※ 隣恋Ⅲ~待ち合わせは企みの香り~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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言われた事の意味と、ずるりと滑った指の意味とをようやく合致させて、私の心臓が早鐘よりも速く鳴り始めた。
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~ 待ち合わせは企みの香り 8 ~
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私の目の前では、愛羽さんが膝立ちを崩してへたり込み、真っ赤な顔を両手で覆って情けない声を出している。
「ぅうぅ……濡れすぎて中から溢れた瞬間わかっちゃったぁぁ……」
……い、言っている事の意味というか……過激さを、彼女は理解しているんだろうか。
わかっていてやっているのなら、私は一生彼女に敵わないと思う。
ま、まぁ確かに、布の上から触ってみて指がすべるくらいに染みを作っているなら、相当、大洪水な訳で……。
愛羽さんの言う事も分からなくもない……が。
「……ぅああ」
とか言いながら恥ずかしさに、それまでの雰囲気すら吹き飛ばしている愛羽さんに、視線を遣る。
――さっきまでの、イニシアチブを握ってた人はどこに行っちゃったんだろう……。
いやいや。
そんな事考えてる場合じゃない。
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このままの流れじゃ、「恥ずかしすぎてもうできない」とか言い出されて、そのまま何もせずにお風呂へ……なんてことがあっては困る。
このフラストレーションは今夜中にきちんと決着をつけるべきだ。また今度だなんて、許されないぞ。
私は咳払いをひとつして気持ちを切り替えると、へたり込んでいる彼女を、ゆっくり抱き締めた。
そのまま背中に手を回して、宥めるようにぽんぽんとやさしく擦る。
背中をさすりながら、彼女の耳元へ口を寄せた。
「恥ずかしがってる愛羽さんも可愛いです」
「るさい」
こう返してくるのはもう分かりきったことで、そこからどう、雰囲気を作りあげるかが問題だ。
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背中をさする手を、下へとおろし、腰あたりを撫でる。
愛羽さんが感じやすいところだ。
思惑通り、彼女は小さく声をあげてぴくと身体を震わせた。
さっきまでの行為の興奮は、完全に消えてしまったわけではないみたいだ。
「可愛い」
「……うるさい」
照れの混じる声。うん、いい反応だ。
流れを戻せそうな気配に、私は少々ほくそ笑んだ。
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抱き締めていた愛羽さんと身体を離して、彼女の顔を覗けば、赤味が少し引いていた。
「愛羽さん、大好きです」
近付きながら顔を傾ければ、目を伏せて応じてくれる愛羽さん。
ウン。イイ感じだ。
触れ合うだけのキスから、徐々に、深めていく。
部屋に響くリップ音と、粘着質な水音。
柔らかくも妖艶な感触に、雰囲気を作らなくてはとか、流れがどうとか、計算が出来なくなりそうだ。
「ん……」
啄んだり、触れ合わせたり、擦り合わせたり。
舐めたり、差し込んだり、絡ませたり。
どのくらいそうして口付けを交わしていただろうか……。
ようやく、お互いの唇を一旦離して、息をつく。
蕩けた瞳を覗き込めば、恥ずかしそうに、でも嬉しそうに微笑まれ、どきりとした。
胸の奥を何かが撫でて、熱くなる。
そういう表情をされると、私は……何か狂おしいくらいに彼女が好きだという感情が溢れてきて、止まらなくなるんだ。
この、込み上げる気持ちをなんと言っていいのかも分からない。
そのくせ、と言うべきなのか。
いや……だからこそ、と言うべきなのか。
どちらなのかも分からないけれど、私はその感情に後押しされたように、愛羽さんをベッドへ押し倒した。
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覆い被さり、彼女に影を落としながら顔を寄せた。
唇に一度、それから、額や頬、瞼といくつも口付けを贈る。
そうしながら綺麗にまとめられた髪をそっと撫でると、気持ち良さそうに目を細める愛羽さんが可愛くて、また、胸の奥から熱いものが込み上げてきた。
「好きです」
ふふ、と笑んだ彼女。
「わたしもよ」
どちらからしたのかなんて、もう分からない。口付けから気持ちが伝わるような気さえする中、私はそっと、瞼を薄く開いた。
雰囲気は、できた。
ここからは、私の番だ。
もう一度口付けを交わして、そのまま、肌を伝ってするりと唇を首筋に這わせる。
細い首だ。それに、肌は白くて、皮膚の下にある筋が浮き出る様が色っぽい。
「……っ……は……」
吐息混じりの喘ぎが、私の鼓膜を揺すり、脳を痺れさせてくる。
――あぁ……もっと。
もっと欲しい。
その声を、もっと聞きたいと脳が訴えて、私を突き動かす。
「愛羽さん……」
何か反応を求めている訳ではなくて、ただ呼びたかった。
大好きなひとの名前を紡ぐ唇を彼女の首筋に触れさせ、口付ける。
つい、吸い付いてしまいたくなる欲望を堪え、代わりに舌を這わせ、肌の味を堪能した。
「ふ、ぁ……」
思わず、と言ったように零す甘声を聞き、縋るようにシーツを握り締める細指を見て、悦に入る。
弱い所がどこなのか。どこをどうすると彼女が身体を震わせるのか。何度となく重ねた行為で覚えた。
だから、彼女を喘がせるなど私には容易い。
けれど。
何回その声を聞いても飽きることはなく、それどころか、更に求めてしまう。
「んっ、ぁ」
甘い声が咲けば、否応なく私の中の何かが掻き立てられて、痺れるのだ。
そして痺れは、更なる欲に変換されて、巡り続ける。
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甘く声をあげて、耐えるようにシーツを握り締めて。
身体を震わせる愛羽さんを組み敷き、ただ、快感を与え続ける。
首にも、鎖骨にも舌を這わせた。
先程、愛羽さんが自ら舐めさせた胸にも、今度は自ら舌を這わせた。
そこで、ふと、彼女に問う。
「……ねぇ、愛羽さん?」
「んっ、ぁ……な、に……?」
途切れ途切れでも返事をくれる彼女。
自由な愛撫を許された私は、胸の先端。硬く尖ったそれに舌を絡めて、転がしてみる。と、即座に上がる甘い声。
「ココ。さっき舐めさせてて、どんな感じだったんです?」
「……え?」
だから、ともう一度、コリコリになっている尖りに吸い付いて、示す。
「……ァっ」
「さっきはそんなに喘いでなかったじゃないですか。本当に興奮したり、気持ちよかったんですか?」
あの時の彼女の喘ぎ声なんて今の三分の一にも満たない。
「本当に気持ち良かったんですか?」
「よかった……んぁっ」
「本当に?」
疑うように目を向ける私を、濡れた瞳で見上げてくる愛羽さん。
彼女の身体のラインをゆっくりと撫でながら、答えを待つ。
「ほんと、ぁっ、……だからっ」
「じゃあ」
すぅっと目を細めた私は、どんな顔をしているのだろうか。
「脱いで見せてください」
懲りもせずまたその類のコトを彼女にさせようという私の表情は、ひどく、意地悪なものに違いない。
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