※ 隣恋Ⅲ~過去 現在 未来。嫉妬~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
==============
~ 過去現在未来。嫉妬 81 ~
===============
まるでのぼせたみたいだった。
頭の中が、雀ちゃんの事だけでいっぱいになる。
===============
「はっ、…んぅうっ」
わたしの耳に届くのは、自分が立てた微かなリップ音と、快感に身体を震わせる恋人の可愛い声。
先程、心の中では雀ちゃんに謝ったのだけれど、「貴女が可愛い過ぎてもしかしたら暴走してしまうかもしれないのごめんなさい」と口に出して謝ったほうがいいだろうか。
なんて無粋な考えを抱きつつ、耳の付け根を硬くした舌先でくすぐる。
「ぁっ、ふ、ぁッ」
上擦ってくる彼女の声に、わたしの腰の奥が疼いてくるほどだ。
聞きなれていない恋人の嬌声ほど濡れるものはない。
===============
硬くした舌先で耳珠をコリコリと転がして、そのまま耳垂の上にある対珠へと舌を移す。どちらも珠と名がつくだけあって、耳たぶよりもずっと硬いそれ。例えるなら、居酒屋メニューにある鶏の軟骨の唐揚げ。あのコリコリした感触に似ている。
そんな色気もないような考えを浮かべながら、耳の孔へつながるくぼみ――対輪――を辿って、三角窩へと舌先を埋め込む。
三角窩とは外耳の上部にある窪みで、そこに舌先を押し当てて動かせば、くちゅくちゅとイヤラシイ音が立つ。
「ぁ、いはさん……っ」
「んぅ?」
舌を突き出して彼女への愛撫をとめず、雀ちゃんの手を握り返す。
可愛いもので、彼女はわたしの手が白むほど強く握って、縋っているのだ。
指の痕が残りそうなほど強く握られても一向に構わない。むしろ、爪を立てられてもその痛みはわたしを甘く刺激するだろう。
===============
はっ……はっ……と短く浅い息を繰り返す雀ちゃんの様子から、もう少し加減した方が良いのだろうかと愛惜の念を抱きつつ、耳を解放してあげる。
いつの間にか閉じていた瞼を開けてみると、可愛がった耳は真っ赤で、愛らしさを増している。
すぐに手を伸ばしてその耳朶を撫でたいけれど、そんな軽い刺激すら、今の雀ちゃんには快感を与える愛撫となってしまうのだろう。
「だいじょうぶ?」
久しぶりにこの言葉を口にした気がする。
それほど、瞬間的に彼女に没頭してしまったということだ。
やはり、仕事で培った冷静さは、この場ではアテにならない。
===============
んぐ、と乾いた喉で唾を飲み込む音をたてた雀ちゃんは、息を震わせてわたしの名前を再び呼んだ。
「なぁに?」
何か、言いたい事があるから呼び止めたのだろうけれど、わたしの名だけを繰り返す恋人に、胸が熱くなる。
可愛くて、恋しくて、愛しくて、狂おしいほど、何かが胸に込み上げる。
「ゆっくりでいいのよ」
繋いでいた手を解いて、頭を撫でてあげよう。
しかしわたしが右手を離しかけても、彼女の指の力は緩まない。縋るようにわたしの指と指の間に食い込んだままだ。
――どうしよう、可愛い、過ぎて……。
普段とのギャップもあって、こんなにも強く求めるように縋る彼女を前にすると、心臓を鷲掴みされたように、胸が締め付けられる。
すぐにでも、わたしの名を呼ぶ口を、塞いでしまいたい。
息もできないくらいの口付けで、彼女の全てを蕩けさせてしまいたい。
狂暴な欲望が頭を擡げると同時に、愛しさが募る。
ここまで恋人に夢中になったのは、生まれて初めてかもしれなかった。
===============
「……愛羽、さん……」
だいぶ、呼吸も落ち着いてきた頃、雀ちゃんの瞳がわたしを見つめた。
その潤んだ眼差しを浴びるだけで、わたしの理性は一欠片、欲望に飲み込まれてしまう。
「ん?」
落ち着いて。雀ちゃんが何か言いたげなんだから、ちゃんと聞いてあげなきゃ。それこそ、もう耳は嫌、という言葉なら尚更、きちんと聞かなきゃいけない。
わたしのそんな想像は、簡単に、裏切られる。
「大好きです」
荒い呼吸を繰り返したせいで掠れた声で、ありったけの”好き”を込めた告白に、わたしの心は射貫かれ、全身に痺れが走った。
===============
※本サイトの掲載内容の全てについて、事前の許諾なく無断で複製、複写、転載、転用、編集、改変、販売、送信、放送、配布、貸与、翻訳、変造などの二次利用を固く禁じます※
コメント