隣恋Ⅲ~ひねもす~ 40話


※ 隣恋Ⅲ~ひねもす~ は成人向け作品です ※
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※ 本章は女性同士の恋愛を描くものです ※


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 ~ ひねもす 40 ~

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 無防備。
 その言葉が、今の彼女にはぴったりだった。

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 あられもなく曝け出された愛羽さんの首筋。そこをターゲットに定めて、顔を埋める。それと同時に、胸の頂きへの愛撫を再開させると、彼女は甘声を零した。

「可愛い。愛羽」

 ちゅ、ちゅ、と音を立ててその桜色の肌に吸い付く私の項を、彼女の指がひっかく。
 チリリと先程よりも強い痛みを感じて、彼女の目から見えないのをいいことに、口元に笑みを浮かべた。

「やん……ッ、ぁ、はっ……ぁ」
「好きだよ」

 胸を攻めている間も声はあげていたが、首にキスし始めてからの声は、さらに可愛らしくなってきた。
 自他共に認めるほどの、彼女の弱点の首。
 触れずとも息をかけるだけで、「ひゃんっ」と声をあげるそこに、熱い息と、吸い付かれる感覚が与えられ、更には追い打ちをかけるように胸の尖りを指が弄る。

 どれ程の快感が彼女を襲っているのかは、本人しか分からないだろうけれど、いやいやと首を振ろうとするほどの快感は、少なくとも与えられているようだ。

 まぁ、私が邪魔で、大きく首を振ることは出来ないでいるみたいだが、それはそれで、悶える様が可愛らしい。

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 そんな事を考えている私の耳に、荒い呼吸の合間に聞こえてきたのは否定の言葉。
 いつもきちんと説明しているのに、止めないということは、誘っているのだろうか?

「はっ…ン……んゃっ、……だ、めェ……ッ」

 だから、だめって言うのが、駄目なんだってば。

 そんなツッコミを心の中でしても、伝わらないのは分かってる。だってそもそも、伝える気もないのだから、それでいい。

 私は彼女のその台詞を、聞きたかったのだから。

「何がだめ?」
「やっ、…しゃべ、らない、で……っ」

 うん。そう言われると思ってたよ。心の中で返事をしながら、口では別のことを喋る。
 彼女の汗を刷いた首筋に、吐息がかかるように唇をくっつけたままで。

「なんで喋っちゃだめなの?」
「息、かかる……ッ」

 うん。わざとだよ。
 そんな真実を言おうものなら、その綺麗な脚で蹴り上げられそうだから言わないけれど。

「息、かかったら嫌?」

 わざと悲しげに作った声色で、子犬のように啼く彼女に問い掛ける。
 返答は、きっと私の予想通りに返ってくるだろうなとほくそ笑みながら、やわやわと胸を揉みしだく。

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「やじゃ、ないけど……、ハ…んんっ、ぁ、だめ、なのっ」
「どうして?」

 いい加減、しつこいとか思われていそうだなと内心、我ながら苦笑する。だけど、言わせたくて、質問を続けてしまう。
 嬌声交じりの、切羽詰まったその声を、もっと聴かせて欲しいと、彼女を苛めてしまう。

 いけない癖だと思いつつも、こう可愛く喘がれたのでは、理性なんか役に立たない。

「よわい、から…ぁ…っ」

 絞り出すように告げられた言葉に、彼女を苛めてやろうとかそんなの全く関係なく、私の口から荒く吐息が零れた。
 腹の底からせり上がってきた色欲に無理矢理押し出されて零れた吐息は、「弱いから息かけないで」と今し方訴えられたその首筋を無情にも撫でて、霧散した。

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 声にならない声をあげて、彼女は悶えた。

 腰をくねらせ、私の項に爪をたて、ベッドのシーツを握っていた左手を私の肩について、押し返した。
 どうしようもない程に与えられた快感に翻弄されているその様は、見ているこっちが堪らなくなりそうで、私は誤魔化すように、彼女の左手首を捕まえる。

 肩を押し返すこの手に、力なんてものはほとんど入っていない。だから私の行動を阻むものではないのだけれど、今の彼女の台詞で、色欲と同時に支配欲も増強された私は、その手をベッドに押さえつけることで、支配欲を軽く満たした。

 ほんの、軽くだけ、だが。

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