※ 隣恋Ⅲ~過去 現在 未来。嫉妬~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ 過去現在未来。嫉妬 34 ~
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なんだ。
なんだなんだ、どうして。
いつもと立場が逆になってるんだ。
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愉しそうに目を細めている愛羽さんはマウントポジションをとって、私の両腕を枕に押さえつけている。
この身動きを封じる体勢は、私が彼女によくしているものだけれど、まさかそれをされるとは思ってもみなかった。
たぶん、私がいつもしているから、そこから真似をしたのかもしれないが……。
蛇に睨まれた蛙、というか……俎板の鯉、というか……。
普段見下ろしている人に見下ろされるのは新鮮だけど、こういうのはちょっと違うなぁと内心、首を振った。
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どうやってこの状況から抜け出そうか、そればかり考えている私の腕に、少し違和感を感じた。
痛みの一歩手前のような……何か硬い物が強く触れる感触だ。
だが、頭上にある自分の腕を確認しようにも、私を見下ろす彼女の瞳から視線を逸らせない。
「逃げる方法でも、探してるの?」
月明りで窺う彼女の表情はいやに艶っぽい。それと同様の声が私に降りかかって、ゴクリと喉を鳴らした。
生唾を飲んだのは、愛羽さんが色っぽいからだという訳ではない。一言もこの状況を打破しようとしているだなんて言ってないのにも関わらず、彼女が言い当てるから、すこし驚いたのもある。
「逃げられるとでも……」
いつもより、低い彼女の声。
「思ってるの?」
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語尾が少しあげられていたから疑問文。その答えを述べよと言われたなら、私はこう答えなければいけない。
先程までは、思っていた。
けれど、今はもう、逃げられる気がしない。
と。
しかし、そんな事を口にしようものなら、愛羽さんは「その通りね」とでも言って、今夜はこのポジショニングを不変のものに設定してしまうだろう。
普段ならば、まぁ譲ってもいい。
けど、今日は駄目だ。
”許す”とは言ったものの、未だ、ちらつく蓉子さんの影。
彼女の言うことを信じて、二人にはただの師弟関係しか繋がりが無いものと思う。それが事実であれ虚偽であれ、私はもう愛羽さんの言う事を信用すると決めたのだ。
だからといって、その日すぐに蓉子さんのコトが頭から全部なくなる訳ではないのだ。
私はそんなロボットのように、設定を変更したからその瞬間から切り替えられるものではない。
徐々に切り替える為にも、今夜は愛羽さんを抱きたいのだ。
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