※ 隣恋Ⅲ~過去 現在 未来。嫉妬~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ 過去現在未来。嫉妬 30 ~
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「ね……舌、だして……?」
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言われた言葉に抗えずに、おずおずと唇を開き、舌を伸ばす。
差し出したそれをなんの躊躇いもなく、はむ、と咥える愛羽さんは、私の首に回した腕で、さらに身体を密着させるように引き寄せる。
――ああ、もう。
胸の内で諦めに近い言葉を吐いて、壁についたままだった手を彼女の腰に回して、応えるよう抱き締めた。
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深い口付けを続けつつも、抱き締められたことを喜ぶような笑みの吐息を彼女が零す。
ただ抱き締めただけなのに、そんなふうに嬉しそうにされると、胸の奥がぎゅっとなる。
改めて彼女が好きだなぁと思うし、彼女からも好かれているのだろうと思う。
片腕で腰を抱いて、もう片方の手では彼女の後頭部を支えるように髪に指を挿し込む。
そうしている間にも愛羽さんとのキスは濃厚さを増してゆく。
熱を分かち合うように舌同士を擦り合わせていれば、自然と唾液が涌き出てくる。
どこかのタイミングでそれを飲み込もうと思うのだが、その間も惜しいくらいに口付けを交わしあっていると、舌を伝って、愛羽さんの口内へとそれが流れてゆくのが分かった。
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あ、まずい。と思ったときにはすでに、唾液は彼女の口内へ。
深い口付けをしていれば、どちらのものか分からない唾液を嚥下することにはなるのだが、意図せずこうもあからさまに、相手へ唾液を注いでしまうと、若干、焦る。
咄嗟に離れようとしたのだが、首に絡まる腕に阻まれて、離しかけた唇と舌を再び元の位置に戻してしまう。
じゅ、、とそれを吸う音と共に、彼女の口内へと吸い込まれ、果ては、こく、と飲み込む音までも耳に届いた。
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まだ理性が残っている証拠か、彼女に呑ませてしまった事を申し訳なく思う。しかしその一方、彼女自らそれを飲み込んでくれた事実に、頭は熱く痺れ、背中にはゾクゾクと得も言われぬ感覚が走り抜けた。
「あ、いは……さん」
背中を走り抜けた感覚のあとから、全身に鳥肌が広がって、ぞわぞわとしか言い表せない何かが身体を覆いつくす。
やっと口付けを解いて、霞む視界で彼女を映した。
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こちらを見上げる彼女の瞳はやはり水の膜を張ったように潤んでいて、頬は上気して染まり、普段よりも数段色っぽい。
もしかすると、アルコールのせいかもしれないが、それだけではない筈だ。
「……なんか、ぞくぞくするね」
コレ。
と今し方の行為を指して言う彼女が片腕を、首から外して自らの濡れた唇を指先で拭う。
その様子がまた色っぽいなと眺めつつ、愛羽さんも同じような感覚を覚えていたのかと、何か、一種の感動を胸に抱く。
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「でも」
唇を拭い終えた手を再び首へと回してきた愛羽さんは続けて言う。
「もっと雀ちゃんが欲しくなっちゃった」
甘えるように指先が項をくすぐってきて、それと同調した瞳がこちらを見上げる。
「ちゃんと話はするから、ベッド、行こ?」
ベッドに行ってしまえば、どうなるか。分かりきっているだろうに、彼女は誘う。
”ちゃんと話はする”というのがこの後すぐなのか、コトが終わった後なのか、それとも疲れて眠ってしまって翌朝になるのか。
どのタイミングでの話になるのか、私には分からない。
蓉子さんと愛羽さんの関係をはっきりさせてから、そういうコトはしたいんだけど、とりあえず、いつまでも玄関に居るのもどうかと思って、私は小さく頷いた。
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