※ 隣恋Ⅲ~過去 現在 未来。嫉妬~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ 過去現在未来。嫉妬 70 ~
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血が沸騰する。
そんな表現を本で読んだことはあったけれど、体感したのは、これが初めてだった。
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身体中の血管を流れる液体が一気に、わたしの体温を上昇させてゆく。
けれど、身体は今までにないくらい熱いのに、尾てい骨から背骨、後頭部にかけて、悪寒に似たものが走り抜けた。
熱と寒さが相反してわたしの身体を支配しようとせめぎ合う。
目を開いているはずなのに、視界すら一瞬白くとぶほどの感覚だった。
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「す、ずめちゃん」
眩暈しそうな程の感覚に襲われながら、彼女の名前を口にする。
とりあえず、落ち着こう。
彼女によって胸にあてられた手を引こうと力を込めるけれど、それを阻む雀ちゃんの手。
「がまん、できません……」
わたしが全力で手を退けようとしたら、多分、可能だ。それ程に、雀ちゃんの腕には力が入っていない。
まるで縋るみたいに、わたしの四本の指を握っている――否、彼女は、……縋っているのだ。とわたしは思い直した。
雀ちゃんは縋って、一秒でもはやく、欲しがっているのだ。
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「触って欲しいんです……」
潤んだ目をいっそう潤ませて、こちらを見上げる彼女に、また、眩暈がしそうだった。
わたしは言葉を紡げず、口を閉じたまま胸にあてがわれていた手をゆっくりと動かした。
雀ちゃんの胸の頂きに触れていたのは丁度、中指の第二関節あたりだった。皮膚の薄い指の中腹に硬いそれが、存在を主張している。
指を曲げるようにして擦ると、わたしの手に縋っていた彼女の指が跳ねて、解けた。
たった僅かの動きだけでも、この反応。
わたしは知らず知らずのうちに、生唾を飲み込んだ。
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「あいは、さん」
心臓が痛いくらいに打っている中、雀ちゃんに呼ばれて、視線を胸から、彼女の顔へと移す。
「も、っと…してください……」
上気した頬、切なげに寄せられた眉、水の膜を張った瞳、頼りなく薄く開いた唇。
その全てから立ち昇る色気に、トドメと言わんばかりの台詞。
「……ん」
上手い台詞も思いつかずに、わたしは、短く頷くだけ。
それほどに、彼女に圧倒されていたし、興奮を抱いていた。
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たぶん、どんな刺激でも、今の雀ちゃんには快感になるのだろう。
身に覚えのあるその感覚を察して、わたしはゆっくりと胸の頂きに触れていた中指をずらして、指の腹に、胸の尖りを押し当てた。
「ンんぅ……っ」
切ない声が上がって、こちらを縋るよう見つめていた彼女が横を向く。そのまま、快感の余韻に耐えているのか、いやいやをするように首を振った。
枕に頭が擦れる音が妙にやらしく聞こえて、わたしは自身の興奮を落ち着けるように静かに息を吐く。
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中指にゆっくりと力を込めて、硬く尖ったそれを押し込む。陥没させるように押し込んでも、指を離せばすぐにぷっくりと存在を主張する。
「は、ぅ」
撫でるように、そっと頂きの平面を小刻みに触れてみると、声音が高くなる。
――どうしよう、可愛い。
感じている彼女が可愛いすぎて、滅茶苦茶にしてしまいたくなる。そんな狂暴な気持ちが頭を擡げてくるけれど、気付かなかったふりをする。
それに気付いてしまえば、自制が効かなくなるような気がして、わたしはすぐに狂気から目を逸らした。
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たった一本の指で翻弄された雀ちゃんは、口にあてていた手を外して、枕の横のシーツを掴んだ。曲げられた指の間が開いて、不格好なその様子に、処理しきれない快感を彼女の中に見る。
――もっと、気持ち良くしてあげたい。
先程目を逸らした狂気のすぐ隣に居るのは献身的な愛。それは彼女を愛でることで幸せを感じることの出来る感情。
隣合わせのそのふたつの感情の均衡が崩れない事を祈りつつ、わたしは、彼女の胸へと顔を寄せた。
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