※ 隣恋Ⅲ~待ち合わせは企みの香り~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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貴女の行動ひとつに、私は一瞬で、翻弄されてしまう。
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~ 待ち合わせは企みの香り 4 ~
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細い首筋に顔を埋め、何度も執拗に舌を這わせる。
「……はっ、ァ、や……ぁっ……」
切羽詰った声。
そんな嬌声を出させているのは自分だと思うと、支配欲が満たされる。
しかし底無しのそれは、もっともっと、と、彼女を求めてしまうのだ。
「待、って」
そう彼女が訴えるのにも関わらず。
「すずめ、ちゃ……んっ」
彼女が力の篭らない腕で私を押し返そうとしているのも、関係なく。
私は彼女に快感を与え続けるのだった。
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それが出来るのは私だけなのだ。許されるのは私だけなのだと、自分に理解させる為に。
本人である愛羽さんからの言葉だけでは飽き足らず、実感したくて、彼女を喘がせる。
それが自分勝手な行為だということは、頭のどこかでは分かっていた。
でも、浜辺に行く道中にすれ違った男達の顔を思い出すと、理解しているそれを消滅させるほどの嫉妬心がこみ上げてくる。
「……好きです、愛羽さん」
好き。
好き過ぎて。
自分だけのものにしたくなる。
「ん、ぅっ、……は、ぁっ……すきっ、すずめちゃ……っああ」
必死に言葉を返してくれる愛羽さんを、私だけのものにしたい。
他の男の視線なんか集めなくていい。
私さえ、貴女の魅力を知っていればいい。
誰にも、見せたくない。
こうして喘ぐ声も、扇情的な表情も、私だけが知る事ができる。
それだけでいい。
「……はっ……はぁっ……」
必死になりすぎて、こんな早い段階から、私の呼吸が乱れている。
頭の隅の、ほんの少し残っている冷静な自分が落ち着けと宥めてくるけれど、それを遂行できない。
けれど。
急くように、彼女の浴衣の合わせに手をかけ、一瞬、迷う。
――たぶん、汚しちゃいけない。
「……」
こんな状態でも、そういう細かい所を気にしてしまう自分が憎い。
浴衣など気にせずに、彼女をめちゃくちゃに喘がせて、どろどろに濡らして、私だけのものに出来たらどんなにいいか。
小さく息を吐いた私は諦めて、まずはこの浴衣を脱がせることにした。
帯に手をかけ、帯締めを緩めたところで、ふと、思いついてしまった悪事。
「……愛羽さん」
「ん……?」
「自分で、脱いでください」
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な。
と、愛羽さんが小さく声をあげた。
溶けていた瞳にはすこしだけ、理性がもどっている。
「む、むり……」
「駄目」
「やだ恥ずかしいってば」
「駄目」
私は抵抗する彼女の手を掬い上げて、帯へと導いた。
「……」
脱がせて。と私を見上げてくる顔には書いてあるけれど、駄目。
自分で脱ぐっていう、恥ずかしい行為も、私に命じれたら従う彼女が見たいのだ。
「脱いで」
短く言うと、眉をハの字にした愛羽さんの手がゆっくりと動き始めた。
私が緩めた帯締めを、じれったい程遅い動きで床に、落とす。
「じょうず」
陥落が容易いなどとは、口が裂けても言わない。
柔らかく褒めて、彼女に口付けた。
彼女の後ろの壁に手を着いて、それまでとは真逆の、穏やかな口付けだ。
上手にできたら、ほめる。
それは当たり前のことだし、愛羽さんのやる気UPにも繋がるのだ。
「いい子」
髪を撫でて、頬を撫でて。まるで情事の後の行為のように優しく、ただただ心地良い口付けを。
「もっと、脱いでごらん?」
「ぅぅ……」
「いい子だからできるでしょう?」
甘く囁き、優しく頬にキスをする。
ほだされたのか、愛羽さんは先程のような抵抗はしないらしい。彼女は渋々ながらゆっくりと手を動かし始めた。
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頬や額にキスをしながら、ごそごそと動く手を下で感じる。
たぶん、色々緩めているんだろうな、自分で。
そう思うと口元がにやけてしまいそうだから、隠すように彼女の唇にキスをした。
ゆっくり、撫でるようなキス。
小さく音を立てて離れ、彼女の頬を撫でた。
「かわいい」
「……るさい」
言い返しながらも、きちんと浴衣を解く行動は止めない彼女が、ほんとに可愛い。
「かわいい」
さっきと同じセリフなのに彼女が言い返さなかったのは、耳のすぐ横で囁いたから。
ピクと肩を震わせた愛羽さんが、口を噤んだのがチラと視界の端に映った。
ああもう。
どうしてこうも、彼女は私の悪戯心を煽るのだろうか。
――もっといじめたくなる。
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「可愛い」
もう一段、声を低くして言うと、彼女が明らかに反応をみせて俯く。
耳たぶに唇を押し当てるといつもより少し熱い気がする。近すぎて色は見えないけれど、たぶん、いつもよりこの耳は赤いんだろう。
調子に乗って、敏感な彼女をいじめすぎたせいか、彼女の手が止まってしまった。
「ちゃんと、脱いで?」
促すと、喉の奥で唸りながら、彼女は手を動かし始める。
従順なところも、可愛さ倍増だ。
きちんと、褒めてあげないと。
耳たぶへ舌をあててみると、その濡れた感触で自身が何をされているのか愛羽さんは理解したようだ。
小さく溢した声に、私は内心にやけてしまう。だって、可愛すぎだ。
が、このニヤつきを表情に乗せてしまえば、万が一愛羽さんが拗ねる可能性も無きにしも非ず。
私はただただゆっくりと、耳の輪郭を舌でなぞった。
「ん……」
俯いて、逃げようとする。
彼女の顎へ手を添えて多くの自由を奪い、舌を耳にねじこんだ。
「や……っ」
ぐちゅり、と、脳まで響く音を聞いているんだろう。彼女から嬌声があがる。
「は、ぅ、ぁ……っ」
堪え気味の声がまたゾクゾクするくらいにいい。
なんでこんなに、彼女の声は媚薬めいて、私をこんなにも気持ち良くしてくれるんだろうか。
「んんっ、み、み……やぁっ」
耳も、首も、弱いことなんて知っている。
だからこそ、攻めるんじゃないか。
彼女の手はもう、脱衣を放棄して浴衣からはとっくに離れていて、私にすがるように服を掴んでいる。
「ちゃんと、脱がなきゃ」
耳から舌を抜き囁くも、荒い呼吸を整える彼女にはたぶん、まだ届いていない。
彼女が震えて吐く息が首に触れてゆき、私は僅かに満足する。
けれど、まだ。
まだなんだ。
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「知っていますか? 愛羽さん」
「……え……?」
蕩けた声で、聞き返すその人に。
「耳って、ふたつあるんですよ?」
なんて常識を言ってみせる。
それが、どんな意味をもっているのか、彼女が理解するまでに、私は今舐めた耳とは反対のそれにキスを落とした。
「んやっ」
肩が再び震えて、彼女の手に力がこもる。
服に皺がつくくらいきつく握られた手が、快感でふるえていた。
――ああもう、可愛い。
「愛羽さんって確か、こっちの耳のほうが感じるんでしたよね」
私は低く笑った。
もちろん、そんなこととっくの昔に把握済みだ。
だからこそ、感じにくい方の耳から攻めた。
どちらかというと感じにくい耳で、あれだけいい反応をするのだから、こっちの感じやすい耳ではどんなにいい声を聞かせてくれるのだろうか。
「大好きですよ」
囁いて、唇で耳をはさむ。
「んっ」
ちろちろと舐めれば、早くも彼女の呼吸が乱れてくる。構わず、少しだけ歯をたてると、大袈裟とも思えてしまいそうなくらい大きく「アアッ」と愛羽さんが喘いだ。
――……こんなに、感じてたっけ?
それが最初に思い浮かぶ。
そして次に思い浮かんだのは……いつもと違うシチュエーションでもしかしていつもより興奮してる? という疑問だった。
歯を立てた部分をいたわるようにぺろりと舐めると、愛羽さんはいやいやをするよう首を振る。
「……そんなに、感じますか?」
あまりの反応の良さを目の当たりにして、すこし彼女の顔をのぞきながら、結構、素で、尋ねた。
でも愛羽さんからしたら、
「いじ、わるっ…言わないでっ……」
という心境らしい。
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もう。
可愛いすぎる。
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潤んだ目で見上げられて、着乱れた浴衣の合わせからはちらりと白い肌がのぞいているし、私を掴む手は弱々しく縋っているし、なにより……。
そう言いながらも、愛羽さんが私を引き寄せて、背伸びをして自ら唇を重ねてきたことが私の琴線に触れた。
一瞬で、頭が沸騰して、彼女からのキスを自分のペースにもっていき、深く舌を差し込んでしまう。
苦しそうに彼女の眉が寄せられるけれど、もう、止まらない。
可愛い。
可愛いすぎる。
たまらない。
クラクラするくらいに彼女の可愛さにあてられて、私は呼吸を奪うほどに、彼女に口付けた。
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