※ 隣恋Ⅲ~急ぐ鼠は雨にあう~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ 急ぐ鼠は雨にあう 7 ~
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この暗の多い部屋でも分かるくらいに、愛羽さんの瞳が揺れた。
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その瞳の揺れは、動揺ではなくて、迷いを示すものだろうか。
私はゆっくりと傾げていた首を元に戻しながら、彼女を見上げ続けた。
「……ずるい」
愛羽さんがぽそりと言ったその言葉に、恥じらうような甘い香りが混ざっていて、私は心が躍った。
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「そんなふうに言われたら、したくなっちゃうじゃない」
肩の服を掴んでいた手がもう一度ギュッと握られ、愛羽さんが噛みつくようにキスをしてきた。
了承の言葉と捉えていいのだろう。先の台詞を吐き捨てたその口は甘えるみたいに私の唇を吸う。
嬉しくなって彼女の口付けに応えながら、後頭部に回していた手を少し横へずらして耳を指先で擽った。
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「こっち来て」
キスを解いてから、愛羽さんの手をひく。ぐるりとソファの後ろから回ってきた彼女を座らせて、自分は床に膝をついた。
丁度愛羽さんの正面に位置取ろうとすると、ローテーブルが邪魔になる。押しやると、小さく笑われた。
「そこまでして、ストッキング破りたいの?」
揶揄うみたいに言う愛羽さんの両膝に手をあてて、私は下から彼女を見上げた。
「ストッキングを破られて、愛羽さんがどうなるのかが見たいんですよ」
「……どうにもならないわよ」
言葉に対する軽い動揺をなんとか押し隠して、瞳を泳がせながら言う愛羽さんに目を細めた私は前屈みになって、彼女の膝にキスをした。
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「脚フェチではないんですけど、愛羽さんのスカート姿はそそられます」
「……それって褒めてるの?」
膝を合わせた状態の脚がキスにぴくんと反応した。可愛い。
普通に話しているように見せかけて、跪く私になにか胸に来るものがあるのかもしれない。
「ベタ褒めですよ」
手で触るとサラサラだと思ったけれど、唇で触れると、少しザラついた感覚のストッキング。
穴が開いていたのは、あの太ももの部分だけらしい。
スカートから覗く膝下は綺麗なものだ。
その、綺麗なものを汚すのも、愉しいかもしれない。
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膝からゆっくりと足首へと撫で下ろした手で、足首のストッキングを摘む。
愛羽さんの足首はキュッと締まっていて、そこを覆うストッキングの生地は伸びていなくて少し厚めだ。
摘み上げ、爪で傷をつけ、小さな穴をあける。指を捻じ込み、裂くように開けばビリリリと音がした。
ストッキングを裂いた右足をそっと持ち上げて、愛羽さんの目から見える位置へもってくる。片膝を立てた私の膝にのせて、足首にキスをする。
ざらつくストッキングと、愛羽さんの素肌。二つの感触を楽しむようにキスをして、それから舌を這わせた。
「っ、ちょ……っと」
制止をするような声に、そちらを向けば、愛羽さんの蕩けかけた顔が私を見下ろしていた。
「誰が、破くだけだって言いました?」
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何か言い返そうと思ったのか、一度口を開きかけて、愛羽さんは喉の奥で唸って口を閉じた。
自分から誘った手前、言い返すのもどうかと思ったのかもしれない。
足首に軽く歯を立てては、噛んだ部分を舐める。そうしながら、反対の脚の腿辺りのストッキングを破く。
破いた部分から指を挿し込み、ツルツルの脚を撫でては、ストッキングを更に破く。
普通に考えて破いてはいけないストッキングだ。なのに自分は、愛羽さんが今まさに履いているそれを破いている。
その事実に、どこか興奮する自分がいて、改めて、自分はよくない人間なのかもしれないと自身を疑った。
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