※ 隣恋Ⅲ~過去 現在 未来。嫉妬~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ 過去現在未来。嫉妬 36 ~
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どのくらい唇を塞がれていたのか分からない。
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やっと愛羽さんの唇が私のそれから離れて、呼吸を許される。
本能的に酸素を貪る私を愛羽さんは大きく息をつきながら眺めている。
深いキスにおいて、主導権を握りキスをする側と、される側では、呼吸の乱れや体力の消費が随分違うことを体験してしっている。
まぁ少なく見積もったとしても、キスする側の経験が多かったのだが、今夜の愛羽さんはSに目覚めていて、私はされるがままだ。
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「蕩けたカオしちゃって。可愛い」
私よりも大分早く呼吸を落ち着けた愛羽さんは、にんまりと瞳で弧を描いたまま、私の視界から消えた。
と、すぐ後に感じる彼女の温かい息。
「っ、待」
待ってください、と言いたかった。だけど私は自ら口を噤んだ。
そうでもしなければ、きっとこの口からはあられもない声をあげていただろうから。
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首に触れる、温かく濡れた感触。それは今し方まで私の口内に居たそれだ。
愛羽さんは私の首に顔を埋め、鎖骨の上から耳の裏までねっとりと舐め上げる。
その緩慢な程の動きに、どうしようもなく感じてしまう。
口から喘ぎを零してしまいそうになるけれど、奥歯を噛みしめて、喉の奥にぎゅっと力を入れて、耐える。
羞恥心から声を我慢している部分もあるが、それ以外にも、思う所があっての我慢だ。
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どちらかに分類するとなれば、女らしい服装をあまり好まない私はボーイッシュに分類される。
愛羽さんはもちろん、可愛らしい服装もすれば、髪も長く、くせっ毛なのかパーマなのか緩くウェーブがかかっている。明らかに女性らしいその容姿のひとが情事の中喘ぐ姿はそそられる。
けれど、ボーイッシュな私が喘いでも、誰も喜ばないんじゃないかと思う。というか、多分そうだ。
だから私は、出来るだけ、こうして声を堪えるのだ。
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耳裏まで辿り着いた舌はゆっくりと愛羽さんの口内、あるべき場所へと戻っていった。
詰めていた息を解放して、震える息を吐き出す。
愛羽さんの唾液に濡れた肌が、耳の傍に居る彼女の呼気でぞわりとする。
「思ったより、この体勢って筋力必要なのね」
この体勢とは、私の頭上で両腕を捕らえて押さえつけ、もう片手で私の曲げた肘あたりに触れている体勢のことだろう。
体が小さい愛羽さんが、自分よりも大きい人物に覆いかぶさって押さえつけるとなると、確かにそれは辛いものがあるだろう。
そもそも彼女は細くて、OL生活で、ジムにも通っていないのだから、筋肉もない。もちろん贅肉もないのだが、そんな体の彼女が出来るような体勢ではないようだ。
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「んしょ」
と小さな掛け声をして、彼女は上体を起こす。
すると私の下腹あたりに座る形になって、こちらを見下ろした。その顔は何やら思案顔で、目はきょろきょろと何かを探している。
「ねぇ」
「はい?」
密着していた体が離れて寂しい気持ちが湧くものの、両腕を解放されてほっと息を吐く。
両手万歳のこの体勢、されてみて分かったのは、あまり長く万歳していると腕が辛くなるということ。やはり普段しない体勢というのは、負荷がかかるものらしい。
腕を下ろしつつ、まだ何かを探している素振りの彼女に視線をあてた。
「縛るものない?」
「……」
一拍おいて、彼女が何の目的で”縛るもの”を探しているのか見当がつく。
「あ、ある訳ないでしょうそんな物」
「んー、そうよねぇ……ふつうベッドにそんなものないわね」
腕を組み、残念そうにする彼女はかなり本気で、私の両腕を縛る気でいたようだった。
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