隣恋Ⅲ~過去 現在 未来。嫉妬~ 45話


※ 隣恋Ⅲ~過去 現在 未来。嫉妬~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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  ~ 過去現在未来。嫉妬 45 ~

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 脱いだストッキングで両腕を縛り上げると、予想通りに、焦っている。

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 ここまでくれば、攻守交替はまずないだろう。
 一応のひと段落ということで、わたしはずっと気になっていた事について、話を始めた。
 やっと、この話が出来る。

「いい子過ぎなくていいのよ?」

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 聞き分けの良い恋人。
 甘えさせてくれる恋人。
 わたしの為に頑張ってくれる恋人。

 世の中の女性に、こういうタイプの人はどう? と尋ねれば必ず、理想だわ! と返事をもらえるだろう。

 実際、わたしだって話を聞く分には、確かにそんな人物がいれば付き合ってみたいと思っていた。

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 聞き分けの良い恋人。
 甘えさせてくれる恋人。
 わたしの為に頑張ってくれる恋人。

 しかしふと、この三つと雀ちゃんを見比べてみると、まるでこの条件に見合うではないか。

 理想の恋人。

 表面上だけでは、だ。

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 一瞬だけ見せる不満そうな表情が、いつも気にかかっていた。

 不満なら不満だと言えばいいのに、それをしない雀ちゃん。
 わたしが我慢をさせているのだ。

 どうすれば我慢させないで済むのか。
 もう少し付き合いが長くなれば、自然と言いたいことを言ってもらえるようになるのか。

 でも……そんなふうに我慢をしている雀ちゃんは、わたしと長く一緒に居たいと思ってくれるだろうか。

 そもそも、我慢の限界、という言葉もあるくらいだから、いつか突然、彼女の堪忍袋の緒が切れて、わたしは捨てられる。そんな想像は容易く出来て、心が凍てついてしまいそうになる。

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 年上だから、無意識に圧をかけてしまっているんだろうか。
 年が離れているから、気安く話ができない関係になってしまっているのだろうか。

 社会人と学生という立場の差を、必要以上に意識させてしまっているんだろうか。

 人よりも察する能力はあると自負しているけれど、なんでもかんでも、分かる訳じゃない。

 言ってくれなきゃ、分からない。

 でも。

 言えない雰囲気を、わたしが無意識に作っているのかもしれない。

 だからその裏返しで、えっちの時に、いう事をきかせたがる?
 無理矢理な紐づけに自分でも首を横に振って、馬鹿な考えを打ち消す。

 違う。

 大切なのは、貴女なの。

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 混乱を絵に描いたような思考の乱れ。

 何を言いたいのか、何を言ってはいけないのか。わからなくなる。

 落ち着きを失くしそうな自分を叱咤して、言い聞かせる。

 違うわ。
 今、一番大切なのは、雀ちゃん。

 その彼女をわたしが傷つけたのだから、それ以上の愛情を伝えるの。

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 愛情を伝える方法を教えてくれたのは、目の前の彼女。

 愛おしさを形にして、相手に刻む。

 以前、キスマークをつけられるのは嫌いじゃないと言っていた、彼女の言葉に気遣いからの偽りが無いことを信じて。

「わたしの気持ち、受け取ってね。出来るだけ、見えない所につけるから」

 これで嫌がられたら、なんて過ぎった不安を見ないフリをして、雀ちゃんの肌に唇を押し当てた。

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