隣恋Ⅲ~急ぐ鼠は雨にあう~ 30話


※ 隣恋Ⅲ~急ぐ鼠は雨にあう~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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  ~ 急ぐ鼠は雨にあう 30 ~

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「動くな」

 見開かれた瞳をまっすぐに覗き込んで、私は静かに命じた。

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 大きく見開かれた目にはありありと驚きが刻まれていたけれど、冷ややかに見下ろした。

 だってそうじゃないか。
 私と童貞を比べたことや、私に抱かれているのに他の人を思い出していただなんて。
 お仕置きを与えなければ。

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 誰に抱かれていて、快感を生む場所を知られていて、気持ち良くされているのか。それを目に焼き付けて覚えるように、と言ったあとに、「童貞」だなんていう赤の他人を思い出されているだなんて。

「ちゃんと触ってあげるから。そのまま動かないで」
「動かないでって……」

 そんなの無理に決まっている、と言外に含んでいるけれど、私は知らない振りをして、言葉を続けた。

「動いたら、触らないから」

 咎めたいのか、愛羽さんの眉がきゅっと寄せられた。

 宥めるように両手をまとめ上げていたのを解放してあげると、僅かに眉は和らいだけれど、やっぱりまだ、険しかった。

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 しかし、そんなふうに眉を寄せて険しい表情をしてみせる彼女の瞳が潤んで、頬が上気していれば、怖くもなんともない。
 というより、今、私に逆らうだんて選択肢は、彼女にはないだろう。

 ヒダを撫でていた指を入り口に軽く触れさせて、今にも入ろうかという状況を作り出している私に、逆らえるはずがない。

 それどころかすでに、決して動くまいと、シーツを握り締めて、意識を腰に集中させているようだ。
 気持ち良ければ腰は動いてしまうのが自然なのに、それを禁ずるとは我ながらヒドイ躾の方法だと思う。

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 だが、効果は覿面の筈だ。

「愛羽さんはナカが好きだけど意外と、ココも好きだよね」

 入り口をゆったりと円を描くように触れながら同意を求めるように告げる。
 返事こそ、彼女から貰えなかったけれど、下唇を噛んで、軽く荒げた吐息がその返事だと思うことにする。

 必死に動くまいとしているその姿が健気で可愛らしいが、その姿は同時に加虐心をもそそる諸刃の武器だと彼女は知らない。

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「でもやっぱり、感じるのは」

 言葉を切って、指に意識を集める。
 撫でていた入り口につぷんと三本指を挿し込んで、第二関節まで押し進む。
 丁度、私の中指の第一関節と第二関節の間くらいまで入ると、上壁がザラリとしてくる。

「ココなんだよね」

 くすぐるみたいに三本指をバラバラに動かして上壁を撫でると、愛羽さんが息を飲んだ。
 動くな、という指令が声すら含むと思っているのか、必死に、喉の奥で喘ぎ声を殺す。

 さすがに声は出しても構わないのに、と内心思うけれど、こうして、我慢する愛羽さんがどこまで持つのか、見ておきたいかもしれない。

 胸中に芽生えた二つの相反する気持ち。
 どちらが買っても負けても構わないが……、と思ったところで彼女が噛んでいた下唇を解放した。

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「お願い……声だけは…出さ、せて……?」

 荒い呼吸で途切つつも、きちんと自らおねだりができた。
 成長というか、調教というか。
 私好みに変化してきている年上の彼女を認めて、私の背筋がゾクリと快感を覚えた。

「いいよ。その代わり、たくさん、いい声で喘いでね」

 恥ずかしいとか思わないで、沢山喘げたらご褒美をあげるから。

 年下の私がそう告げると、年上の愛羽さんは幼子のようにコクと頷いた。
 私の中の征服欲がじわぁと満たされて、つい、愛羽さんに優しくしてしまう気になった。

「ンあっ!?」

 三本指を蠢かせる。
 その動きは、何度も身体を重ねて覚えた愛羽さんがイキやすい動き。

 それぞれの指は違う動きをして、指が攣りそうになるから、行為の終盤にしか用いない手法なのだけど、私の好みになってきた愛羽さんが可愛くて、甘やかしてしまった。

 本当ならば、イクかイカないかの境目で、彼女の昂りを保って、苛めてあげたかったのだが。

 そんな事を考えつつ、締まってくる膣に愛羽さんの絶頂を近く感じた。

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