※ 隣恋Ⅲ~急ぐ鼠は雨にあう~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ 急ぐ鼠は雨にあう 9 ~
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血が沸騰したような、そんな熱を心臓に感じた。
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血は管を流れて体中を回るけれど、それの集約点が心臓である。
愛羽さんの切なさを帯びた台詞を耳にした私の血液の集約点は、焼き石でも放り込まれたみたいに瞬間的に熱を上昇させた。
まだ何もしていないような早い段階なのに、若干、私の息が乱れている。
言葉ひとつで、ここまでされてしまうだなんて。
頭がジンと痺れる感覚が引かないまま、なんだか悔しさを覚えて彼女の顔も見ぬままに、開かせた脚の内側に顔を寄せ、噛みついた。
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「アッ」
痛みがそこまで大きい訳でもないが、与えられたその感覚に思わず声をあげた。
愛羽さんの喘ぎ声ひとつ聞いただけでも、彼女の心理はここまで理解できる。
それが正解なのかも分からずに、偉そうな事を考える私は噛んだ肌の柔らかさにどこか感動を覚えていた。
そうなると自然に、更に歯を立てたい欲求が募り、愛羽さんの脚に手をかけた。
ソファの上に両脚を上げさせて、俗に言えばM字開脚に近い恰好を強いる。
もっと触って欲しいと言った彼女だけれど、そんな恰好をさせられるとやはり恥ずかしいらしく、私の髪を握って引き寄せようとしていた手が、逆の動きをし始める。
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「ちょ、……っと」
噛む度上擦り声が漏れそうなるのを堪えつつ、私の頭を押し返す愛羽さんが可愛くて仕方ない。
いや、可愛いだけじゃない。今はもう、色気も溢れて溢れて、こちらが困ってしまいそうなくらいだ。
ああもうこの恰好は変態だ。
脳内で呟く私は、ソファでM字開脚する愛羽さんの脚と脚の間に頭を突っ込んで、内太腿にかぷかぷと噛みついている。
だって、どんな高級肉よりも柔らかくて、歯に伝わる感触も頬に触れる感触も、とても気持ちいいのだ。
おまけに、愛羽さんも噛まれて、本気で痛がるでもなく、どこか恥じらいつつも感じている様子。
これでは止められない。
止められる要素がない。
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止められないどころか……エスカレートしてしまう。
それを私が悪いとも思っていないから、始末に負えない。
彼女の左太腿のストッキングに爪をわざと引っ掛けて穴をあける。そのまま引き裂いて、5センチ程度ストッキングに傷をつけた。
「待っ、……んぅ、っ」
待って、と正しく言えなかったのは、私がその素肌を晒しているストッキングの穴に噛みついたから。
それまでの薄布越しの感覚とは全く違うダイレクトな愛撫に、愛羽さんは身体を震わせた。
喉奥からせり上がった甘声を堪え切れずに、その唇から漏らす。
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甘美な声に耳を傾けつつ、私は舌先に触れる滑らかな絹肌を舐め上げた。
鼻先に触れるストッキングは、きめ細かな素材な筈なのに、それがザラザラだと感じる程に、舌で触れる愛羽さんの肌はツルリとして気持ちいい。
「ぁッ、あ…っ…」
私の頭にあった手が退けられて、その後、愛羽さんの声がくぐもる。予想するに、喘ぎ声を抑えられない口を手で覆ってしまったのだ。
そんな恥じる姿は可愛いし、こちらが余計、燃え上がる行為だと彼女は理解していない。
「…ふっ、ぁ……んん」
あくまで舌の動きはゆっくりと。緩慢なほど、ゆっくりと。
下から上へ舐めあげる単調な動きは数回でいい。
円を描くように、まるで指先で撫で回されているよう舌を動かす。
時には、ストッキングの下へと舌を捻じ込ませるように。
時には、その柔肌に唇を触れさせ、撫でるように。
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口に左太腿を任せている間、両手は自由だ。活用しない手はない。
右足のつま先へとそっと触れてみると、驚きに足が跳ねる。予想外の場所に触れられ驚いた彼女へ謝るよう、そこを三度優しく撫でる。
それから、指先を立てて、やはりゆっくりとした動作で脚を撫でていく。
「……ん、んっ」
舐める舌にも、撫でる指にも、どちらにも反応を示してくれる愛羽さんはやはり可愛い。こんなにひとを可愛いと思ったのは初めてだし、こんなにも私の行為を受け入れて、感じてくれるひとも初めてだ。
堪らず舐めていたそこに、強く吸い付き、痕を残す。
「いっ」
さすがに、これは鋭い痛みがあったようで、声色が固くなる。
この反応は、まだ頭が蕩けきっていない証拠だ。
トロトロになった時の愛羽さんは、こうしてキスマークを付ける時の痛みも、甘く声をあげるようになると、私は知っている。
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唇を離し際にそこをペロと舐める。
暗くてよく見えないけれど、多分、そこには、紅い華が咲いているはずだから。
ヌルヌルになった彼女の左太腿を指先で撫でると、愛羽さんの腰が揺れた。
もう、そちらが欲しくて、たまらなくなってきたみたいだ。
右太腿も同じくストッキングを裂いて、舌で愛撫を施そうかと思っていたのに。
口を塞いでいた手か、その逆の手かは分からないけれど、私の頭に添えられた手が、催促している。
「ね、ぇ……舐めて……」
そう、舐めて欲しがって……て!? え!?
私は耳を疑った。
確かに愛羽さんが今の台詞を言ったのだけれど、自分の耳を疑う。
あの恥ずかしがり屋の、一度はこういう台詞を渋る愛羽さんが、自ら……!?
聞こえた言葉は空耳ではないのかと、顔をあげて、その表情を確認しようとした瞬間、後頭部にかかった手で引き寄せられて、ソファに腹を押し付ける形になる。
部屋が明るければ、ストッキングのきめ細かい布地を観察できる距離。
鼻先に、熱を感じるその距離。
誘ったのは、愛羽さん自身。
「……なめて……」
甘く、私の神経までも痺れさせる響きの声が、また、催促した。
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