌がたってしまいそうな快感の残り香がわたしにまとわりついて離れない。

 考えてみれば、それは当然のことかもしれない。
 だって、夕食前に焚きつけられ、欲しくてたまらない状態で夕食と入浴を済ませたのだ。それは長い長い前戯のようなもので、わたしがこれほどに濡れるのも、彼女に性急なセックスを要求するのも、納得できる。

 そんな事を考えながら、お互いに愛を伝え合うキスを解いて、彼女の瞳を覗き込む。
 すると、少し、赤らんだ顔で、逸らされた視線。

 ――……あら?

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 恥ずかしがるようなその仕草に、わたしは内心笑みを浮かべた。
 さっきまで、あんなサディスティックな表情でわたしに深々と指を差し込んでいたくせに、キスの後視線を交わせないだなんて。

 手練れと初心のギャップにやられながら、テーブルに備えられたティッシュに手を伸ばし数枚引き抜く。
 緩慢な動きで彼女の濡れた指を拭っていると、お尻あたりに違和感。視線をそちらに落とせば、ティッシュが敷いてある。

 雀ちゃんの手を拭い終え、ティッシュを拾い上げるわたしの頭上にはクエスチョン。
 どうして、こんなところに、ティッシュ?

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「ぁ、えっと、愛羽さんのが座椅子に垂れるといけないと思って……」

 しどろもどろ。あたふた。
 そんな様子でティッシュの説明をされるけれど、こちらとしては、それどころじゃない。

「…………。…………。わたし、そんな濡れてた、の…………?」
「えっと。ハイ」

 素直に頷かれても、恥ずかしいだけなんだけどっ。
 いつもよりは雀ちゃんが欲しくて仕方なかったし、濡れてると思ってた。でも、でも……こんなティッシュを敷かなきゃいけないくらいだったとは羞恥以外湧きあがらない。

 多分、顔は、真っ赤。耳まで熱い。
 そんな状態でわたしは、二つの塊のティッシュをゴミ箱に捨てた。

 ……どちらともわたしの愛液を滲み込ませているだなんて、考えたくない。

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 わたしが照れると、雀ちゃんは調子にのる傾向がある。
 うーん、調子にのる、というと少し語弊があるかも。んー……。”反比例”という言葉が一番しっくりくるかもしれない。

 例えばいま。

 さっきまで、雀ちゃんは目を合わせられずに照れて視線を逸らしていた。
 でも、こうしてわたしが恥ずかしがりだすと、その瞳を意地悪に染めて、わたしの頬に自らキスをしてくる程積極的になる。

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「なんで、真っ赤なんですか?」

 頬に口付けを落としたあとに、クスクスと笑みを零す彼女の吐息がくすぐったい。

「……ぅるさい……」

 口を引き結んでにらんでやると、さも嬉しそうに細まる目がニクイ。
 その上彼女は。

「かわいい」

 とか甘い声で囁いてくるもんだから、さらに、ニクイ。
 さっきまで、あんな初心だったくせに、イニシアチブをとって。

 わたしのニクイと思う気持ちまで和らげるその甘い声が。

「すき」

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 意地悪なその目に、少し意外そうな色が浮かんだのは、わたしがこの場面で好意を伝えるとは思っていなかったからだろう。
 だっていつもなら「かわいくない」と返すもの。でも、こんな旅行のときくらい、普段と違ったことをするのもいいと思う。
 彼女の不意を突けたことに満足して、わたしからキスをする。
 身長の差もあるわたし達だから、座ったときもその差が表れる。自分の視線よりも上の彼女の首に腕を回して抱きつきながら、何度も啄む。

 そうしているうちに、いつの間にか雀ちゃんの手が肌蹴ていた胸にあてがわれて、やわやわと揉まれる。

「ぁ、ん……雀、ちゃん」

 愛撫にピクリと反応したわたしに気を良くしてか、雀ちゃんは問うように小首を傾げた。そうしながらも、器用にわたしの胸の尖りを指の腹で擦るように触れてくる。

「ここじゃ、いや……布団、いこう……?」

 流石に、この体勢で何度もするのは、つらい。
 すでに布団も敷かれているし、広めの部屋とはいえ移動は3歩もあれば完了するのだからと、ねだるよう告げた。

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 コキュ。と、雀ちゃんの喉が鳴った。

 言い方がなにかマズかったのかしら……?

 彼女がわたしの台詞で焚きつけられただなんて露知らず、上下した喉に視線をやりながら、今度はわたしが小首を傾げた。
 傾げたまま、じり、と視線をあげていくと、彼女と視線が交わり、射貫かれた。

「……あー……もぅ……ゾクゾクする……」

 独りごちる彼女の目には、サディスティックな色が一面に広がって、獲物を見下ろす。

「ぇ、っと……す、ずめちゃん……?」

 あまりの突然な豹変ぶりに、ざわざわと肌が胸騒ぎを露わにしてゆく。
 少しだけ引き攣った声のわたしに、彼女は、満面の笑みで告げた。

「布団、いきましょうか」

 と。

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