※ 隣恋Ⅲ~急ぐ鼠は雨にあう~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ 急ぐ鼠は雨にあう 14 ~
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いくつ赤華を咲かせたか分からない。
ただ、彼女の息の上がり具合から察するに、十以上は咲かせたのだと思う。
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行為の最中、興奮から体温上昇をしているとはいえ、二人とも裸だ。この時期だが布団もすべて剥ぎ取ってしまえば確実に翌日には風邪っぴきの出来上がりだろう。
愛羽さんの肩まで布団をかけて、自分は頭まですっぽり被って、胸いっぱいに赤華を咲かせる行為を繰り返す。
花咲かじいさんか。と場違いなツッコミを心の中で入れて、やっと布団から顔を出す。
まるで乱れた呼吸を恥じらうみたいに片手で口を覆い隠して、顔を横へ逸らしている愛羽さんを見下ろす。
いつまで経っても、喘ぐことを恥ずかしがるその姿に、ムラぁっと腹の底から加虐心が煽られる。
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「…つ、けすぎ……」
少し落ち着いてきた呼吸の合間を縫って、愛羽さんが漏らす。
こちらへチラと流し目のように送られた視線が気だるげで、色っぽい。若干乱れた髪が頬にかかる光景もまた、色っぽい。
「沢山つけられると、困ることでもあるんですか?」
誰にも見られることがない服の下にあるのだ、なんの不都合もないだろうに。
「……体力的に」
ぼそり、と告げた愛羽さんの言葉の意味を思案しながら、片肘をついて体重を支え、反対の手を腰へと伸ばす。
キスマークを沢山つけられると、体力的に困る?
いったいどういう意味だ?
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内心、首を捻る。
キスマークをつけられると、体力が減るということか? いやでも、キスマークだぞ? たかが。
得心がいっていない私の様子に気が付いたのか、愛羽さんは小さく笑った。
「キスマークつけられるのも、気持ちイイってこと」
後頭部に回された手で引き寄せられるままに、彼女に口付ける。
気持ちいいと……力んで体力使うってことか? なんて考えつつも、情事の後ぐったりベッドに転がる愛羽さんを思い浮かべる。
確かにあの様子は、体力の限界を迎えた感じではある。
「……ん…」
彼女の口内へ舌を忍び込ませて、絡めとる。
鼻から抜ける声で鼓膜を震わせられて、頭蓋骨の中にある脳までなんだか痺れた。
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舌を絡めながら、腰を撫でていた手を横へとずらして秘所を撫でる。
茂みの奥からの熱気が篭るそこは、私の指を欲しているのか、手の気配に対して、強請るように柔らかく揺れた。
ゆっくりと口付けを解いて、愛羽さんの瞳を覗き込む。
「何か言う事、ないですか?」
微かに自分の口元が、意地悪の気配を滲ませた自覚はある。愛羽さんの目からもそれは歴然だったようで、彼女は渋るように一瞬、薄く開いていた唇を閉じた。
泳ぐ視線が愉快で、目尻に軽く皺を刻む。
そんな私に視線を戻した愛羽さんは、軽くにらむように目を眇めた。
「いじわる」
可愛いなぁもう本当に。
心の中で呟きつつも、どうやら彼女は本日のセックスの本懐を忘れてしまったようだと覚る。
「意地悪なのは当たり前でしょう?」
喉の奥で笑ったあとにそう告げると、これが当然だと言わんばかりの私の発言に軽く目を開いた愛羽さんが、拗ねたみたいに唇を尖らせた。
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小さな子どものようでもあり、また妙齢の女性らしいその仕草。
これを狙ってやっていないのだから、また凄い。
「えっちの最中にいじわるされるのは嫌いじゃないけど」
けど、の続きは「やっぱり優しくされたい気持ちもある」みたいな事を言いたいんだろうなぁ。
恋の相談をもちかけてくる友人の口からもよく聞く言葉だ。
意地悪は優しさの半分くらい在れば良いのだと。
優しくされたいけど、意地悪もされたい。そしてその匙加減は優しさ多めで。だなんて、世の中の女子はなかなか気難しい。
まぁそれを叶えてあげる代わりに、こうして可愛い表情や仕草を自分だけに見せてもらえるのだから、やぶさかではないのだが。
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逸れてしまった思考を戻して、私は愛羽さんの尖った唇に軽くキスを落とす。
「忘れてないですか? これはイタズラの延長だって」
「え?」
きょとん。と見返されて、愛羽さんが完全に忘れていたんだと苦笑を禁じ得ない。
「お菓子、持ってないんでしょう?」
「あっ」
「思い出しました?」
「思い出しました……」
どうやらすっかり、それを忘れて、いつものセックスだと思っていたようだ。
明らかに”しまった…”という表情をする愛羽さんに眉尻をさげた笑いが込み上げる。
どこか抜けている彼女もなんだか可愛い。これで、仕事場ではバリバリ働くキャリアウーマンだというからギャップ萌えもたまらない。
いつか、彼女の職場での姿も見れたらいいなぁと思う。
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「そっか。だから意地悪だったのね」
「イタズラですから」
納得したように頷いている愛羽さんが可笑しくて小さく笑う。忘れていたことに照れ笑いを浮かべる愛羽さんはその笑みを引っ込めて、私を見上げた。
「触って…?」
一瞬前までの照れ笑いはどこへやら。
婀娜という婀娜。色気という色気を搭載した瞳が私をまっすぐに見上げて、甘く強請る。
急な変化に、私の心臓が暴れ出して、顔の温度が急上昇する。
「雀ちゃんに触って欲しくてたまらないの」
茂みの上に置いたままになっていた手に、腰を浮かせて擦り寄ってくる愛羽さんは、駄目押しとばかりに続ける。
「その指で……えっちなこと、いっぱい、して…?」
正直、鼻血が出るんじゃないかと思うくらい、私の顔はオーバーヒートした。
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