※ 隣恋Ⅲ~待ち合わせは企みの香り~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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カチャン。
施錠の音が、いやに大きく響いた。
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~ 待ち合わせは企みの香り 3 ~
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あれから二人きりの花火を楽しみ、ゆっくりと歩きながら帰ってきた。
帰り道の途中に、一度寄ってみたいたこ焼き屋さんの屋台があるんだと案内してくれた彼女と、歩きながら食べたそれは、実に美味かった。
美味かったし、「こういう食べ歩きって特別感あってすき」と、密めくような笑顔を見せてくれた愛羽さんがたまらなく可愛かった。
彼女は食べ歩き、飲み歩きは、あんまりいい顔をしない。例えば夏祭りや花火大会の夜店だとかはギリ許せるけれど、日常的に急を要しているでもないのにコンビニで買ったホットスナックを食べ歩いている若者には眉を顰める方なのである。
そんな愛羽さんとの食べ歩きは美味いし、楽しいし、可愛いし、もう、最高だったのだ。
しかし、だ。
彼女の粋なサプライズにより、彼女の浴衣姿を堪能した私は、ちょっともう、ガマンの限界だった。
「ただーいまー」
誰もいない真っ暗な部屋へ向かって言いながら、愛羽さんは私よりも先に奥に入っていく。
リビングを入ったすぐの場所。壁にある電気のスイッチを手探りで探して、パチンとつけた。
「楽しかったね」
持ち帰った花火のくずと、火消し用の水が入っていた空のペットボトル、チャッカマン。それらを玄関先に放置したまま、私は彼女の傍まで寄った。
そこまで近付くと、焦げ臭い花火の匂いに混じった、いつもと違う彼女の匂い。
香水なのか、浴衣に焚き染められたお香なのか分からなかったけど、それがまた、なんだか……私をヘンな気分にさせた。
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彼女に触れ、振り向かせ、ゆっくりとその顎に手を添えてもちあげる。
私よりも幾分身長の低い彼女とキスするために少しだけ膝を曲げた。
「え、ちょ、すず――」
少し見開かれた目。
そりゃあ帰ってから突然キスされるなんて、驚くだろう。
でも、そんな可愛い浴衣姿をずっと見せられて、道行く男にはジロジロ下心丸出しの目を向けられて、花火にはしゃぐ貴女の可愛さにあてられて、こっちとしてはもう、よく家まで我慢したほうだと思っているくらいなんです。
心の中でそう長い言い訳を置いて、彼女の柔らかい唇に自分のそれを押し付ける。
言葉を遮るキスに、初めは硬かった唇も、じき緩みながら応じてくれた。
とりあえず、まぁ……? みたいな雰囲気の愛羽さんだけど、こちらとしては、”とりあえず”ではない。
一度、二度程度の重なりでは足りないとばかりに、離れかけた愛羽さんを追いかけた。
角度を変えて、彼女が息継ぎをしているのにも構わず、再び唇を塞ぐ。
「……っ……ん」
トン、と足元の方で、なにかの音がした。
――……彼女が一歩下がった足音か。
たぶん、私の性急なキスで、息が苦しくなったのだろう。
後退った彼女の腰に、腕を回してぐっと引き寄せる。
胸から腰にかけてくっついた。じんわりと、衣服越しに感じる相手の体温が色っぽく感じる。
そんなの、私の気の持ちようだと思うんだけど。
「ごめんなさい。今日は、手加減できないかもしれない」
愛羽さんから数センチだけ離れた唇で、私は囁く。
「す、ずめ……ちゃん……?」
彼女からの問いかけには応えず、私は愛羽さんの唇をまた奪う。
強引だと怒られるかもしれない。
いきなり何、と困らせるかもしれない。
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それでも、欲しかった。
いますぐに。
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その衝動には、だいぶ、嫉妬が混ざっていた。
花火大会でもない日に、浴衣姿というものは少し存在感がある。
だから振り返られていたというのもあるけれど、でも、違う意味で愛羽さんに目を向けていた男達もいた。
そういう目は、恋人からすれば敏感に察知できるものであるし、不愉快なものでしかなかった。
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「……好きです」
私だけのひとでいて欲しい。
「愛羽さん」
貴女の恋人は私です。
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――他の人なんかに……渡したくない。
ドロリと黒い独占欲を胸に、戸惑っている様子にも構わず、彼女に口付けた。
帰ってきて一番最初のキスよりは、硬くない。
けれど、いつものふわふわの唇よりは程遠い感触だ。
「……愛羽さん」
急ぎすぎたか。
ほんのちょっとだけ、反省をした私は、啄む合間に名を囁いた。
反省をしたくせに、声が熱っぽいのは……もう仕方がない。
だって、欲しいんだ。
――貴女が。
頬へ添えた手。指の腹でそこを撫でて、再度彼女に口付ける。
少しだけ鳴った唇同士の擦れ合いの音。
それだけで、胸の熱が増して、キスを深めてしまった。
彼女の口内に舌を挿し込むと、ぴくんと体をふるわせた愛羽さん。
可愛いその反応に、頬へあった手をゆっくりとおろして、彼女の肩を撫でる。
嫌がることを強要したい訳じゃない。だけど、私は愛羽さんが欲しくて仕方ない。
その気持ちが、……我慢、できない。
角度を変えながら、深さを変えながら、私は何度も何度も、彼女の唇や舌の柔らかさと熱を堪能する。
肩を撫でた手を滑らせて、首筋から顎のラインを撫でてみれば、くすぐったそうに首を竦める愛羽さん。
小さく乱れた息遣いが、「首は弱いんだってば」とクレームをつけているみたいに思えた。
離れてしまった唇同士を、細い唾液が繋いでいる。
どちらのものとも判らないそれがプツと切れて、紅い唇の端を汚す。
色気が可愛さを食うみたいに増殖し続けている愛羽さんの唇の端をキスで拭って、すこし、顔を離した。
花火の時よりずっと潤んだ瞳と、切なく寄せられた眉。
僅かに開いたままのその唇は、私を催促しているかのようだ。
それが、私の勘違いかどうかは、どうでも良かった。
――触れたい。
親指で濡れた唇を撫でるように押して弾力を確かめる。
道中、彼女にも言われたが、愛羽さんにこんな事をしていいのは私だけなのだと確認すれば、少し溜飲がさがる。
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けれど。
それは、すこし、だ。
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――もっと、欲しい。
人差し指でまた唇を撫でた私は、彼女の口内へと人差し指を挿し込んだ。
「ンッ」
異物を押し込まれた彼女は、喉の奥で小さく声を漏らしたけれど、私は構わず、彼女の舌を指で押す。
見つめているのは、濡れて、より多くの色気を纏ったその唇だけ。
奪われるように注いでいる視線に温度があるのならば、きっと、彼女は火傷をしているに違いない。
そんな馬鹿な思考を繰り広げている私は次にまた馬鹿を言った。
「舐めて」
「んん」
たぶん、「やだ」と言ったのであろう。
私の指のせいで、ちゃんと発音できていないけれど。
反抗をする彼女に対して、私は命令を下げたりしなかった。
「舐めれるでしょう?」
目を細めて決め付けたように言ってやると、彼女は従いやすい。
抵抗を見せるのは、最初だけだ。
初めて身体を重ねた日から、この人の好みを知ろうとし続けてきたからこそ、把握してる。
「ちゃんと出来たらご褒美がありますから」
指を彼女の口内に入れたまま耳たぶを舐めて、ご褒美がどれだけ気持ちいいものか示唆してやる。
私との行為が気持ちいいという事は、本人の口からも聞いているし、最中の彼女の反応からも窺える。
そしてなにより、先程のキスだけでも、蕩けかけている彼女の瞳が、私を欲しがっていることを明確に語っていた。
舌を這わせた耳たぶを口内へ含んで、ゆっくりと解放する。そして濡れた耳の傍で、「ねぇ愛羽さん」と、低く低く、名前を呼ぶ。
「挿れてほしい分だけ、舐めてください」
どこに、なんていわなくても愛羽さんは理解しているはずだ。
すこし怯んだような反応を見せてる彼女に、私はにやと唇の端を吊り上げた。
「舐めて」
重ねて言うと、彼女は観念したようだ。
おずおずと舌が動き始める。
指の腹側。
すこしだけ力んだ舌の先が這っては戻り、戻っては這う。
しかし第一関節と第二関節の間辺りまでしか触らない舌に、私は目を眇めた。
まぁ。いいか。
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そう考えた私自身に、別の私が驚く。
嫉妬というのは、どうも思考を凶暴なものに変えてしまうらしい。
私だけが出来る事を存分に堪能したくて仕方がないようで、普段やらない事まで、彼女にさせようかと考えてしまっているらしい。
「……ふ……う……」
少し苦しそうに、難しそうに必死で舌を動かす彼女。
紅い唇から指が出入りする光景。
それを見つめるだけで、私の思考が溶けていく気配がする。
たぶん、本当に……今日は手加減できない。
私は彼女の口内から指を引き抜き、また愛羽さんの耳元へ口を寄せ、問いかけた。
「何本、入れて欲しいですか?」
「な……」
さすがに、愛羽さんの甘くなっていた思考も少し復活してしまうくらい衝撃的な質問だったみたいだ。
驚いて動きを止めている愛羽さんを少し笑って、彼女の耳たぶをぺろりと舐める。
つるりとしたその感触は気持ちよくて、唇で挟んだり、舌で弾いたりした。そのまま、彼女の快感を引き出すように耳の後ろを吸い、首筋へと舌を這わせた。
「ちょ……、ぁっ」
首の筋を舐められるのが弱い事を知っている。いつだったか、ゾクゾクしてしかたないのだと愛羽さんは言っていた。
そんな秘密を私に教えたことを後悔しなければいいけれど。なんて思いながら、ゆっくりとそこを舌で撫でる。
細い首の内部にある筋のうえ。肌をつぅ……つと舌の先でなぞってやると、短く喘ぐ声がリビングに零れ落ちた。
「……まっ、て……」
私の舌が触れれば触れるほどに、上擦る彼女の声。
待てない。逃がせない。そう云うつもりで彼女の腰を抱けば、私の腕を掴んだ手に、ぎゅっと力がこめられた。
――可愛い。
舌先を尖らせ上から下に首筋を辿れば、爪を立てるほどに彼女の手が力む。
普段、そんなことをされたら痛いだけだろう。けれど、今、この状況でされると、何故か嬉しささえも感じてしまうのだ。
「ゾクゾクするんでしょう?」
浴衣の合わせから少しだけ覗いている鎖骨を舐めて、また首筋に戻り、今度は舌全体を使って私の唾液を彼女に擦り付ける。
下から上へ。また、上から下へ。
確実に弱い筋の所だけを狙って。
「んん、ぅ……っ、はっ……」
愛羽さんの腰を抱く腕が、押され始める。
肘の内側を、押し退けるみたいにぐぅと突っ張るくせに、半袖の端を握り締めて。あべこべになりながら愛羽さんは喘ぐ。
「ぁっ……だ、めっ」
耐えられなくなったのだろうか。
彼女の脚が震え始めて、ちょっと……危うい。
急に動いて、この出来上がった雰囲気を壊してしまわないよう、慎重に、丁寧に。
私はゆっくりと体を誘導して、愛羽さんが壁を背に寄りかかれるように位置を取った。
「だめ? じゃあ……このままでいいんですか?」
耳の後ろから首筋へ、爪を立てるようにして指を這わせ彼女の性感帯を刺激する。
問い掛けには答えないつもりなんだろうか。いや、もしかすると愛羽さんは、応えられない状態なのかもしれない。
「欲しいんじゃないんですか?」
ゆっくりと両手で、彼女の肩から首、首から胸、腰と、身体のラインを辿るように撫で這わせる。
浴衣の上からだが、しっかりと彼女には伝わっているはず。
愛羽さんが小さく息を乱しているから、それが手にとるように分かった。
――可愛い……。
だめだなどと言ったくせに、私の手が下半身へ近付くにつれて、彼女の目が蕩けてゆくのだ。
「ねぇ。愛羽さん。こんなふうに……」
言いながら、彼女の脚の間へ膝を押し付けた。途端、響く、彼女の嬌声。
「ァッぁ……っ」
ビクンと、大きく揺れた彼女の身体。
「く、……あ……っ」
「ココに欲しいんじゃないんですか?」
浴衣の裾を開き、彼女の脚の間に、私の脚を大きく捩じ込む。
より強く脚を擦り付けると、彼女はいやいやをするように首を振って、私にすがり付いてきた。
が。
「ちゃんと言わなきゃ、あげませんよ?」
「……っいじわる……!」
これだけの愛撫で欲しくてたまらなくなってしまったのだろうか。
愛羽さんは私をくっとにらみ、肩の服を掴んで、引き寄せた。
「……しい……」
耳元で愛羽さんがかすれた声で告げた。
言っていることは分かるけれど、声が小さかったのでわざと、聞き返してやる。
「え?」
「ぅ……だからっ、……ほしいのっ……!」
震えた息が私の耳や首筋にかかってゾクリとした。
それに、彼女の可愛さがたまらない。
――ああもう、ほんとに、可愛いな。
「よく、言えました」
彼女の頬をそっと撫でて、私はキスをした。
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