※ 隣恋Ⅲ~過去 現在 未来。嫉妬~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ 過去現在未来。嫉妬 100 ~
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「そのまま」
「え?」
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雀ちゃんから貰った「愛羽さんが大好きです」の言葉の余韻に浸っていると、彼女が突然、口を開いた。
何を言われたのか一瞬理解できずに聞き返すと、雀ちゃんは心の準備をするみたいに、ゴクリと喉を鳴らした。
「そのまま、聞いてくださいね…?」
「え? あ、うん」
一体……彼女は何を言おうとしているのか。
生唾を飲み込む程、心の準備を要する……何か大切なことを……?
ザワリと不穏に揺れるわたしの胸を他所に、頬をくっつけたまま雀ちゃんは口を開いた。
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「気持ち、よかった、です……すご、く……」
「え?」
……今、なんて……?
「だ、だからっ、すごく気持ち良かったです……!」
「え?」
スゴクキモチヨカッタデス?
……すごく……気持ち………………。
「ええっ!?」
「ぅああだから顔あげないでっ」
ベッドに手をついて、慌てて起き上がろうとしたわたしの後頭部を彼女の手が抑え込んで、動けないように抱き竦められた。
「は、恥ずかしいから、もうちょっとこのままで……っ」
わたしの肩口に顔を埋めるみたいにして、わたしをきつく抱き締める彼女の体温は、高い。
どうやら、恥ずかしさを圧して先程の告白をしてくれたようだけれど、その顔をみられるのは、我慢できないらしい。
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雀ちゃんの言葉の意味をやっと理解できた途端、ドクドクと尋常ではない勢いで、全身を血が駆け巡りはじめた。
――う、嬉しいけどなんで急にそんなこと……。
雀ちゃんを真似る訳じゃないけれど、生唾を飲み込む。
「その……いつも……愛羽さんが」
「うん」
「終わったあとに、言ってくれるのが嬉しかったから……」
ぼそぼそと訳を話してくれる雀ちゃんが可愛いくて、仕方ない。
どうやら、いつも雀ちゃんに抱かれた後わたしが、「気持ち良かった」と言っていたことを覚えていて、同じように言ってくれたらしい。
自分がされて嬉しい事を、わたしにも同じようにしてくれた、と思っていいようだ。
「……うれしい……」
わたしは呟くように、心根を零した。
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無意識に思わず零れた単語。
自分の口から零れた本音に、我ながら驚きつつ、付け加える。
「雀ちゃんがそうやって、恥ずかしいけど頑張って教えてくれたのも嬉しいし、雀ちゃんをちゃんと気持ち良くしてあげられた事も嬉しいし、いつもわたしが気持ちいいって言ってたの覚えてくれてたのも、それを嬉しく思ってくれてたのも嬉しい」
ぜんぶ、うれしいよ。
と最後に言って、彼女の頬というか耳というか、そこにキスをした。
本当は彼女の唇にキスしたいところなんだけど、抱き竦められて身動きがあまりとれない。
わたしからのキスを受けて、気が緩んだのか、彼女の腕から力が抜けてゆく。
そんな彼女の腕から抜け出して、顔を見る事もできるけれど、わたしは小さく、問い掛けた。
「ね、今すごーく、雀ちゃんとキスしたいんだけど、いい?」
これはキスの許可ではなくて、顔を見る許可を得ているのだ。
だって、キスするには、それよりも前に、顔をみてしまうから。
「……はい」
思いっきり照れた声で、許可を出してくれた雀ちゃんに、愛しさが募る。
どうして彼女はこうも、わたしが可愛いな、と思う行動言動をするのだろうか。
胸がときめいて仕方ない。
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ベッドに手をついて身体を浮かせて、雀ちゃんの顔を見下ろす。
予想通り、照れた表情で、わたしを見上げている彼女の唇に、軽く触れるだけのキスをした。
「すき」
ほんの数センチだけ、唇を離して、囁く。
それからもう一度、触れるだけのキス。
「だいすき」
雀ちゃんを好きな気持ちを口に出す度、更に、好きの気持ちが大きくなってゆく。
行為の時とはまた違って、おだやかに大きく膨らんでゆく好きの気持ちに、切なくなる程、わたしの胸は締め付けられた。
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