隣恋Ⅲ~急ぐ鼠は雨にあう~ 13話


※ 隣恋Ⅲ~急ぐ鼠は雨にあう~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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  ~ 急ぐ鼠は雨にあう 13 ~

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 わざとなのか、わざとじゃないのか。
 そこも問題だけど、今はもうどうでもいいかもしれない。

 愛羽さんにはコトが終わってから、あんな言い方されたらもうお願いされても関係なくその場で襲っちゃいたくなるからダメですよって言い聞かせておかなきゃ。

 だって、可愛い過ぎるでしょ、今のは。
 あんな可愛い台詞を聞かされてしまうと、心臓の奥辺りがぐっと熱くなって、堪え切れない感情が私の手足を勝手に動かしてしまう。

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 軽く息だって乱れて、まるで酔ったときみたいに思考速度が落ちる。
 ただただ、このひとが欲しい、という欲求だけが私を支配して、身体が言う事をきかなくなって、それ以外のこと全てがおろそかになる。

「……愛羽さん……」
「ぇ、ちょ、すず」

 欲しいひとの名前が勝手に口から零れて、その口で彼女の唇を塞ぐべく、すすすと距離を詰める。
 愛羽さんはてっきりベッドへ移動してくれるものだと考えていたようで、驚いたように目を開いて私の肩に片手をあてて、押し返す。
 力で愛羽さんが私に勝てる訳もなくて、柔らかい唇をゲットするんだけど、それより先を、彼女が許してくれず、仕方なく口付けを解いた。

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 愛羽さんの目には、さぞ不満そうな瞳で、不満そうな視線をぶつけている私が映っていることだろう。

「なんで駄目なんですか」
「ベッドでって言ったじゃない」
「愛羽さんがあんな可愛い言い方するから理性なんか持つ訳ないじゃないですか」
「しっ、しらないわよっ」

 世ではこれを痴話げんかというのだろうか。それとも喧嘩にすらなっていないのだろうか。
 まぁ何にせよ、お互いに好きが溢れた会話だというのは、愛羽さんの赤く染まった頬と満更でもない表情をみればよく解る。

 無言でにらみあった後、愛羽さんがこちらに顔をよせて、頬にキスをくれる。

「ベッドいこ」
「今のキスも可愛いかったんで理性は更に減ったんですけど」
「っさいばか」

 愛羽さんがいくら眉間に皺を寄せて、コワイ顔をしてみせても、そんな照れた目をしていては、逆効果なのになと心の中で呟いた。

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 しぶしぶベッドへ移動すると、愛羽さんは布団にもぐったあとに迷う事無くストッキングを脱ぎ捨てて、まだ身に纏っていた服も脱いでしまった。

「……残念そうな顔してないでよ」
「だって貴重な着衣エッチが」
「発想がなんかえっちだしおじさんくさい」

 こちらを睨む愛羽さんが自然な仕草で私の服まで脱がしにかかる。
 するすると私の服を剥いではベッドの外へぽとりと落とす彼女。

「なんで私の服まで?」
「だって素肌で抱き合うのって気持ちいいんだもの」

 ベッドの中、二人で素肌を重ね合わせるのは、確かに気持ちいい。
 なんというか、相手の体温がダイレクトに伝わってくるのとすべすべの肌が気持ちいいのだ。

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 正面から抱き締め合うと、愛羽さんは胸が大きいからそれをふにゅりと潰すようにするのも、かなり気持ちいい。
 背中に回された彼女の腕が少し冷たいなとぼんやり頭の隅で考えつつ、私はゆっくりと愛羽さんの首筋に唇を押し当てた。

 丁度、血管の上だったのかもしれない。
 触れる脈動がひくん、ひくん、と唇を押し返す。

 愛羽さんが生きている証拠がなんだか嬉しくて、脈動へ舌を伸ばす。

「…ぁ…」

 愛撫、というには程遠い行為だと思っていたけれど、愛羽さんの吐息混じりの甘声で布団の中の雰囲気が一瞬で変わった。

 甘い、甘い、溶けた砂糖みたいにまとわりつく甘ったるさ。

 さらに蜂蜜も加えてどろどろに溶けてしまえと思いながら、私は愛羽さんの首筋に、ちぅと吸い付いた。

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「ンッ、つ…けたら怒る」

 キスマークの事を言っているんだろうけれど、流石に、こんな丸見えの場所につけたりしない。

「つけませんよ、ここには」

 囁くように告げて、首に舌を当てたままつぅぅと下へずらす。唾液の滑りであっという間に鎖骨を越えて、胸の膨らみ付近へ。

「ん、ンッ……ぁ」

 ブラジャーに隠れるくらいの場所まで唇を移動させて、やっと、強く吸い付く。
 きつく肌を吸うと、私の背中へ回された腕が震えて、キッと爪を立てる。軽い痛みが背に走るけれど、それすらも愛おしく、私は赤く咲いた華に唾液を擦り付けた。
 舐められた赤華は、てらりと光るように見えたが、こう暗くてはハッキリは分からない。

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 よく見えないからもっと付けてしまえ。
 なんて、訳の分からない言い訳を心の中で呟いて、反対の胸の膨らみへ唇を押し付ける。

「ン、いっ……」

 キスマークを残すため肌を吸われると僅かに鋭い痛みが走る。それこそ私は、愛羽さんの肌から赤華が消えなければいいとさえ思いつつキスマークを付けるもんだから、痛みも普通よりは強いのかもしれない。

 自分に自分でキスマークはつけないから分からないけれど、この痛みの度合を知る為にも、今度、自分の腕でも吸ってみようか。
 あまりに痛いようなら、考える必要があるだろう。

「……は、ン」

 愛羽さんの甘い声を聞きながら赤華をねっとりと舐め、さらに華を植え付けようと、彼女の肌に唇を滑らせた。

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