隣恋Ⅲ~待ち合わせは企みの香り~ 6話


※ 隣恋Ⅲ~待ち合わせは企みの香り~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※

※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 立ち位置的には、私の方が優位な場所にいるはずなのに。
 そう考えながら荒い息を整えた。

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~ 待ち合わせは企みの香り 6 ~

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 私を見上げながら少し笑っている愛羽さん。

「なぁに?」
「い、いえ」

 なんか、今、文句でも言おうものなら、徹底的にあのおしおきをされそうで、私は口を噤んだ。
 けれど私の思ってることなんかお見通しなんだろう。愛羽さんは少し口の端で笑って、私にキスをした。
 途端、甦る今し方の体験記憶。
 肌を粟立たせ、背筋を走り、腰に溜まる快感。

 ゾクとする後頭部の感覚で一瞬怯んだけれど、今度のキスは穏やかだった。

 ――……よかった。

 ほっとした。
 だけど正直ちょっと拍子抜けだとも、思った。思ってしまった。……タチなのに。

 いやべつにそんな、そんな別に、攻めて欲しいとか思った訳じゃないから。と口早に弁解をする自身に動揺している間にも、愛羽さんの穏やかな口付けは、すこしだけ角度を変えて深くなる。

「……ん……」

 愛羽さんが鼻から抜く声はやけに色っぽい。
 ただ、舌先同士で挨拶をする程度なのに、私のうなじがゾクンとするし、彼女が自身の胸へ巻いたサラシの留め具を外した気配で、また、鼓動が大きく打つようになってしまった。

 翻弄されてる。

 どうにか、イニシアチブを取り戻さなくては。
 そう考える事で必死になっていたのか、愛羽さんがすぅっと離れ、キスを一旦終わらせた。

 なんとも受け身だ、これはいけない。そう思うけれど、しゅるりと布の擦れる音に惹かれて、私の視線は彼女の胸へと吸い寄せられた。

 そして、ふと気付く。

 ――操られてる。

 愛羽さんの思うままに。
 私自身が動こうとしているのではなくて、彼女が私を動かしていた。

 だけど。

 ゆっくりと解かれていくその白い布。
 耳に届く、布の擦れ合う音。

「見たいの?」

 はらり、はらりと解かれるサラシを食い入るよう見つめていたら、問われた。

 ――……そ、……そりゃあもちろん……。

 コクンと私が頷けば、愛羽さんは意地悪な目で挑発的にこちらを見上げてくる。

「じゃあちゃんとお願いしなきゃ」

 ……どこかで、聞いたことのあるようなセリフだ。

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「ねぇ?」

 意味ありげに笑ってくる彼女。
 これは……行為の時私が、いつもこの手法で愛羽さんに可愛くおねだりさせている仕返しか。

「出来ない訳、ないわよね?」
「ぅ……」

 と、言われても……。

 なんて言えばいいのか。
 「胸見せてください」ってのもおかしいしな……ていうか、こういうのって結構恥ずかしいな。私はそんな事を頻繁に愛羽さんにやらせていたのか。
 ちょっと自重しようと考えるくらい、これは恥ずかしい。

「え……っと」
「なぁに?」

 にこにこしている愛羽さんに対して、私は、

「……それ、取ってください……」

 としか、言えなかった……。
 サラシを脱いでください、っていう言い回しも、なんだかおかしいしなぁ。

 だけど、これはどうやら、不合格だったらしい。

「見せてください、でしょう?」
「え」

 ニンマリした愛羽さんが解けかけのサラシの端をつんと引っ張りながら、訂正を加えてくる。

「わたしの胸が見たいんだったら、見せてください、って言わなきゃ駄目でしょう?」

 こ、これは……。

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 私はゴク、と喉を鳴らした。
 まずい……ますます、彼女のペースにもっていかれている。

 意地悪な目の奥には例の火が見えるし、それを鎮火させる術も、今の私にはない。

「……」
「言えないんだったら……」

 ふ、と笑った愛羽さんは、私の右手を掬い上げると、自分の胸に押し当てた。
 もちろん、彼女の胸へ触れるのは初めてじゃない。
 しかしいつも触れているとは言え、こんな、こう……だ、大胆に触らされるのは……。

 手のひらで、むに、と強めに潰された胸。
 私自身は全く、腕にも、手にも力を入れていないのに、愛羽さんが私の手の甲をぐぅっと押しているせいで、豊満な胸が変形してしまってる。

 だが潰れる胸はサラシ越しにでもわかるくらい柔らかく、その中心は少し尖って、手のひらにちょこんとした隆起を感じる。

「……」
「ここで終わりだけど、いい?」

 私の手をマシュマロよりも柔らかい胸に押し当てながらそんな意地悪を言わないで欲しい。
 これで終わりだなんて、良い訳がない。
 いやだ。

「あ、いはさんの胸……見せてください……」

 う……うぅ……なにこれ恥ずかしい愛羽さんこんなこと毎回言わされてるの?
 ましてや、私が愛羽さんに言わせるのは、「気持ちよくしてください」とかそんな言葉。

 ――……Mの心理が分からない……。

 本気でそう考えていると、満足そうに目を細めた愛羽さんに頭を撫でられた。

「いい子ね」

 こんな事で、褒められるなんて驚きなんだけど。

 それでもちょっと……嬉しかった。

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 留め具を外したサラシは既に若干解かれていて、その膨らみにひっかかってそこにあるだけだ。
 だからきっと、簡単に取り去ることは可能。

 私がゴクと唾を飲む中、ゆっくり、ゆっくりと、彼女の肌は露出していく。
 少しずつ端を引っ張られ、肌やサラシ同士が擦れる音が立ち、それはやけに、私の鼓膜や興奮をふるわせる。

 徐々に見えていくシーンがこんなにも色っぽく目に映るだなんて、思いもしなかった。
 ケド、全裸よりも、チラリズムの方がえろいというのは正論かもしれない。

 サラシがついに、彼女の胸の尖りだけを隠す状態になり、早くそれを退けて欲しい気持ちと、反対にその扇情的な光景をもっと長く見ていたい気持ちが鬩ぎ合う。

 そんなときに、愛羽さんが口を開く。

「どうして欲しい?」

 まさかの質問だけど、自然と、私の口からは答えが零れた。
 先程は躊躇ったけれど。

「……見せてください……」

 その言葉を聞いた彼女は、妖艶に微笑んだ。

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 重力に従い、床へ落ちるサラシ。
 その白さと対照的に色付いた胸の尖りは、いつになくぷっくりとその存在を主張していた。

 もう何度、愛羽さんの裸の胸を見たかも分からないくらいに目にしたそれが、今日はやけに刺激的に、目に映る。

 さっきまでは、見たい、とだけ思っていた。 
 サラシに隠され、焦らし続けられたから、見たい。その渇望だけだった。

 なのにいざそれが叶ったら、次の欲求が湧き上がる。
 自身の貪欲さをまざまざと自覚せざるを得ない。

 そんな私を察知したのだろうか。
 愛羽さんはこちらを見上げて、唇を三日月にする。

「触りたいなら、言うことがあるでしょう?」
「……」

 これは、もう……逆らえない。

「触らせて……ください……」

 従うよりほかなくて、というより、どうもさっきより自分の中で抵抗がなくなってきている気がする。
 愛羽さんが作り出したこの空気に呑まれているせいだろうか……。

「いい子ね」

 ひどく大人びて艶を帯びた声。
 するりと私の頬を撫でる指。

 ぞく、と背中を何かが走る感覚。

 まだ、大してなにもしていないのに。
 息が、軽く、乱れた。

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 また、手を取られ、胸へと導かれる。
 先程と同じように柔らかな胸へ手を押し当てられるけれど、今度は、サラシ越しではなく、直に。

 吸い付くような肌、なんて表現があるけれど、本当にそうだと、ぽーっとした頭のどこかで思う。
 指を曲げやんわり揉みしだけば、手のひらに当たる尖りが、いっそう固くなる。

 ――かわいい……。

 感じてくれてるのか。
 手のひらにぷくんと当たるその感触。捏ねるよう、円を描けば愛羽さんの眉が僅かに寄せられる。

 手をずらし、親指でそれを撫でると、彼女の吐息がすこし、乱れた。薄く開いた唇から零れるそれは、キスで奪ってしまいたいくらいに色気を纏っている。

 ――もっと……。

 指を広げ、体の脇のラインや肋骨の上をひっかくように撫でれば、愛羽さんの肌が粟立つ。
 素直な反応は可愛くて仕方がないし、より多く、強く、愛撫や快感を受け取って欲しくなる。

「……ん、ぅ……」

 鼻から抜けるような声が彼女から発せられて、その声は、もっともっと聞きたくなる。

 ――もっと、気持ち良くなって……?

「愛羽さん……」

 名を呼べば、彼女が背伸びをしながら、私のうなじに手を回してきた。
 応じるように片腕を腰に回しながら唇を重ねて胸の頂をくるくると指の腹で撫でれば、キスの合間に漏れ出る吐息が色濃くなる。

 唇を啄み、舌を絡め、唾液を擦り付ける。
 熱くてたまらなくなる感覚。
 何度この感覚を味わおうと、飽きることはない。

「……は、……ん」

 唇を離して、彼女の顔を覗けば、紅潮した頬や目元が可愛らしい。
 そして、それらとは対照的な濡れた口元は、妖艶さしかない。

 その濡れた唇が動き、私の名を呼んだ。

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「きて?」

 手を引かれて、床に散らばった衣服をそのままに、ベッドへ連れて行かれる。
 私は上下の下着をつけた姿で、愛羽さんは下だけの下着姿。

 ベッドにあがり、座るように促された。
 座った私の前に、愛羽さんが膝立ちになる。

 まるで仁王立ちだけど、こんなにもえっちな仁王像がある訳ない。

 なにせ眼前に、豊満な、裸の胸が、くるわけで。

 私は当然、口にもっていきたくなるわけで。

 彼女の腰に手を回して、引き寄せようとしたら、何故かぐっと抵抗感を覚えた。

「え?」

 予想外のことに、思わず出た声。
 彼女を見上げれば、スゥ、と弧を描く瞳には炎が宿っていた。

「舐めたいの?」

 彼女の口から滅多に聞かない言葉が飛び出して耳を疑う。けれど、今の愛羽さんなら、どんな言葉でも言いそうだと思い直した。

 流れ的にきっと、舐めさせてください、とか言うように仕向けられるのかな。
 たぶん言わなきゃ本当に、させてくれない。
 愛羽さんの性格も随分把握できてきてるからなと、どこか自慢気に、覚悟を決めようと私は努める。

 が。

「じゃあ、してあげる」

 耳に飛び込んできた彼女の言葉に、私は目を点にした。

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