隣恋Ⅲ~過去 現在 未来。嫉妬~ 101話


※ 隣恋Ⅲ~過去 現在 未来。嫉妬~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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  ~ 過去現在未来。嫉妬 101 ~

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 あのまま、切ないくらい好きな気持ちを、キスで伝え続けていたら、3ラウンド目を始めてしまいそうだった。

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 さすがにそれは、酷だろうと思って、わたしは彼女をお風呂に誘った。

 あんなに啼いた後すぐでは、足腰が立つかどうか心配だったけれど、雀ちゃんが連続3回のクシャミをしてしまったものだから、どうしても、お風呂に入れて身体を温めてあげたかったのだ。

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 予想通りというかなんというか、ベッドから下りた瞬間、彼女はよろめき、ベッドに尻もちをつく形でへたりこんだ。

 まるで、いつもの自分を見ているようで、こちらの方が恥ずかしくなったくらいだけど、わたし以上に顔を真っ赤にする彼女を前にして、わたしが羞恥に悶えている訳にもいかない。

 宥めて、手を貸して立ち上がらせて、ゆっくりとお風呂へ先導した。

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 それから二人で汗にまみれた全身を洗って、ざぶんと湯船に浸かった。
 少し熱めに設定したお湯が、汗で冷えていた身体に滲みる。

 一人暮らし用の部屋のお風呂の広さなんてたかだか知れているから、二人で入るには狭い。だけど、密着して入るのが楽しくもある。

 戯れに彼女の頬にキスしてみると、雀ちゃんは驚いたようで、その頬に片手をあてて、照れたようにはにかんだ。

「かわいい」
「……、そんな事してくる愛羽さんの方が可愛いですよ」

 まだ少し情事の余韻が残っているせいか、鈍い切り返し。
 雀ちゃんは普段なら、上手く躱すようにサラリと台詞を吐く。

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 照れを誤魔化すように咳払いをした雀ちゃんは、自分の身体に無数に散らばる紅華に目をやった。
 ”めっちゃ付けましたね”とか”付け過ぎでしょう?”とか、何か言いたい事があるのだろうけれど、雀ちゃんが口を開くより早く、わたしは息を吸う。

「その数のぶんだけ、好き」

 身体に視線を落としていた彼女は、わたしの台詞を受けて、こちらに顔を向けた。

「これだけですか?」

 まさかの言葉に、とっさに、二の句が継げなかった。
 しかしその後すぐに込み上げる笑いを堪え切れずに、吹き出した。

 雀ちゃんもどこかウケを狙ったところはあったのだろう。
 わたしが笑うのを待っていたように、一緒に笑い始める。

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 まさか、暗に”足りないですよ”と言われるとは思わなかった。
 わたしとしては、やり過ぎたと反省が過ぎる程だったのだけれど、雀ちゃんからしてみれば、全くもって許容範囲内。むしろ、少ないくらいだと言うのだ。

 わたしはまだ零れる笑いをそのままに、両手で彼女の両頬を挟んだ。

「もっと欲しいの?」
「はい」

 迷いも躊躇いもないその返答。
 わたしは彼女の額に額をくっつけて、間近で目元を和らげた。

 もっとキスマークつけてもいいの? 見える所とか。と、わたしが軽口を叩こうと唇を開きかけた瞬間。

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 唇を奪われた。

 驚きに軽く見開いた目に映ったのは、悪戯が成功した事をほくそ笑んでから、彼女が目を伏せてゆく瞬間。

 数十分前までベッドの上で啼かされていた姿からは想像できない、どこか大人びた雰囲気と目元の笑み。
 怯んだわたしをさらに追い込むように、雀ちゃんの手が伸びてくる。

 後頭部の高い位置で結った濡れた髪に手を添えられて、キスを深めるよう引き寄せられた。

「ん……っ」

 身じろげば、浴槽が肌と擦れて、ギュッと音が立った。
 狭い浴槽の中、その狭さを逆手にとったようにわたしの逃げ場を奪う雀ちゃん。

 ――待って、まさかこのままここで……っ?

 若くて体力のある彼女のことだ。もしかするとこのまま、攻守交替のもと、始まってしまうのかも……と考えが過ぎった。

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