※ 隣恋Ⅲ~急ぐ鼠は雨にあう~ は成人向け作品です ※
※ 本章は成人向(R-18)作品です。18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします ※
※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※
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~ 急ぐ鼠は雨にあう 5 ~
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「っ、待っ」
「イタズラは待ってなんかくれませんよ」
彼女の焦った声を遮って、私は彼女のスカートの中からブラウスの裾を引っ張り出した。
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――愛羽さんが可愛いくて仕方ない。
本当に昨日立ち寄った雑貨屋がハロウィン仕様だったから、たまたま思い付いた悪戯だったのだろうか。
もしかして、ただエッチがしたい気分だったんじゃないのか。
私に限りなく都合のいい妄想を膨らませつつ、衣服を乱し始めた私の手に焦っている彼女に目を細めた。
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ソファに後ろ向きに膝立ちになったまま、腹を支えにして両手の自由を獲得して、愛羽さんの腰を引き寄せて、キスを繰り返す。
早速服を脱がされそうになった事に焦っただけで、キスが嫌、という訳ではないようだ。
――まぁ愛羽さんも、お菓子ないって言って悪戯を選んだ訳だし……したくない訳じゃあ……ないよな。
早くも舌が絡まり合って、水音が立つ。
だから私も、もういい頃合いかななんて思って、腰を引き寄せていた手を下へ向かわせて、愛羽さんのスカートを手繰り上げてその中へと手を差し込んだ。
背もたれ越しなので、私の手が届くのは精々膝上20センチくらいなものだから、今日彼女が履いている長いスカートはたくし上げなければ、その中に触れられない。
こういうのは結構カッコ悪くてスマートじゃないなと胸中で独り言ちながら、キスを解いた愛羽さんが焦った声音で私の名を呼ぶのを聞いた。
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うまいこと侵入したスカートの中に待っていたのはストッキングを履いた脚だった。
頭の隅で、なんだ生足じゃない、と呟く自分が居たけれど、まぁなんだ。これを脱がせる楽しみもあるじゃないかと自分を慰めた。
そんな煩悩にまみれた私を他所に、愛羽さんは何か、若干の焦りを増した声。
「ちょ、ま、まって……」
「んー? なんでです?」
待ってといわれるのは嫌いじゃないし、余計に、そそるものがある。
多分、私の顔はにやついていて、意地悪な表情を浮かべているんだろうな暗闇の中で見えるかどうかは別として、なんて思いながら、愛羽さんの太ももの外側をスススと撫であげる。と、スカートの上から愛羽さんが私のその手を捕らえた。
上から押さえつけられて、これ以上は動けない。
「だ、だめ……」
「お菓子持ってないくせに?」
「うぅ」
かわいい。
つい目元が緩みそうになるけれど、堪えて、力で愛羽さんの手を圧す。力比べをしながら、じりじりと太ももを撫で上げていると、指先に違和感を感じた。
「ん?」
「だ、だから駄目って言ったのに……っ」
指先に触れた、窪みのような丸い何かの感触。ザラザラとすべすべが交互にあるそこに、何があるのかどういう状態なのかわからずに何度か撫でてみる。が、さっぱりだ。
「脱ぐから……! 手、どけて」
怒った口調の端っこに、羞恥心が見え隠れした言い方で愛羽さん。
自らストッキングを脱ぐとは、いったいどういう風の吹き回しだろうか。
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彼女の言葉を無視してその不思議な窪みを撫でていると、愛羽さんの手がまた私を制圧しにかかる。
「さっき引っかかって穴開いちゃってたの忘れてたの!」
恥ずかしいのに説明させないでっ、と拗ねる愛羽さんの言葉を聞きながら、なるほどこれがストッキングに穴が開いた時の感触なのかとそこを撫で回す。
「爪が引っかかるとすぐ破けるって言いますもんね、ストッキングって」
ストッキングなんて薄い生地、厚みにして2ミリ、いや1ミリくらいだろうか。その程度のものに穴が開いた段差も簡単に見つけてしまう指先の感覚はかなり鋭いのだろう。
しかし、人間の体は更に精度の高い感覚がある。
舌だ。
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否、舌もだが口の中の器官と言った方が正しいだろうか。
髪の毛一本、更に言えば、ホコリのような細い何かしらの毛でも口に入れば察知する感覚の鋭さがあるのだ。
ストッキングの穴を撫でていない方の手で愛羽さんの腰をまた引き寄せて、私は顔を寄せる。
そうすると、怒っていようが恥ずかしがっていようがキスしてくれる彼女には、少なからず愛を感じる。
「…ふ、ぅん……」
甘い声を鼻から抜きながら、私の舌を受け入れる愛羽さんが可愛くて仕方ない。
立っている愛羽さんと膝立ちの私では、少しだけ彼女の方が背が高い。
顎を上げて、上から覆いかぶさる愛羽さんのキスに酔う。
こちらが挿し込んだ舌に彼女が吸い付きながらも、太ももにある私の手を掴む手から力が抜けていく。
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「……は……」
若干上擦った声が彼女の口から零れて、耳に届く。じんわりと脳が痺れる感覚が広がってゆくのを感じながら、愛羽さんのストッキングの穴に指を滑り込ませてみる。
「ンッ……!?」
力が抜けかけていた手が、ハッとしたみたいに私の手を掴む。
けれどもう指はストッキングの穴の中へ一本、侵入していた。
「ちょ、ちょっと……」
慌てて唇を離して、呼吸もまだ少し乱れたままに、愛羽さんは咎めるみたいに言う。
ようやく闇に慣れた私の視界には、こちらを見下ろす瞳。
私の行動を咎めるみたいに眉間に皺を軽く寄せた下で諫める光を宿している。
「このストッキング、もう、履かないですよね?」
彼女を見上げたまま、問う。
基本的にストッキングは穴が開けば捨てるものだ。だけど一応、確認を取っておく。
「え? ええ、もう捨てるけど……」
まさか、というような表情の変化が愛羽さんに見られる。
どうやら私の言いたい次の言葉は見当がついているみたいだ。
「ストッキング、破いてもいいですか?」
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