※ 隣恋Ⅲ~過去 現在 未来。嫉妬~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ 過去現在未来。嫉妬 78 ~
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躊躇う事、数拍。
雀ちゃんは、こく、と頷いた。
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やっぱり恥ずかしいのか、彼女の頷きはいつも小さい。
だけど、れっきとした意思表示。
注意深く様子を窺っていたけれど、本当に嫌そうな気配もしないから、本音なのだろう。
「ありがと」
許可のお礼を告げて、頬にキスをする。
早速、彼女の耳へと唇を寄せて、そこにもキスをした。
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雀ちゃんには、「キスしていい?」と聞いたのだから、キスをしなきゃ。最初は。
あとから、キス以外のものに変わるかどうかは未定だけど。
ちゅ、ちゅ、と微かに微かにリップ音を立てる。鼓膜に近いから、ほんの小さな音だって聞こえるのだ。頬や唇にする時のように大きい音……というか普通に音を立てていたのではうるさくて仕方ない。
どうしてそんな事を知っているのかと聞かれると、体験談だと答える。
以前付き合っていた彼氏の一人に、リップ音があると興奮するよね、なんて一度言ってしまったら、次の行為から必ず耳元でチューチューズルズル音をわざと立てるのだ。
こちらの好みに合わせてくれようとしたその精神はありがたいんだけど、鼓膜に近い場所でそんなに音を立てられたら、耳に音が突き刺さって痛い痛い。
さすがに、止めてほしくてそう告げると、彼は不機嫌になってその日のえっちは途中で中止になってしまったのだ。
そんな経験をしているから、ほんの微かな音だけ立てる。
大きな音は逆効果。
と心の中で呪文のように唱えながら、彼女の耳に唇を触れさせた。
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――とはいっても、中々難しいものではあるのね。
胸中でひとりごちる。
彼女の耳を啄めば、自然と音は鳴ってしまう。だけど、それを小さくしようと思うと、愛撫がおろそかになる。
意外と難易度の高いものを、昔の彼氏に求めていたのだと今になって知るけれど、その彼は今どこにいるのか何をしているのかも知らないし、もう会うこともない。
久々にその彼の事を思い出したなぁなんて思いつつ、耳朶に唇を触れさせたままでスススと縁を撫でる。
「ぁ、う……」
甘い声が雀ちゃんの口から零れて、わたしに届く。
可愛いその声が、わたしをもっと求めてくれたらさぞ嬉しいだろうと妄想を膨らませつつ、外耳の上部分をぱくと咥えた。
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人の耳というのは耳たぶ以外の場所は案外硬いもので、唇で挟むと不思議な感触がする。
芯としてある軟骨は硬さをもっているが、それを覆う皮膚と僅かな脂肪は、柔らかい。
はむはむと唇でその感触を確かめて愉しんでいると、くすぐったいのか、感じているのか、雀ちゃんが逃げるように身体を捩った。
わたしの唇からちゅるんと抜け去った耳。
まだもう少し味わいたかったのに、と名残惜しい気持ちを抱きつつ、思いっきり向こうを向いてしまった雀ちゃんの様子を窺った。
軽く息が乱れていて、わたしが咥えた耳は真っ赤。
首筋も軽く赤らんでいる。
……つまりは……気持ち良くて恥ずかしいってこと?
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「雀ちゃん。いやだった?」
思い込みだけで決めつけて、行動してしまうのは良くない。
ここは、恥ずかしがり屋さんに質問してでも、きちんとした答えを貰っておかなくちゃ。
「いや…ではないんですけど……」
「けど?」
その先が重要。
わたしは促しながら、彼女の頭を撫でた。
「ぇ…と……その、息がかかってくすぐったいのと、……気持ち良いのとが……混ざってて……」
あと、恥ずかしいです……。
と付け加えた雀ちゃんは背けていた顔を、おずおずとこちらに向けた。
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