※ 隣恋Ⅲ~過去 現在 未来。嫉妬~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ 過去現在未来。嫉妬 77 ~
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――ああ、いけない。
雀ちゃんに確認をとっていないことに気が付いて、わたしは彼女の首筋から唇を浮かせた。
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「雀ちゃん、だいじょうぶ?」
扇情的な光景を目の当たりにして、思わず自制心を失くした自分を取り繕う。余裕のあるふりをして、声を掛けると、わたしの軽い暴走に気付いていないのか、すぐ隣から乱れた呼吸と共に、「だいじょうぶ、です」の返答があった。
ほっとすると同時に、失いかけていた自制心を闇の彼方から引っ張り戻す。
いけないけいない。ちゃんと自分をしっかりもって、雀ちゃんには優しくしないと。
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まだ荒い呼吸で胸を上下させる雀ちゃんは、すでに肌がしっとりするくらいに汗ばんでいる。
わたしも彼女も、ショーツしか身に纏っていないから、素肌同士が触れ合う。
若いせいなのか、そのピチピチの肌がわたしの肌に吸い付くようにくっついて、どこか官能的な雰囲気を漂わせていた。
「ここ、舐めてみたら気持ちいいかな」
尋ねるように語尾をあげる訳でもないわたしの台詞は、どこか独り言に近い。だけどそれは、ちゃんと考えがあってのこと。
だって、雀ちゃんは恥ずかしがり屋さんだから、「ここ気持ちいいかな?」と尋ねられても返答に困るだろうし、逆に「ここ絶対気持ちいいから」と断定するのもなんだかおかしい。
となると残るは、独り言に近しく相談に少し遠いもの。
その台詞は、これから何をされるのか、彼女に知らせる役割を持って、彼女の耳に届くのだ。
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先程、軽い暴走をしたわたしが唇を付けた場所にもう一度、触れる。
「ん」
短く声をあげた雀ちゃんの呼吸はほぼ落ち着いてきて、胸の上下も穏やかだ。ここまで息が整えば大丈夫だろうと判断して、啄んだ肌に舌先を押し当てた。
首の中腹あたりから、ゆっくり、顎のラインまでを舌先で舐めのぼってゆく。
肌を舐め下ろされるのと、舐め上げられるの、比べてどちらかと言えば、舐め上げられる方が好きな彼女。
わたしだって、雀ちゃんを抱くことも今まであったのだから、彼女の快感の好みを少しは把握している。
その把握している情報をもとに、首筋を下から上へと辿れば、雀ちゃんの身体がビクンと跳ねた。
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――感じてくれてる……嬉しい。
行為の時、感じてくれると、わたしの胸はきゅんとなる。
それは快感を与えられたときの、切なさに近い胸のときめきとは異なった別の物。快感を与えることに成功した喜び、とでも言えばいいのだろうか。
「……ん……好きよ、雀ちゃん」
顎のラインまで辿りついた舌で、そこを小さくペロリと舐めてから囁く。
返事はないけれど、聞こえてはいるだろう。
そこで、視界にあった耳に、ふと、目が留まった。
形のいいその耳朶。
口に含めばつるりと舌触りの良い感触が待っているのは、知っている。
記憶からその感触が甦れば甦るほど、目の前にあるそれを、口にしたくなってくるが……確か、わたし同様、耳はけっこう感じてしまう質の雀ちゃん。
――困った。したいけど、……してもいいかな?
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急に、了解も得ずにしてしまって、驚かせたらいけないしなぁ、と今までの経緯を振り返りつつ思案するが、結局、本人に直球で尋ねたほうが、安全かつ迅速だと判断する。
――ヘンに小細工とかして嫌がられるよりは、ね。
心の中で呟いて、もう仕切り直しが無いよう、慎重になるわたしは、そっと雀ちゃんの頬にキスをした。
「ねぇ雀ちゃん。ココ、キスしてもいい?」
ちゃんと語尾をあげて、独り言にならないよう注意して、彼女の耳に指先で触れる。
それと同時に彼女の”嫌”という気持ちや気配が欠片でも感じられたら、絶対にやめようと心に誓いながら、彼女の様子を窺った。
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