隣恋Ⅲ~過去 現在 未来。嫉妬~ 37話


※ 隣恋Ⅲ~過去 現在 未来。嫉妬~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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  ~ 過去現在未来。嫉妬 37 ~

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「じゃあ、仕方ないね」

 愛羽さんが言ったその台詞を、私は、諦めの言葉だと受け取った。

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 しかしそれは、とんだ間違いだったのである。

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「んしょ」

 私の体を跨いでいた愛羽さんは、腹に手を着いて腰を浮かせた。
 一体何をするんだろうかと内心疑問を抱きつつ、大人しく彼女を見上げる。もしも体勢を変えようとしていて不安定なら、手でも差し出し、貸そうかと考えながら。

 動向を見守る私を他所に、彼女は私の上に跨ったまま器用に脚を曲げ、履いていたストッキングに手をかけ、スルスルと脱いでゆく。

 自分で脱ぐだなんて、珍しい。いつもは自分で脱いでと要求するとごねるのに。
 胸中にて、そんな第一印象をのんきに述べている私はその数分後、激しく後悔することになる。

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 両脚からストッキングを抜き取った彼女はまた私の下腹あたりに腰を下ろす。
 生憎私はなにも脱いでいないから、服が邪魔になって愛羽さんの絹肌を感じることは出来ない。

「雀ちゃん、目、瞑ってごらん?」
「へ?」

 目を閉じろって?
 どうして、と聞き返す私に、愛羽さんはストッキング片手に、にっこりして「いいからいいから」と楽しそうに私を急かす。

 まぁ、ストッキングごときで、特になにも大それたことは出来ないだろう。
 そう高を括った私が馬鹿だったのだ。

 愛羽さんが意味の無いことなんてしない人なハズなのに、それを忘れて、目を閉じた。

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 ゆっくりと、先程と同様に上体を倒す愛羽さんの気配を感じていると、やはり色っぽい声が耳に囁く。

「キス、しようか」

 今日はやたらとキスしたがるなぁ。まあ私もキス嫌いじゃないからいいけど、と呑気に思っていた瞬間、唇が重なる。

 やっぱり柔らかい彼女の唇は気持ちがいい。
 始めから目を閉じている分、なんだかその柔らかさが増した気がする。

 唇の柔らかさなんて変わるはずないのに馬鹿な事を考えながら、私は愛羽さんの背中に回そうと腕を持ち上げる。

 自分の身体を支える愛羽さんの腕をするりと撫でてから背に向かおうとした腕が、いきなり、はっしと掴まれた。
 捕まったのは手首あたりで、そのまま上手い具合に押し返され、最後にはベッドに押さえつけられていた。

 流れるように鮮やかな手つき。そう表現してもいいくらいに、私の両手はあっという間に、愛羽さんによってベッドに押し付けられていたのだ。

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 両腕がベッドに押さえつけられてゆく間も、愛羽さんの柔らかな唇で私は啄まれ、甘やかな刺激を与え続けられていた。

 どうも私は、彼女のようにキスと同時に何かを進めてゆくことが不得手で、例えば今の愛羽さんの行動をそっくり私がやると、両手を捕らえることに気をとられて、キスはどちらかと言えば受動的になってしまっただろう。

 やっぱり愛羽さんはすごいなぁなんて思いつつも、ちらつくのは蓉子さんの影。蓉子さんは見るからにテクニシャンっぽいし、経験人数も豊富らしいから、こういうテクニックを人に教えるなんてことも簡単に出来そうだ。

 愛羽さんは蓉子さんを師匠と言ったけれど、まさか、床の師匠ではないだろうな……と全く馬鹿な考えが浮かんでくる。

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 何もないという言葉を信じるんじゃなかったのか! と自分を叱責して、彼女とのキスに集中しようとしたとき、ふわっと愛羽さんの唇が離れていった。

「なにか考え事してた?」

 至近距離で投げ掛けられる問いに、頬が引き攣る。
 どうしてバレたのか、注意散漫だったのがキスだけで相手に伝わってしまうのだなんて。

「な、なにも……」
「そう? こんな事されても抵抗しないだなんて、何か考え事してるんだとばっかり思っちゃった」

 ふふ、と笑んだ愛羽さんが言った言葉の意味を理解した時には、私は完全に両腕の自由を奪われていた。

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