※ 隣恋Ⅲ~過去 現在 未来。嫉妬~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ 過去現在未来。嫉妬 75 ~
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「キス……してもいい?」
まるで、初めてキスされる子みたいに、雀ちゃんはコクンと小さく頷いた。
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――心臓の音が速い。
僅か数センチの距離を詰めるのに、どれ程時間がかかっただろうか。
やっと重ねた唇の柔らかさに、感動すら覚えてしまいそうになった。
いやいや今更。数十秒前にキスしたばかりで、この唇がどれだけ柔らかいかなんて、知っている筈なのに。
啄み、啄まれ、リップ音が部屋に響くなかで、さらに、口付けを繰り返す。
さっきよりもこの時間が長いのは、雀ちゃんの心の準備を促すため。
喘ぐための心の準備というと、なんだか可笑しいと思われそうだけど、喘ぐことに抵抗のある彼女が、挑戦しようとしているのだ。
恋人として、受け止めてあげなければ。
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彼女の上下の唇が僅かに開いてきた頃、わたしはようやく、舌を覗かせた。
先程のキスと同じように下唇を撫でて、それから上唇。薄く開いたままの唇の割れ目に浅く舌を差し込んで、上下の唇を愛撫するよう小刻みに舐めた。
「……あ……」
閉じていた目を開いてしまいそうになるくらい、心臓が大きく跳ねた。
雀ちゃんの声が、戒めから解き放たれたかのように、開放的に変化したからだ。
ここでわたしが反応してしまってはいけない。自然に、自然に。
そう何度も心の中で唱えて、舌を唇の間から引き抜きつつ、瞼をひらく。
雀ちゃんの唇と、わたしの舌の間を銀糸が繋いでプツンと切れる。扇情的なその光景にジンと腰が痺れ甘さが広がった。
キスの余韻に浸っている彼女の瞼が開いてしまうよりも早くに唇を再び重ねて、今度はもっと深く舌を差し込んだ。
深く、と言っても、前歯に触れる程度で、わたしはゆっくりとその歯列を舌先で撫でていった。
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上の歯。下の歯。
左から右。右から左。
歯の先端をなぞってゆくわたしの舌先に、もどかしさを覚えたのだろうか。雀ちゃんの舌が熱を伴って触れてきた。
「ん……」
甘い刺激をもたらすその熱に、わたしも微かに声をあげて、触れてきたその舌に自分のそれを絡める。
互いの舌を舐め合うその行為は、いつもならばもう少し、舌の動きが速い。だけど、今日ばかりは、緩慢すぎる程緩慢に行われた。
言うならば、互いに、愛撫しながら相手の声に耳をそばだてている状態なのだ。
だから性急に求めあったりしないで、ゆるゆるとしか動かない。
それが、快感を増幅させる事と彼女が理解しているのかどうか。わたしには測りかねるところだが。
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雀ちゃんが舌を差し出したので、わたしはそれを咥えて、ちゅぷりと音を立てた。軽く吸いながら顔を後ろへ引けば、唇から銀糸を残しながら彼女の舌が姿を現す。
「ん、んっ…」
プツンと銀糸が切れると同時に、伸ばされていた彼女の舌の上側に舌を押し当ててそのまま舐めあげると、雀ちゃんの身体がビクンと震えた。
そんなにも気持ちよかったのだろうかと彼女を窺うよう、薄目を開けてみると、眉をきゅっと寄せて、襲い来る快感に耐える表情が色っぽい。
どうやら彼女にとって、それほどに気持ちいいキスになっているようだった。
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キスを解いて、舌への愛撫も一旦止めてあげる。
あまりにも長時間愛撫すると、また、可哀想なことになるから。
「雀ちゃん」
とっくに乱れきった呼吸を整えようとしている雀ちゃんの名を呼べば、うっすらと、瞼を開けてこちらを向く潤んだ瞳。
可愛い過ぎて、色っぽくて、すぐにキスを再開させてしまいたくなるけれど、ぐっと堪える。
「だいじょうぶ?」
「だ、いじょうぶ、です……」
途切れ途切れに言う様は、まったく大丈夫ではない。
そんな強がりなのか、気を遣っているのか、そのどちらもなのか。無理することはないのにと、微笑みに一滴苦笑を混ぜてから、彼女の頬を指の背で撫でた。
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