※ 隣恋Ⅲ~過去 現在 未来。嫉妬~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ 過去現在未来。嫉妬 28 ~
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引き寄せられるままに合わせた唇は、ひどく甘い。
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私の項に当てられていた手が、皮膚を引っ掻くように指を曲げる。
その理由は多分、彼女の唇を私が軽く噛んだからだ。
彼女に誘われるまま始まった口付けを、自分のペースにもっていきたくて、性急に行為を進める。
下唇を噛んだまま軽く引っ張って放す。ぷるりと震えた彼女の唇がすぐに恋しくなって、こちらからまた唇を重ねた。
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「……ぅ…ん……」
首を傾け、深めた口付けに愛羽さんが声を漏らし始める。
そんな彼女に”自分から誘ったくせに”なんて思って、さらに、苛めてしまいたくなる。
角度を変えての口付けは、より深く、濃厚になっていくものの、本格的なセックスを始める前に、蓉子さんと愛羽さんの関係について、話してもらわなければいけない。
私が挿し込んだ舌に己のそれを絡めていた愛羽さん。キスに耽る彼女の口内から舌を抜き取ると、名残惜しげに、開いた唇の間から覗く赤い舌先。
それが一瞬前まで私の舌を舐めていたかと思うと、背中にゾクリとしたものが走る。
つい、我を忘れ、その舌にむしゃぶりつきたくなってしまうけれど、何とか衝動を堪えて、囁いた。
「ちゃんと話してくれないと、先に進めませんよ?」
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まるで、自分は行為を先に進ませなくても構わないが。という響きを声に持たせて、愛羽さんを焦らせようという作戦だが……。
本当は、キスより先に進みたくてたまらない。
その細首に唇を押し当てて、白肌に透けて見える血管を舌先でなぞりたい。
ここが玄関だということも忘れるくらい、彼女に没頭してしまいたい。
だけど。
蓉子さんの姿が、頭にちらつく。
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私の作戦は功を奏したのだろう。
中途半端な盛り上がりをさせたキスを責める瞳がこちらを向く。
「終わってからじゃなくて……?」
潤んだ瞳に強請る色を滲ませた彼女は、私の項に回した手に力を込める。引き寄せられるままに、彼女と唇を重ねるけれど、素っ気無く触れるだけのキスで終わらせた。
「終わってからじゃなくて、今」
自分の中の性欲に負けない意味も込めて、少しだけ語気を強める。
そうしてもまだ愛羽さんの熱は冷めないようで、軽く睨んだ後、身長差を埋めるよう背伸びをした彼女に唇を奪われた。
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ちらつく蓉子さんの影を無理矢理にでも頭から追い出して、今すぐに彼女をベッドに連れていって組み敷きたい。
だって、恋人が背伸びをして自ら口付けてくれるシチュエーションなんて、滅多にない。
その上、愛羽さんからこちらの口内へと舌を伸ばしてきてくれることなんて、さらに、滅多にない。
背中を悪寒にも似た快感感覚が走り抜けて、つい、性欲に負けて、舌を迎えてしまう。
――あぁ……駄目だ、蓉子さんとの事、聞かなきゃ……。
どんどん萎んでゆく理性が警鐘を鳴らすけれど、積極的に絡められる柔らかな舌に翻弄されてしまう。
「ぁ、ぃ……はさん……」
呼吸の間に、咎めるよう名を呼ぶけれど、薄く開いた瞼から覗く濡れた瞳に圧力を掛けられ、その先の言葉を失う。
こちらを射貫いた瞳は、黙る私に小さく笑んで、項にあてていた手を後頭部までずらして、髪をくしゃりと掴んだ。
「もっと、キスさせて」
言葉を送り出した吐息が、私の濡れた唇を撫でて通りすぎていった。
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