※ 隣恋Ⅲ~待ち合わせは企みの香り~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
===============
じれったいほどにゆっくり動くその手を、私はじっと見つめた。
===============
~ 待ち合わせは企みの香り 9 ~
===============
何を言われたの分からない。
そんな表情を一瞬浮かべた彼女は、次の瞬間にはその明晰な頭脳で理解して、眉をハの字にした。
きっと反抗するんだろうな。
そんな予測が簡単に出来る。
だから彼女から何かを言い返される前に、私は唯一残っているショーツへ手を伸ばし、その薄布と肌との境に、爪を這わせた。
「ぁっ……」
小さな声だった。けれども、彼女の息は既に乱れきっている。
このまま敏感な場所に愛撫を続けていれば、きっと、堪えきれずに可愛い声をもっと聞かせてくれるだろう。
それに、私の要求にも、いつか、従ってくれるはず。
――今度は絶対に、イニシアチブを渡さないぞ。
私は心の中で決意しながら、彼女の脚の付け根に、指を這わせた。
柔らかな肌や、下着の布。それらを交互に行き来しながら、囁くように名前を呼ぶ。
「愛羽さん?」
ん……ん、と乱れた呼吸の合間に零す甘声は、反抗心と服従心どちらをも含んでおり、もう一押しだと私に覚らせた。
「ねぇ、愛羽さん……もっと――」
昂らせる為の動きに、きっちりと反応する身体が可愛くて仕方ない。
「――もっと気持ちよくなりたいでしょう?」
滲みの部分を人差し指で軽く撫で、この先の快感を示唆してあげれば、彼女から堪え切れないよう吐息が漏れた。
===============
「脱いで?」
「っ……」
「脱いで」
怯んだ様子の彼女に言い重ねじっと視線を送れば、愛羽さんがおずおずと、動き始めた。
縋るようシーツを掴んでいた手が解け、ゆっくりと向かう先は、彼女が唯一身に纏っている下着。
私は覆い被さっていた体を起こして、彼女の腰の横あたりに座ったんだけど――
「な……んでそっちいくの……!」
座り直した私を、真っ赤な顔で咎める愛羽さん。
そりゃあそうだろう。
覆い被さっている状態ならば、下着を脱いだって下半身はそうそう見えないけれど、横たわる人の隣に腰を下ろせば、秘所は容易に覗き込める。
まさか私が座り直すだなんて予想してなかったんだろうな。
私は少し笑いながら、動きの止まった彼女の手をとった。
「こうしないと見えないでしょう?」
悪びれもせず言ってみせ、彼女の手をショーツへ導く。
「ちゃんと言いましたよ? 脱いで見せて、って」
日本語とはなんとも曖昧で、言い逃れのしやすい言葉だと思う。
そんなことを頭の隅で考えながら、絶句している愛羽さんの顔を見下ろす。
そのまま、彼女の秘所へ手を伸ばして、布の上から蕾をゆっくり撫でた。
「ふ、ぁっ」
とっさに上がった声。
可愛い。
その声を、もっと、聞かせてほしいのだ。
恥ずかしそうに下唇を噛んで私をにらむ愛羽さん。
そんな表情も可愛い。だから、もっと可愛がってあげたくなる。
唇の端で笑った私は、再び、布の上から蕾を撫でた。円を描くように、くるり、くるりと緩慢な動きで指の腹を這わせる。
「はっ……ぅ……」
そんな緩慢な動きから生み出されるだけの快感でも、貴女はそうやって息を乱すのだ。
もうすでに、理性なんてほとんど残っていないくせに。
理性に従って抵抗なんかせずに、私の言う通りにして、快感を貪ればいいのに。
「これ、なくなったら、もっと気持ちいいですよ」
下着を軽くひっぱると、躊躇っていた愛羽さんの手がやっと、それにかかった。
目を細め、唇をちろりと舐めた私の顔はたぶん、凶悪で意地悪そのものだと思う。
そんなカオで褒める言葉を吐いて、果たしてそれは……効果があるのだろうか?
「そう、いい子」
しゅる……、とシーツとの衣擦れを立てながら、愛羽さんの膝が立てられる。
ゆっくり、ゆっくりとその身から離されていく最後の衣を眺め、私は愛羽さんの顔に視線をあてた。
耳まで赤くして、下唇を噛み、ハの字の眉で、目を泳がせている。
そんな顔をしながらでも、私の言う事を聞いている。
「かわいい」
心底、そう思う。
手を伸ばして頬をさらりと撫でれば、熱いくらいの温度だ。
それがまた私を満たして、胸を熱くした。
ついに、彼女の手が、脱いだ下着をベッドの外へ落とした。その直後、自分の顔を覆う彼女は、可愛い存在以外のなにものでもない。
「恥ずかしさで……しねる……」
くぐもった声でそう言う愛羽さんに少し笑って、私は、ゆっくりと彼女の足を撫でた。
「そのまま、顔隠してていいですよ」
一見、親切に聞こえるそれの本質は、ただの傲慢な支配欲だ。
恥ずかしい、という理性を、私は剥ぎ取りたい。支配したい。
私に与えられる快感だけで、理性など微塵も残らない状態にしてしまいたい。
自分の好きな人をそうしたいだなんて、どうかしている。
けれど、どうもならない。
今夜は。
今夜だけは。
貴女の全てが、私のものだと認識させてください。
私が全てを支配していい存在なのだという事実が、欲しいのです。
===============
※本サイトの掲載内容の全てについて、事前の許諾なく無断で複製、複写、転載、転用、編集、改変、販売、送信、放送、配布、貸与、翻訳、変造などの二次利用を固く禁じます※
コメント