隣恋Ⅲ~急ぐ鼠は雨にあう~ 26話


※ 隣恋Ⅲ~急ぐ鼠は雨にあう~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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  ~ 急ぐ鼠は雨にあう 26 ~

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 愛羽さんの甘く上擦った声が私の耳に飛び込むと、背骨を悪寒に似た何かがゾクゾクゾクと駆けあがっていった。

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 ――どうしよう。可愛い。やばいくらい、興奮する。

 彼女の要求通りに、ナカの一番奥まで指を挿し込んで、壁をノックしたり、円を描くように圧してみたりする。

「ん、ン…ひぁ…ッ」

 愛羽さん自身が要求したこのポイントは、さぞ気持ちいいのだろう。
 私の首に回している腕に、ぎゅうぅっと力がこもる。
 後頭部の髪を掴むようにしている手は、私をかき抱く。

 両の腕が快感に耐えるために、小さく震えながら私に縋りつく。
 これは意識的にやっているのではないだろうから、”我慢できずに、つい”と言う感じだろう。

 シーツを掴んでいやいやと首を振る愛羽さんも扇情的でずっと見ていたくなるけれど、こうして私にしがみついて来られるのも、また胸にグッとくるものがある。

 まぁ多分、愛羽さんがどんな感じている姿を見せてくれても、惚れに惚れている私は、グッとくるんだろうけど。

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 愛羽さん。と呼びかけると、若干、腕の力が弱まった。
 どうやらまだ、僅かに理性は残っていて、私の声に反応はできるみたいだ。

「奥だけ? 欲しいのは」

 ナカの一番奥を軽く突きながら、含みのある言い方をする。
 恥ずかしさを圧して、私の要求を呑んでくれている彼女には申し訳ないけれど、私は貪欲なのだ。
 こと、愛羽さんに関しては、通常以上に、欲求が激しくなってしまう。

 彼女の口から、もっと卑猥な事を言わせたくて、私はさらに続けた。

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「もっと気持ちよくなりたかったら……他の所も、必要だよね?」

 愛羽さんの耳朶に優しく甘く、誘う言葉を吐く。
 その間も、奥をノックし続けているけれど、身を捩る程の快感は与えない。だって、”これでは足りない”と愛羽さんに思わせる必要があるのだから。

「……ん、…は、ァ……」
「それとも愛羽さんはここだけで十分?」

 そんなはずないよね? と言外に含めて問い掛けると、愛羽さんの手が私の後頭部をナイショ話をするみたいに抱き寄せた。

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「も……ちょっと、手前……」
「……ここ?」

 恥ずかしそうに震える声の通り、少しだけ指を抜いて上壁に指の腹を押し付けてみる。
 愛羽さんの言う通り、”ちょっとだけ”手前の上壁だ。

「ん…ゃ……ちが、ぁ」
「うん? ここじゃないの?」

 探すみたいにすこしずつ指を左右にずらしつつ、壁を圧してみるけれど、愛羽さんはふるる、と頭を振る。
 それはそのはずだ。

 愛羽さんが言いたいのは、多分、Gスポットなのだろうから。

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 最奥を突いていた指を”ちょっとだけ”手前に引いたくらいでは、到底Gスポットには到達しない。
 そう理解していながら、Gスポットを突かない理由はひとつ。

「どこがいいか、教えて?」

 愛羽さんの口から言わせるため。
 私の要求……私の言う事、それに従う愛羽さんをこの目に焼き付けたいが為。

 私の身勝手な我侭で、愛羽さんは頬を染めながら、震える唇を開くのだ。

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 彼女が恥ずかしがりながら、気持ちいい所を自らの口で表現する様。想像するだけで、背筋に快感が走りそうだ。
 愛羽さんの顔を見ながらそれを言われたいけれど、こんなにもしっかりと首をホールドされていると、ちょっと難しい。

 どうやってこの腕を外してもらおうかと思案している私の耳に、愛羽さんの喘ぐ声以外のものが、スルリと飛び込んできた。

「ん……もっと、手前……いって」
「こっち?」

 ポイントの見当違いの場所を圧していた指を誘導する言葉。
 わざとゆっくりと指を引き抜きつつ、上壁をひっかくみたいにして指の腹で圧してゆく。

「は、んあっ」

 奥から上壁をひっかかれるとやはり、快感はつきものだ。本当に欲しいポイントであるGスポットに到達していなくても、愛羽さんは腰を揺らした。

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 その喘ぐ声に反応した様子を装って、私は指をピタリと止める。

「ここが気持ちいいの?」

 一番奥と、Gスポットの丁度中間くらいの位置だろうか。
 そこに指を留めて、上壁をぐりりと押し上げるけれど、多分ここは愛羽さんの快感ポイントではない。

「ち、が……ぁっ、もっと」
「うん? もっと?」

 もっと”手前”と続けようとした愛羽さんの声は、喘ぐ声で途切れた。見計らって、私が言葉を継いで、またも見当違いのポイントを押し上げる。

 違う、とでも言いたげに頭を振る愛羽さんが可愛くて、どこかいじらしくて、胸が苦しい程に締め付けられる。

 たぶん、泣きそうな顔してるんだろうな、と思うけれど、こうして苛めるのを止められないでいる私は随分と、根が腐っている。

 泣く前に、止めないと。
 そう思いつつ、私は愛羽さんの耳朶にキスをした。

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