※ 隣恋Ⅲ~急ぐ鼠は雨にあう~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ 急ぐ鼠は雨にあう 28 ~
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愛羽さんの唇は柔らかい。
下から贈られてきた彼女からのキスに目を閉じながら、この柔らかさを独占できているのは自分だけだと思うと、充足感が込み上げた。
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啄む口付けは、いつの間にか吐息を巻き込んで、舌同士を絡め、唾液を混ぜ合わせるようなキスに発展する。
先程まで愛羽さんは口呼吸で喘いでいたせいか、冷たくなった舌はいつもより存在感が増している。少しでも早く温まればいいと舌を絡めて、私は熱を伝えた。
「……ん…、ふ……っ」
鼻から抜ける声と共に、愛羽さんのナカがきゅっと締まる。
ホント、彼女の身体は素直すぎるくらい、素直だ。
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口付けを解くと、銀糸が二人を繋いだ。プツンとそれが切れる様を見つめてから、自分の下唇を舌で拭う。
熱っぽいとろりとした瞳で、私を見上げていた愛羽さんに小さく笑う。
だって、もう何度彼女とこういう深いキスをしたかは数えられないくらいなのに、まるで初めてみたいにぽーっとなっている愛羽さんが可愛いすぎる。
「キス、気持ち良かった?」
別に意地悪したいとかじゃなくて、なんとなく素直に口から出た質問。
そんなぽーっとなるくらい、良かったのかな? と思って。
すると彼女は、きょろ、と視線をまた泳がせつつ、言い淀むみたいに口をもごもごさせた。
「ん?」
口を開きかけては閉じるを繰り返していた彼女に、軽く首を傾げてみせると、愛羽さんの視線が戻ってきて、私に定まる。
「あんなこと……言うから」
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「あんなこと?」
何か言ったっけ?
柔らかい愛羽さんの唇に夢中だったうえに、可愛らしい瞳にも出会った。そんなふうに魅力的なひとを目の前にして、自分が何を言ったかなんて些細な事を記憶する暇なんて、もったいないくらいだ。
私は愛羽さんの全てをこの目に焼き付けて、記憶に刻み付けたいのだ。
「だから……刻み付けて、とか…」
え? あ、ああそうか。
数分前に自分はそういったのか。
まるで、自分と同じ行為を求めている幼さが目立つ言動を内心、恥じる。
けど……。
「あれ言われて、興奮しちゃった?」
珍しく素直に頷く愛羽さんを見る限り、私の発言にかなり、グッときたようだ。
やっぱり、世の女性は言葉攻めに弱いみたいだ。
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そうか。
と、胸中で閃く。
私が愛羽さんに色々エッチな言葉を言わせたがるみたいに、行為の最中、彼女も言葉を受けたいのかもしれない。
例えばさっきみたいな、Sっ気のある攻め言葉。
世の中、壁ドンとか流行ってたりするし、こう……多少キザであってもいいから、恰好良い言葉や行動を間近で見ると、キュンとくるのかもしれない。
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……だからと言って……思い浮かばないのが、私のヘタレな所なんだよなぁ……。
情けない。
ここでスラスラといい感じの言葉が出てくれば百点満点なのだけれど、いざ、Sっ気のある格好良い言葉を探すとなると……中々出てこない。
またどこかで、こういう時使えそうな言葉を探しておこう。
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気を取り直して、私は愛羽さんに軽くキスをしてから、ナカの指を動かし始めた。
しばらく指の動きを止めていたせいで壁が締まっていたのか、くちゅっと音が立つ。
最奥とGスポットの中間地点で上壁を押し上げた指でくるりくるりと壁を撫でる。
「ここでいい?」
愛羽さんは目を細めたものの、快感に顔を染めてはいない。
まぁ、当然だろう。ここは彼女が感じるポイントではないのだから。
先程の続きとばかりに、彼女の口から言わせようと試みる。
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「もっと……て、まえ……」
「手前?」
いつまでも数センチずつ手前に向けて引いていても、芸がない。
私はずるると指を限界まで引き抜いて、第一関節までもいれない程度に指を挿し込み、首を傾げてみせた。
「ここ?」
「…ッ、ちがっ」
一瞬だけ掠めたGスポットに愛羽さんの身体がビクリと反応を示したけれど、それを無視して、入り口あたりを指で撫でる。
愛羽さんはふるると首を振ったあと、いつまでも自分を苛めてくる私をキッと睨んだ。
「童貞の子みたいな事しないの…っ。わたしの気持ち良い所くらい知ってるくせにっ」
キッと睨んでくる瞳は潤んでいて可愛い。
自分の体を貴女は知り尽くしていると言うのも可愛い。
ただ、童貞の子みたい、という言葉だけは全く、全然、可愛くなかった。
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