※ 隣恋Ⅲ~過去 現在 未来。嫉妬~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ 過去現在未来。嫉妬 51 ~
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正直にそう告げるわたしを、目を丸くして、というよりは、どちらかと言えば、呆然に近い雰囲気で見上げてくる雀ちゃん。
「本当、ですか……?」
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自分が褒められているなんて、信じられない。
そんな顔をする雀ちゃんに大きく頷いた。
「もちろん。そんな恰好良い雀ちゃんを誇らしくも思ってる」
って言うとちょっと大袈裟にきこえちゃうかな? と続けながら、わたしは彼女の手を撫でる。
ささくれや手荒れの見えるこの手が、どれだけ頑張っているのかを表しているのだから。
「信じられない?」
小首を傾げ、驚きの表情を崩さない彼女の手にまたキスをする。
ちょっとキスしすぎ? とも思うけれど、まるで自分は評価される訳がないと思い込んでいるこの自己評価が限りなく低い子ちゃんを見ていると、恋人贔屓ではなく、甘やかしてあげていいと思ってしまう。
そして、恋人だから甘やかす方法のひとつに、こうした好意の感情の伝達がある訳だ。
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「正直、まだ……」
苦笑と照れを混ぜ合わせた顔付きをする彼女は、どうにもまだ受け止めきれていないようだ。
彼女の頭に犬耳がついているとしたら、多分、今はシュンと垂れている感じ。
想像しただけで、可愛いくて仕方ないんだけど……、……ほんと、この子、どうしよう。
「仕事に関して言えばね、やる気がなくて失敗しない人より、やる気があって失敗する人の方が、わたしは好きよ?」
別に今日、雀ちゃんが何か失敗したって訳じゃないけど、例え話を聞かせてあげたら安心するかなと思ってのことだ。
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しかしそんな意見は彼女にしてみれば、驚きのようで。
「え、でも、失敗しない方がいいんじゃ……?」
「この先一生、失敗しない人なんていないのよ。わたしだって失敗するし、まーだって失敗する。例えば雀ちゃんの周りの人で言えば、今日、店長さんは厳密に言えば失敗じゃないけど指導受けてたでしょう? 雀ちゃんが尊敬する人でさえ、そんななんだから、人間いつかはどこかで失敗するの」
ふんふん、と頷いて話を聞いてくれる雀ちゃんは可愛いのだけど、わたしは内心、自分自身にうんざりした。
どうしてベッドの上で仕事じみた話を始めてしまったのだろう。
あそこはさらっと流して、彼女の納得がちょっと微妙でも、手へのキスを再開させて雰囲気を戻せばよかったのに。
「失敗した時、やる気のない人はヒドイわよ。でもやる気のある人は失敗してからの成長がいいから。だから、長い目で見て、やる気があって失敗する人の方が好き」
――あぁ……わたしってホント、仕事馬鹿。ベッドでこんな色気のない話切り出しちゃうだなんて……。
「雀ちゃんはどう見ても、やる気があるし、今日は失敗してない。だったら、貴女は最高よ?」
最高、という言葉が陳腐な響きを持つことは知っているけれど、あえて使う。
このくらいやんわり褒めないと、きっと、彼女はまた謙遜するから。
「次長のわたしが言うんだから保証付き」
自分の肩書まで引き合いに出して、色気がないことこの上ない。
雀ちゃんの顔に笑みが戻ったのは良いことだけど、さて、これからどうやってえっちの雰囲気にもっていこうかしら。
金本次長は頭を悩ませるのである。
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